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第22章 探偵のドラゴン
第126話 論文盗難事件
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「あー、なんで俺はここに呼ばれているんだ」
「すまないね。ホムンさん」
「説明してもらいたいだけなんだが」
俺は今、拉致同然に連れられて魔法学園の理事長室にいる。
目の前には胡散臭そうな男。
「私は理事の一人なんですがね。私の管轄で盗難事件が発生したのですよ」
「俺はその容疑者って訳か」
「いやいや、違うよ。調べる方に推薦したい」
「俺に探偵をやれってのか」
「そうです」
「なぜ俺なんだよ」
「他の理事と繋がっていない確証がある」
「ほう、なぜ」
「賞金首になった経緯を調べましたが、他の理事の影がない。他の理事と繋がっていたら、事件はもみ消されるか。口封じに殺されるかです」
「探偵役を断わったら?」
「残念ながらゴーレムの体を逮捕する。現代のゴーレムはきっと秘術が沢山使われているんだろうなぁ。調べたいなぁ」
別にドラゴンが逮捕される訳ではないから、問題ないと言えばないんだけど。
そこはかとなく悔しい。
ただで研究成果をくれてやるのもな。
「ちきしょう。痛い所を突きやがって。探偵役やってやるよ」
「そう言ってくれると思ってました」
「早く事件の説明をしろ」
「盗まれたのは論文です」
「金庫か何かに保管してあるんだろ」
「そうです。金庫は破られてません。講師の応募の論文に同じ物が二つ出てきたのです」
「名前入りで論文は提出したんだろ。なら犯人はもう分かっているじゃないか。二人のうちのどっちかだ」
「それがですね。そういう事件が同時に三つ起こったのです。もちろん、その六人は全員が別の人物です」
「ふーん。腕利きのスパイかなんかの仕業だな」
「そうなんです。真偽鑑定で盗作した側が分かって話をきいたのですが。酒場で見ず知らずの女から買ったとしか判明してません」
「対処は簡単だろ。同じ物が二つ出てきたら、真偽鑑定にかけりゃ良い」
「ところがですね。ある教授が偶然同じ発想に行き着く事はあると言い出しまして。それで、三件の事件のうち、真偽鑑定を受け入れたのは一件だけです」
「あー、ごねられると始末に負えないと。真偽鑑定を拒否するのは法律で保証されているのだっけ」
「そうですね。非常に困ってます」
「元から断たないと駄目って訳ね。分かったよ調べてみる」
そうは言ってみたもののプログラマーは探偵じゃない。
だが、少しばかり自信がある。
プログラムのバグを潰すのは推理なのだ。
固定概念に囚われると原因が分からなくなる。
可能性を一つ一つ潰していってプログラムの途中の結果を受け取って確認。
そして、推理する。
今回もこの手法で行こう。
聞き込みで可能性を一つ一つ潰して、途中経過は罠を仕掛ける。
たぶん犯人はまた同じ事をする。
それを観察するのだ。
まずは論文を書いた側だな。
講師志望の男性に話を聞きに行くと快く応じてくれた。
「論文を書いている途中、何か視線を感じるとか変わった事はなかったか」
「ないね。今回のは一時間で書き上げたから、書いている途中で盗まれたとは考えられない」
「透明人間でもいない限りはだな」
「私は事務員が怪しいと思っている」
「参考になった」
リトワースの暗部には係わっていないと確認が取れている。
完全ではないが透明にする魔法をリトワース以外の人間が使っていれば暗部に情報が入るそうだ。
ここら辺りは信用していいと思う。
事務員は係わった者すべてが真偽鑑定魔法で白が確定していた。
さて次は盗作を買った側だな。
この男も快く聴取に応じてくれた。
「いやぁ、ある意味良かったと思うよ。ルール的に許されているのならともかく。禁止されている行為をして、講師になっても心に澱が溜まったと思うんだ」
「一時の気の迷いは誰にでもあるさ」
「幸い真偽鑑定を受け入れたので、今回の事は不問にしてくれる事になった。だから、また挑戦するよ」
「論文を売った人物はどんなだった」
「声は若い女だったな。会った場所は薄暗い酒場で。フードを被っていたから顔は見ていない」
「何か覚えている事はあるか」
「立ち去った後に女が座っていた椅子を戻そうとして、ピンクの髪の毛が落ちていたな」
「なんで女の椅子を戻そうとしたんだ」
「癖なんだよ。テーブルに椅子がぴったり納まっていないと気持ち悪い。椅子に何かゴミが落ちているのも気になるんだ」
「なるほど、参考になったよ」
ピンク色の髪の毛ねぇ。
だが、論文を売った人物が落としたとは言い切れない。
ピンク色でスパイといえばメイリーンだが。
まさかな。
だが、椅子を戻さないのはメイリーンならありえそうだ。
暗部を呼び出した。
「メイリーンを監視してた時に椅子に座った後に椅子を戻したか」
「戻してませんね。癖でしょうか」
疑惑が更に深まったな。
とにかく、疑惑だけではな。
証拠を掴まないと。
「すまないね。ホムンさん」
「説明してもらいたいだけなんだが」
俺は今、拉致同然に連れられて魔法学園の理事長室にいる。
目の前には胡散臭そうな男。
「私は理事の一人なんですがね。私の管轄で盗難事件が発生したのですよ」
「俺はその容疑者って訳か」
「いやいや、違うよ。調べる方に推薦したい」
「俺に探偵をやれってのか」
「そうです」
「なぜ俺なんだよ」
「他の理事と繋がっていない確証がある」
「ほう、なぜ」
「賞金首になった経緯を調べましたが、他の理事の影がない。他の理事と繋がっていたら、事件はもみ消されるか。口封じに殺されるかです」
「探偵役を断わったら?」
「残念ながらゴーレムの体を逮捕する。現代のゴーレムはきっと秘術が沢山使われているんだろうなぁ。調べたいなぁ」
別にドラゴンが逮捕される訳ではないから、問題ないと言えばないんだけど。
そこはかとなく悔しい。
ただで研究成果をくれてやるのもな。
「ちきしょう。痛い所を突きやがって。探偵役やってやるよ」
「そう言ってくれると思ってました」
「早く事件の説明をしろ」
「盗まれたのは論文です」
「金庫か何かに保管してあるんだろ」
「そうです。金庫は破られてません。講師の応募の論文に同じ物が二つ出てきたのです」
「名前入りで論文は提出したんだろ。なら犯人はもう分かっているじゃないか。二人のうちのどっちかだ」
「それがですね。そういう事件が同時に三つ起こったのです。もちろん、その六人は全員が別の人物です」
「ふーん。腕利きのスパイかなんかの仕業だな」
「そうなんです。真偽鑑定で盗作した側が分かって話をきいたのですが。酒場で見ず知らずの女から買ったとしか判明してません」
「対処は簡単だろ。同じ物が二つ出てきたら、真偽鑑定にかけりゃ良い」
「ところがですね。ある教授が偶然同じ発想に行き着く事はあると言い出しまして。それで、三件の事件のうち、真偽鑑定を受け入れたのは一件だけです」
「あー、ごねられると始末に負えないと。真偽鑑定を拒否するのは法律で保証されているのだっけ」
「そうですね。非常に困ってます」
「元から断たないと駄目って訳ね。分かったよ調べてみる」
そうは言ってみたもののプログラマーは探偵じゃない。
だが、少しばかり自信がある。
プログラムのバグを潰すのは推理なのだ。
固定概念に囚われると原因が分からなくなる。
可能性を一つ一つ潰していってプログラムの途中の結果を受け取って確認。
そして、推理する。
今回もこの手法で行こう。
聞き込みで可能性を一つ一つ潰して、途中経過は罠を仕掛ける。
たぶん犯人はまた同じ事をする。
それを観察するのだ。
まずは論文を書いた側だな。
講師志望の男性に話を聞きに行くと快く応じてくれた。
「論文を書いている途中、何か視線を感じるとか変わった事はなかったか」
「ないね。今回のは一時間で書き上げたから、書いている途中で盗まれたとは考えられない」
「透明人間でもいない限りはだな」
「私は事務員が怪しいと思っている」
「参考になった」
リトワースの暗部には係わっていないと確認が取れている。
完全ではないが透明にする魔法をリトワース以外の人間が使っていれば暗部に情報が入るそうだ。
ここら辺りは信用していいと思う。
事務員は係わった者すべてが真偽鑑定魔法で白が確定していた。
さて次は盗作を買った側だな。
この男も快く聴取に応じてくれた。
「いやぁ、ある意味良かったと思うよ。ルール的に許されているのならともかく。禁止されている行為をして、講師になっても心に澱が溜まったと思うんだ」
「一時の気の迷いは誰にでもあるさ」
「幸い真偽鑑定を受け入れたので、今回の事は不問にしてくれる事になった。だから、また挑戦するよ」
「論文を売った人物はどんなだった」
「声は若い女だったな。会った場所は薄暗い酒場で。フードを被っていたから顔は見ていない」
「何か覚えている事はあるか」
「立ち去った後に女が座っていた椅子を戻そうとして、ピンクの髪の毛が落ちていたな」
「なんで女の椅子を戻そうとしたんだ」
「癖なんだよ。テーブルに椅子がぴったり納まっていないと気持ち悪い。椅子に何かゴミが落ちているのも気になるんだ」
「なるほど、参考になったよ」
ピンク色の髪の毛ねぇ。
だが、論文を売った人物が落としたとは言い切れない。
ピンク色でスパイといえばメイリーンだが。
まさかな。
だが、椅子を戻さないのはメイリーンならありえそうだ。
暗部を呼び出した。
「メイリーンを監視してた時に椅子に座った後に椅子を戻したか」
「戻してませんね。癖でしょうか」
疑惑が更に深まったな。
とにかく、疑惑だけではな。
証拠を掴まないと。
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