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piece9 親友
先輩
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『送る会が終わってから、その先輩と、副キャプテンと俺の3人で、ご飯行ってきたんだ』
「そっかあ」
『だから、連絡遅くなってごめんな?』
剛士が、悪戯っぽく謝ってくる。
帰宅したら悠里に連絡するのが当然と言わんばかりのセリフに、胸がくすぐったくなる。
「ふふ、楽しかった?」
『うん。いろいろ話せて、すげえ楽しかった』
この瞬間まで弾んでいた剛士の声が、少しだけ、小さくなった。
『その先輩……俺と一緒に、現場を見ちゃった人なんだ』
「……うん」
それは、1年前の卒業式の日。
エリカの裏切りの現場を見たという意味だと悟り、悠里は小さな声で返事を返す。
『俺のために、すごい怒ってくれて……まあその分、止めるのも一苦労だったんだけど、』
暗い空気になり過ぎないように、剛士は笑いを挟みながら話を続ける。
『俺が、バスケ部に居づらくならないように。それから、キャプテンになれるように。副キャプテンと一緒に、卒業後も部員に働きかけてくれたんだ』
「そっかあ……」
『うん。だから俺、この先輩には頭上がらないんだ』
剛士の声に、穏やかな笑みが戻ってきた。
「ふふ、そっかあ」
つられるように、悠里も微笑む。
「素敵な先輩だね」
『うん。……いつか、お前のこと、紹介したいな』
「本当?嬉しいな」
大切な先輩に、引き合わせてくれること。
それは剛士の住む世界、彼の人生に、悠里を引き入れてくれることだと感じられて、嬉しくなる。
剛士との距離が、またひとつ縮まる気がした。
「ありがとう。ゴウさん」
『……俺の方こそ』
またひとしきり、2人で穏やかな笑みを交わした後。
剛士が、大切なことを話そうと、ひと呼吸置いたのがわかった。
今から話す言葉がきっと、本題。
悠里は静かに、彼の次の言葉を待つ。
剛士が、静かな声で言った。
『……さっき、あの人から連絡があった』
名前を言わないのは、悠里への配慮だろう。
「……うん」
悠里は、あの大輪の花束のような、美しい笑顔を持つ、あの人を思い浮かべながら頷いた。
『来週の土曜日に、あの人と、その彼氏と、会って話すことにしたよ』
「そっか……」
屋上で見た、エリカの華やかな微笑みと、悲しい涙が、悠里の脳裏をよぎる。
「うん。わかった」
悠里は努めて、しっかりと答えた。
剛士の優しい声が、悠里に約束をくれる。
『ちゃんと話して、終わらせてくる』
「……うん」
思わず声が震えてしまい、悠里は唇を噛んで堪えた。
剛士がそっと、悠里の心に寄り添う。
『ずっと、不安にさせたり、我慢ばっかりさせて……ごめんな』
「……ううん。大丈夫だよ」
悠里は口元に笑みを作り、答えた。
「ゴウさんはいつも、私に正直な気持ちを、話してくれたから。だから、大丈夫」
『悠里……』
「私、ゴウさんのこと、信じて待ってるって、言ったもん」
悠里は真摯な思いを込めて、囁いた。
『……ありがとう、悠里』
剛士が優しい声で、応えてくれる。
『悠里が、そんなふうに言ってくれたから……いつも、俺の傍にいてくれるから。俺、がんばれる』
「私も……」
悠里は、ぎゅっとスマートフォンを握りしめた。
「ゴウさんが、傍にいてくれるから。私も、がんばれるの……」
『悠里』
剛士は、深い感謝の気持ちを込めて、囁く。
『一緒にがんばってくれて、ありがとな』
剛士の思いが伝わってきて、悠里の胸はいっぱいになる。
「ゴウさん……」
「そっかあ」
『だから、連絡遅くなってごめんな?』
剛士が、悪戯っぽく謝ってくる。
帰宅したら悠里に連絡するのが当然と言わんばかりのセリフに、胸がくすぐったくなる。
「ふふ、楽しかった?」
『うん。いろいろ話せて、すげえ楽しかった』
この瞬間まで弾んでいた剛士の声が、少しだけ、小さくなった。
『その先輩……俺と一緒に、現場を見ちゃった人なんだ』
「……うん」
それは、1年前の卒業式の日。
エリカの裏切りの現場を見たという意味だと悟り、悠里は小さな声で返事を返す。
『俺のために、すごい怒ってくれて……まあその分、止めるのも一苦労だったんだけど、』
暗い空気になり過ぎないように、剛士は笑いを挟みながら話を続ける。
『俺が、バスケ部に居づらくならないように。それから、キャプテンになれるように。副キャプテンと一緒に、卒業後も部員に働きかけてくれたんだ』
「そっかあ……」
『うん。だから俺、この先輩には頭上がらないんだ』
剛士の声に、穏やかな笑みが戻ってきた。
「ふふ、そっかあ」
つられるように、悠里も微笑む。
「素敵な先輩だね」
『うん。……いつか、お前のこと、紹介したいな』
「本当?嬉しいな」
大切な先輩に、引き合わせてくれること。
それは剛士の住む世界、彼の人生に、悠里を引き入れてくれることだと感じられて、嬉しくなる。
剛士との距離が、またひとつ縮まる気がした。
「ありがとう。ゴウさん」
『……俺の方こそ』
またひとしきり、2人で穏やかな笑みを交わした後。
剛士が、大切なことを話そうと、ひと呼吸置いたのがわかった。
今から話す言葉がきっと、本題。
悠里は静かに、彼の次の言葉を待つ。
剛士が、静かな声で言った。
『……さっき、あの人から連絡があった』
名前を言わないのは、悠里への配慮だろう。
「……うん」
悠里は、あの大輪の花束のような、美しい笑顔を持つ、あの人を思い浮かべながら頷いた。
『来週の土曜日に、あの人と、その彼氏と、会って話すことにしたよ』
「そっか……」
屋上で見た、エリカの華やかな微笑みと、悲しい涙が、悠里の脳裏をよぎる。
「うん。わかった」
悠里は努めて、しっかりと答えた。
剛士の優しい声が、悠里に約束をくれる。
『ちゃんと話して、終わらせてくる』
「……うん」
思わず声が震えてしまい、悠里は唇を噛んで堪えた。
剛士がそっと、悠里の心に寄り添う。
『ずっと、不安にさせたり、我慢ばっかりさせて……ごめんな』
「……ううん。大丈夫だよ」
悠里は口元に笑みを作り、答えた。
「ゴウさんはいつも、私に正直な気持ちを、話してくれたから。だから、大丈夫」
『悠里……』
「私、ゴウさんのこと、信じて待ってるって、言ったもん」
悠里は真摯な思いを込めて、囁いた。
『……ありがとう、悠里』
剛士が優しい声で、応えてくれる。
『悠里が、そんなふうに言ってくれたから……いつも、俺の傍にいてくれるから。俺、がんばれる』
「私も……」
悠里は、ぎゅっとスマートフォンを握りしめた。
「ゴウさんが、傍にいてくれるから。私も、がんばれるの……」
『悠里』
剛士は、深い感謝の気持ちを込めて、囁く。
『一緒にがんばってくれて、ありがとな』
剛士の思いが伝わってきて、悠里の胸はいっぱいになる。
「ゴウさん……」
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