転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~

喰寝丸太

文字の大きさ
134 / 164
第23章 講師のドラゴン

第134話 試験という名のデート

しおりを挟む
 今日はヴィナを弟子にとるかどうかの試験という名のデートだ。
 ヴィナは魔力増強の魔道具をジャラジャラとつけて現れた。
 やっぱりな。
 魔力を増やす欲求には逆らえなかったか。

「今日はどこに行く」
「呪文屋に行ってから、図書室に行って、そして研究室よ」
「マッドサイエンティストらしい選択だな」
「私はそんなのじゃないわ。ちょっと魔法に対する好奇心が旺盛なだけよ」
「まあいいや。とっとと行くぞ」

 呪文屋に着いた。
 タルコットの店ではなく、ミニアと最初にきた呪文屋だ。
 この店の目玉は確か銅貨二十枚のくじだったな。

 ヴィナはまっさきにくじを目指した。
 やっぱりそこに食いつくか。

「くじお願い」
「どうぞ、好きなのを選んで」

 ヴィナがくじを五枚引く。

「ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、えっと、これは当たりなのかな」
「どれどれ。ソクチス・ニミハスチスイシレ・ソクチス・モチニミゆヒラニシよ・が・スイカナスミゆニミハスチスイシよレ・む、だな。ちょっと待て、考える」

char infrared; /*赤外線*/
char main(void)
{
 return(infrared); /*赤外線を返す*/
}

「どう分かった」
「暗視の魔法だな」
「便利そうじゃない」
「お客さん、残念ながらそれはお遊び魔法なんですよ。使ってみれば分かります」

「そうなの。ソクチス・ニミハスチスイシレ・ソクチス・モチニミゆヒラニシよ・が・スイカナスミゆニミハスチスイシよレ・む。視界せま」
「分かりましたか。実用には適しません」

 改造すれば使えるな。

char infrared[10000]; /*赤外線*/
void main(void)
{
 TEL *tp; /*伝言の定義*/
 tp=topen("テニツチスシ"); /*俺の回線を開く*/
 twrite(infrared,1,10000,tp); /*伝言に書き込み*/
 tclose(tp); /*閉じる*/
}

 こんなのでどうだ。
 視界1メートルの正方形だ。
 ドラゴンは赤外線が見えるのでいらない魔法だが、ミニアには使える。

「ちぇ、今日はハズレね」
「姿隠しの魔法はここで手に入れたのか」
「ある訳ないよ。遺跡で手に入れたのよ」
「やっぱり使える魔法は遺跡だな」
「ええ。図書室にいきましょ」

 お馴染みの学園の図書室だ。
 ヴィナは盛んに何かを探して図書室をうろついた。

「何か探している文献があるのか」
「今は蘇生魔法を探しているわ」
「ほう、蘇生魔法ねぇ。手掛かりはあるのか」
「古代の文献に記述があったの。特別に見せてあげる」

 写したと思われる魔法語を見せられた。
 どれどれ。
 『チカナカチスチニニミチ・トラミラトチミ・トラトイニモチクラナ』か。
 直訳すると、『在ったらいいな その三、蘇生魔法』だ。

「この文献は希望というか空想を書いた物だ。望み薄だな」
「そんな。今までの努力は無駄だったというの」
「そんな事はないぞ。調べる過程で色んな知識を身に着けただろ。それは糧になっているはずだ」
「無駄じゃなかったのね。魔法の達人のいう言葉だから、信用するわ」
「次は研究室だな」

 ヴィナが慣れた様子で研究室の鍵を開ける。
 その研究室は書棚が沢山置いてあって、黴臭そうな感じがした。

「この研究室の研究テーマはなんだ」
「ゴーレムの作成よ」
「おう、それは俺も知りたい」
「でも、中々ゴーレムの実物が手に入らなくて、研究は進んでないわ」
「なんて所に連れて来るんだよ。今は授業中で人がいないが。人が帰ってきたら、大騒ぎになりそうだ」
「鍵を掛けたわ。ゴーレムの秘密を教えて」
「いいだろ」

 『ソクチス・モチカイスニチリガヌワムレ・
ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・
ソクチス・ラスコニカガヌワワムレ・
モチキニソ・けモセレ・
モセほモチキニソろモチノイゆモチカイスニチリネトニツイラハゆモチカイスニチリよネニモチキイコリラソノよレ・
モチキニソろトセニスチリゆモセネラスコニカネトニツイラハゆラスコニカよよレ・
モチキニソろモラヒイゆモセネラスコニカネトニツイラハゆラスコニカよよレ・む』と紙に書いて渡した。

「何の呪文?」
「物質を円運動させる呪文だ」
「なるほど、あなたはこうやって動いている訳ね」
「納得したか」
「ええ、視界はどうやって確保しているの」
「それがな。研究途中でスライムに感覚共有して補っている」
「でも、実際にゴーレムを作れたのだから凄いわ」

 扉のところがガチャガチャとうるさい。

「ありゃ、研究室のメンバーが入ろうとしているのか。俺は人が来たら退散するぞ」
「そんなはずは。メンバーはみんな鍵を持っているはずよ」

 扉の所で爆発が起き、扉が吹き飛ばされた。
 せっかちな野郎だな。
 ノックして開けてもらえばいいのに。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 日曜日以外、1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします! 2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております! こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!! 2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?! なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!! こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。 どうしよう、欲が出て来た? …ショートショートとか書いてみようかな? 2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?! 欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい… 2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?! どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…

処理中です...