#秒恋4 恋の試練は元カノじゃなくて、元カノの親友だった件。

ReN

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piece3 明確な悪意

明日楽しみだね

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拓真と、取り留めのない会話をしながら歩いていると、悠里の気持ちは次第に安らいでいった。

拓真の気遣いは、いつもさり気なく、暖かい。
陽気に人の懐に飛び込んでいくタイプに見えるが、見極める力が高い。
拓真は、相手の望まぬ場所に踏み込むことは絶対にしない。

今日も拓真は、悠里に対して、何も聞いてこない。
素知らぬふりで、ただ傷の手当てをして、いつも通りに接してくれる。
まるで毛布をかけて安心させるかのような、優しさをくれる。

暖かい、剛士の親友――


「じゃあ悠里ちゃん、気をつけて帰ってね?」
駅に到着し、お互いの電車のホームへの分かれ道で、拓真が微笑む。

「また明日ね! ゴウも楽しみにしてたよ」
「本当?」
拓真の口から剛士の名前が出て、思わず悠里の顔がほころぶ。

「うん!明日は悠里ちゃんに会えるから、今日は居残り練するって、張り切って部活行ったもん」
「ふふっ」

「土曜に悠里ちゃんに会えるの、すごいモチベになってるみたい」
ちょっと可愛いよね、ゴウのやつ、と拓真が片目を瞑って見せた。


今の悠里にとって、本当に嬉しい言葉だった。
自分が、剛士のモチベーションを上げる助けになれているのなら。
こんなに、幸せなことはない。

「嬉しいな……」
悠里は頬を染め、小さく笑う。
「明日、楽しみだね?」
「ふふ、うん!」


春には3年生になって、高校生の集大成となる戦いに身を投じる剛士。
キャプテンとして、1人のプレイヤーとして、バスケに真剣に向き合う剛士。

彼の戦いを、精一杯応援できる自分でありたい。
邪魔になんてなりたくない。絶対に。


悠里は決意を新たにする。

――大丈夫。負けないよ。

今日、拓真に会えて良かった、と悠里は思う。
怖くて、悲しくて、挫けそうになっていた心を、温めて貰えた。元気付けてくれた。

自分は、周りの人のおかげで、笑顔になれる。立ち上がれる。

悠里はもう一度、拓真を見上げて微笑んだ。
「拓真さん。ありがとう」
「ん! どういたしまして」
拓真は悠里の瞳を見つめ、優しい笑顔を浮かべた。
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