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第26章 相談クラブのドラゴン
第151話 記憶屋
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今度こそは新しい発想よ来いと意気込んで、相談室クラブに顔を出した。
部屋でくつろいでいるとノックの音がした。
「開いてます」
ダタン地方の生徒が応対する。
「聞いてくれ。俺は馬鹿なんだ。とにかく暗記が苦手だ」
挨拶もそこそこに相談に来た男子生徒が話し出した。
馬鹿なのに魔法学園に合格したのか。
少し興味が出てきた。
「学園にはどうやって受かった」
俺は興味を口に出した。
「へへん、ペンを転がした」
「それだけだと受からないだろう」
「ここだけの話。記憶屋を頼った」
「記憶屋って何だ?」
「魔法で知識を記憶してくれる」
「ほう、それはそそられる」
俺は詰め寄った。
「この鎧のおっさん怖いんだけど」
「大丈夫です。魔法の知識は任せてもいいかも知れませんね」
「それより、記憶屋の事を話せ」
「路地で怪しい占い師風の女に声を掛けられたんだよ」
「それで」
「ガセだとは思っていたが、俺って馬鹿だろ。話に乗って金を払った。そしたらペンダントを出してユラユラと。そっから記憶がない。起きたらなぜか試験の知識が頭に入っていた」
「なんだよ。催眠術じゃねえか。期待して損した」
「あれから何度もその路地を覗いたが女は居なかった」
「お前、その時に何か盗られなかったか?」
「うん、有り金を全部、盗られた」
「うわ、可哀相だと思ったのか、律儀な性格だったんだろうなその強盗。知識の暗示を掛けるとは」
「それで頼る所がなくって」
「賢くして欲しいのか」
「魔法の詠唱が覚えられない」
「何文字ぐらいならいけるんだ」
「20文字ぐらいなら」
前に作ったのは。
ライブラリがこうで。
void f(void)
{
fire_ball_test();
}
でメインはこう。
int main(void)
{
f();
}
冒頭を汎用にして、詠唱に変換する。
『ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・ハゆよレ・む』だな。
ええと20文字だ。
圏内だな。
「とっておきの奴がある。20文字だ」
「それは誘導弾?」
「誘導弾は無理だ」
「嫌だ、誘導弾じゃなきゃ嫌だ」
「おいおい、子供かよ。だだこねてもどうにもならん」
しかたねぇな。
誘導弾で短いのを開発するか。
ライブラリはこう。
void g(char *guid) /*基本の魔力コスト10*/
{
char o[10]; /*軌道データ。魔力コスト1*/
int i; /*カウンター*/
MAGIC *m; /*魔法の定義*/
mp=fire_ball_make(15); /*火の玉生成*/
for(i=0;i<2000;i++){ /*二千回繰り返し。射程200メートル*/
magic_direct(m,o,sizeof(o),guid); /*目標に向かう軌道データ生成*/
magic_move(m,o,sizeof(o)); /*軌道データ通りに動かす*/
}
}
メインはこう。
void main(int argc,char *argv[])
{
g(argv[1]);
}
えっと、詠唱は『ヒラニシ・モチニミゆニミカ・チスキソネソクチス・けチスキヒガムよ・が・キゆチスキヒガヌムよレ・む』だな。
42文字だ。
だいぶ、オーバーしてる。
「42文字になるがどうだ」
「頑張ればなんとかなるかも」
例によってタルコットの呪文屋にご案内。
そして、ドラゴンの所に連れて行き、ライブラリをコピーした。
呪文を見て顔をしかめる男子生徒。
「冒頭の『ヒラニシ・モチニミゆニミカ・チスキソネソクチス・けチスキヒガムよ・が』は誘導弾みたいな物にはよく使う。これを徹底的に暗記しろ。そうすれば残りは12文字だ」
「分かった」
「冒頭が『ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が』もよく使うこれも暗記しとけ」
「分かった」
真剣に呪文を見てブツブツと呟いているが、大丈夫なんだろうか。
「おっし」
男子生徒がパチンと頬を叩いた。
「覚えたか」
「すぐには無理」
「そんな事だと思ったよ」
世話になっているライラスに差し入れを持って行って、記憶屋の続報が聞けた。
女は捕まったらしいが、無罪を主張したらしい。
なんでも術は施したから対価を貰って何が悪いと言い放ったとライラスが言っていた。
記憶の催眠術は律儀ではなく保身の為だったんだな。
そして、女は放浪の民だった。
ミニアの国民じゃねえか。
俺は弁護士を女の為に手配してやった。
ミニアの名前でだ。
無罪になると良いがな。
有罪でも一向に構わないが。
悪いか、人気取りの一環だよ。
こういう所で人気を稼いでおくと何かに役に立つだろう。
部屋でくつろいでいるとノックの音がした。
「開いてます」
ダタン地方の生徒が応対する。
「聞いてくれ。俺は馬鹿なんだ。とにかく暗記が苦手だ」
挨拶もそこそこに相談に来た男子生徒が話し出した。
馬鹿なのに魔法学園に合格したのか。
少し興味が出てきた。
「学園にはどうやって受かった」
俺は興味を口に出した。
「へへん、ペンを転がした」
「それだけだと受からないだろう」
「ここだけの話。記憶屋を頼った」
「記憶屋って何だ?」
「魔法で知識を記憶してくれる」
「ほう、それはそそられる」
俺は詰め寄った。
「この鎧のおっさん怖いんだけど」
「大丈夫です。魔法の知識は任せてもいいかも知れませんね」
「それより、記憶屋の事を話せ」
「路地で怪しい占い師風の女に声を掛けられたんだよ」
「それで」
「ガセだとは思っていたが、俺って馬鹿だろ。話に乗って金を払った。そしたらペンダントを出してユラユラと。そっから記憶がない。起きたらなぜか試験の知識が頭に入っていた」
「なんだよ。催眠術じゃねえか。期待して損した」
「あれから何度もその路地を覗いたが女は居なかった」
「お前、その時に何か盗られなかったか?」
「うん、有り金を全部、盗られた」
「うわ、可哀相だと思ったのか、律儀な性格だったんだろうなその強盗。知識の暗示を掛けるとは」
「それで頼る所がなくって」
「賢くして欲しいのか」
「魔法の詠唱が覚えられない」
「何文字ぐらいならいけるんだ」
「20文字ぐらいなら」
前に作ったのは。
ライブラリがこうで。
void f(void)
{
fire_ball_test();
}
でメインはこう。
int main(void)
{
f();
}
冒頭を汎用にして、詠唱に変換する。
『ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・ハゆよレ・む』だな。
ええと20文字だ。
圏内だな。
「とっておきの奴がある。20文字だ」
「それは誘導弾?」
「誘導弾は無理だ」
「嫌だ、誘導弾じゃなきゃ嫌だ」
「おいおい、子供かよ。だだこねてもどうにもならん」
しかたねぇな。
誘導弾で短いのを開発するか。
ライブラリはこう。
void g(char *guid) /*基本の魔力コスト10*/
{
char o[10]; /*軌道データ。魔力コスト1*/
int i; /*カウンター*/
MAGIC *m; /*魔法の定義*/
mp=fire_ball_make(15); /*火の玉生成*/
for(i=0;i<2000;i++){ /*二千回繰り返し。射程200メートル*/
magic_direct(m,o,sizeof(o),guid); /*目標に向かう軌道データ生成*/
magic_move(m,o,sizeof(o)); /*軌道データ通りに動かす*/
}
}
メインはこう。
void main(int argc,char *argv[])
{
g(argv[1]);
}
えっと、詠唱は『ヒラニシ・モチニミゆニミカ・チスキソネソクチス・けチスキヒガムよ・が・キゆチスキヒガヌムよレ・む』だな。
42文字だ。
だいぶ、オーバーしてる。
「42文字になるがどうだ」
「頑張ればなんとかなるかも」
例によってタルコットの呪文屋にご案内。
そして、ドラゴンの所に連れて行き、ライブラリをコピーした。
呪文を見て顔をしかめる男子生徒。
「冒頭の『ヒラニシ・モチニミゆニミカ・チスキソネソクチス・けチスキヒガムよ・が』は誘導弾みたいな物にはよく使う。これを徹底的に暗記しろ。そうすれば残りは12文字だ」
「分かった」
「冒頭が『ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が』もよく使うこれも暗記しとけ」
「分かった」
真剣に呪文を見てブツブツと呟いているが、大丈夫なんだろうか。
「おっし」
男子生徒がパチンと頬を叩いた。
「覚えたか」
「すぐには無理」
「そんな事だと思ったよ」
世話になっているライラスに差し入れを持って行って、記憶屋の続報が聞けた。
女は捕まったらしいが、無罪を主張したらしい。
なんでも術は施したから対価を貰って何が悪いと言い放ったとライラスが言っていた。
記憶の催眠術は律儀ではなく保身の為だったんだな。
そして、女は放浪の民だった。
ミニアの国民じゃねえか。
俺は弁護士を女の為に手配してやった。
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