FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

🏀

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 木のバックボードは塗装が剥がれてはいたが、まだまだ現役といったふうに聳え立っている。南は、白いワイシャツの肩もとに手を入れて、内側に着た黒いチビTのアメリカンスリーブを直すと、壁際にあった所々凹んだアルミの大きなごみ箱の中に入っていたバスケットボールを取り出して、シュートを放つ。
 間もなくして二階から下りてきて玄関を開けた春樹が、ストーンホワイトの長袖フーディーのポケットに両手を突っ込んで駐車場に出てきた。
「腰が入ってないよ、腰が。手の力だけで撃っても入んないって」二発目のシュートを放とうとする南の、白黒レイヤードに包まれた胴体から、昨日と同じ白のボトムスに包まれたへっぴり腰までをなぞるように見やる。
「それじゃあ、見本見せてよ」
 放り投げられたボールを受け取ると、数回バウンドさせてからシュート体勢に入る。表面がさかむけた古いボールは、シュッと乾いた音を発してゴールリングに吸い込まれていく。そして、落ちてきたボールを手にした彼は、バウンドするボールを中心にターンすると、少し離れたところかシュートしてそれを決め、落ちてくるボールにスローで駆け寄って、そのままフックシュートでネットを揺らすと、更にはゴール下からジャンプシュートまでを放ち難なく入れた。
 南が足元を見やる。彼の足元は、フーディ―と同色のスウェットパンツで、裸足にサンダルを履いていたが、それをものともしない足さばきで、次々とシュートを決めていく。
 喝采の拍手を浴びせかけた南に気をよくした春樹が、腕まくりをしてニヤリと笑う。
「俺の代で関東行くぜ」
「がんばれ」奈緒が歌舞伎の大向こうなみの絶妙さで掛け声を入れる。
 南は、ポケットに左右の親指を引っかけると口端を弓なりに上げて、鷹揚な微笑を作った。
「高木なら間違いなく行けるよ、バスケ一辺倒だからね。チャラそうに見えて意外に頑張ってるもん」
「チャラそうは余計だけどな」と、春樹が照れながら、脱いだ上着の袖を腰に巻いて硬く縛りつける。
「一年の時からレギュラーだったもんね。ただ者じゃないよ。プロになれるよ。3ポイントすごくきれいだもん。アメリカでだって通用するよ」
 南は、彼のバスケの才能について称賛を惜しまなかった。瞠目する彼女に褒められた春樹の投げたボールは、心なしかリングに吸い込まれる回数が増えた。
 南が続ける。
「でも肝心な時に玉入んないよね」
 その言葉を浴びたボールは、気のせいか微妙にぶれてリングで跳ねて落ちる。拾いに行った彼の指先からもボールはこぼれた。
「ほらね」南が笑う。
 天国から地獄に突き落とされた春樹は苦々しい顔をして、笑ういがぐりを冗談ぽく睨む。彼女は暴れる鯛をまな板に載せるのが上手かった。そしてトドメをさすのも上手かった。









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