#秒恋4 恋の試練は元カノじゃなくて、元カノの親友だった件。

ReN

文字の大きさ
90 / 94
piece9 親友

甘い予約

しおりを挟む
こんなに、自分を必要としてくれる。
溢れるほどの、優しい言葉をくれる。
真っ直ぐな、暖かい気持ちをくれる。

喜びに満たされ、心が甘く震えた。
ただただ幸せで、悠里はそっと目を閉じ、優しい時間を感じていた。


『ねえ、悠里?』
「うん、なあに?」
『来週……話が終わったら、お前に連絡していい?』

剛士が少しだけ、悪戯っぽく笑う。
『話が終わったからって、いきなり、俺と付き合って、なんて言ったりしないからさ』


「……ふふ」
悠里も悪戯っぽく、そして少しだけ甘えるような声音で囁いた。
「言って、くれないの?」

照れたような、小さな笑みを零した剛士が、嬉しそうに問いかけてくる。

『言っていいの?』
「ふふ……うん」
『俺との日常、慣れてくれた?』
「……うん」

話しながら恥ずかしくなってしまい、悠里の頬が熱くなる。
自分から、告白をおねだりするなんて。
剛士と出会う前には、考えられない感情だった。
こんなふうに、誰かの特別になりたいなんて、思ったことはなかった。

きっと、自分の初恋は、剛士なんだ。
震える胸を抱きながら、悠里は思った。


剛士が、甘い声で囁いてくれる。
『ちゃんとした告白は、会って、悠里の顔を見てするよ』
「……うん」
『だから今は、まあ……予約な?』
「ふふっ」

悠里は、クスクス笑いながら答えた。
「うん。待ってます」


『……好きだよ、悠里』

耳元で囁かれる思いに、心が優しく高鳴った。

電話越しとは思えないほど、真っ直ぐに届く、剛士の気持ち。
悠里は胸に手を当て、そっと応える。

「……私も。私も、大好き……」
『うん。ありがとな、悠里……』


剛士が、小さな吐息を零す。
『あーあ。今すぐ、お前を抱きしめたい』

「うぅ……」
気持ちを憚ることなく表現してくれる剛士は、とても、とても甘い。

――このまま、溶けてしまいそう……
熱くなる全身を持て余しながら、悠里は口篭った。

『本当、可愛いな、悠里は』
「か、からかっちゃダメ」
『からかってないよ?』
剛士が、楽しそうに笑う。
『抱きしめたいのも、すぐ照れるとこが可愛いのも、本当』
「もう……」

自分はいつか、この甘さに慣れることはできるだろうか。
悠里は、真っ赤な頬に手を当てた。


剛士は、ひとしきり恥ずかしがる悠里を愛でたあと、話題を切り替えた。

『悠里は、土日は彩奈と会うのか?』
「うん!明日会うよ」
『そっか。よろしく言っといてな』
「ふふ、はぁい」

悠里も、同じように問いかける。
「ゴウさんは、部活?」
『ん、そうだな。無事に卒業式と送る会が終わったから、この土日は、両方とも部活』
「そっかあ」

『明日は、春休みや来年度に向けた、体制とか練習計画を立てるミーティングで、日曜日が久しぶりの本格練習だな』
「そっかあ。がんばってね!」
『おう』

剛士が、柔らかく微笑んだ。
『悠里に、がんばれって言って貰えるの、嬉しいな』
悠里も嬉しくなり、元気に答える。
「本当? ずっと、応援するよ」
『うん。ありがとな』


いつになく、長電話になっていた。
剛士が、夜を惜しむように、囁く。
『じゃあ、また連絡するからな』
「……うん」
『おやすみ、悠里』
「おやすみなさい、ゴウさん」

少し熱くなったスマートフォンを、悠里は名残惜しげに握りしめる。
身体に、耳に、心に残る、剛士の甘い熱。
幸せな、幸せな1日の終わり。

悠里は、はあっと息をついた。
「眠れるかな……」


剛士と刻む、幸せな未来まで、あと少し。
がんばれて良かった、と、悠里はひとり、微笑んだ。

自分が、今日までがんばってこれたのは、彩奈や拓真、そして剛士が、いつも一緒にいてくれたからだ。

親友と、愛しい人の顔を、大切に心に思い浮かべる。
皆への感謝を胸に、悠里は暖かい布団に潜り込んだ。


幸せな未来に亀裂が生じるなどとは、一欠片も考えずに。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

#秒恋9 初めてのキスは、甘い別れと、確かな希望

ReN
恋愛
春休みが明け、それぞれに、新しい生活に足を踏み入れた悠里と剛士。 学校に向かう悠里の目の前に、1つ年下の幼なじみ アキラが現れる。 小学校時代に引っ越した彼だったが、高校受験をし、近隣の北高校に入学したのだ。 戻ってきたアキラの目的はもちろん、悠里と再会することだった。 悠里とアキラが再会し、仲良く話している とき、運悪く、剛士と拓真が鉢合わせ。 「俺には関係ない」 緊張感漂う空気の中、剛士の言い放った冷たい言葉。 絶望感に包まれる悠里に対し、拓真は剛士に激怒。 拗れていく友情をよそに、アキラは剛士をライバルと認識し、暴走していく―― 悠里から離れていく、剛士の本心は? アキラから猛烈なアピールを受ける悠里は、何を思う? いまは、傍にいられない。 でも本当は、気持ちは、変わらない。 いつか――迎えに来てくれる? 約束は、お互いを縛りつけてしまうから、口にはできない。 それでも、好きでいたい。 いつか、を信じて。

マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった

naomikoryo
恋愛
【♪♪♪第19回恋愛小説大賞 参加作品♪♪♪ 本編開始しました!!】【♪♪ 毎日、朝5時・昼12時・夕17時 更新予定 ♪♪ 応援、投票よろしくお願いします(^^) ♪♪】 出会いサイトで“理想の異性”を演じた二人。 マッチ率100%の会話は、マッチアプリだけで一か月続いていく。 会ったことも、声を聞いたこともないのに、心だけが先に近づいてしまった。 ――でも、君は彼女で、私は彼だった。 嘘から始まったのに、気持ちだけは嘘じゃなかった。 百貨店の喧騒と休憩室の静けさの中で、すれ違いはやがて現実になる。 “会う”じゃなく、“見つける”恋の行方を、あなたも覗いてみませんか。

籠の鳥〜見えない鎖に囚われて✿❦二人の愛から…逃れられない。

クラゲ散歩
恋愛
私。ユリアナ=オリーブ(17)は、自然豊かなオータム国にあるグローパー学院に在籍している。 3年生になって一ヶ月が経ったある日。学院長に呼ばれた。技術と魔術の発展しているフォール国にある。姉妹校のカイト学院に。同じクラスで3年生の男子3名と女子3名(私を含め)。計6名で、半年の交換留学をする事になった。 ユリアナは、気楽な気持ちで留学をしたのだが…まさか学院で…あの二人に会うなんて。これは…仕組まれていたの?幼い頃の記憶。 「早く。早く。逃げなきゃ。誰か〜私を…ここから…。」

結末のないモブキャラは仕方がないので自身の恋物語に終止符を打つことにしました

保桜さやか
恋愛
 いつかの未来に綴られた物語の中に自分の姿がないことに気がついたとき、わたしは物語の中でも背景として機能するいち『モブキャラ』であることを悟った。          ⚘⚘⚘  ポリンピアの街に住むアイリーンは幼馴染の少年・テオルドに恋する女の子。  だけどあるとき、禁断の森に迷い込んだアイリーンは熱を出し、三日三晩寝込むことになる。その夢の中で、別世界にいるという愛理(あいり)という存在が書物を通じて自分たちの世界を見ていたことを知る。その物語には、数年後に勇者となり、名を馳せたテオルドとそんな彼とともに旅をする現代からの転生者で巫女と呼ばれる少女の旅の様子が描かれていた。そして、その世界に自分がいないことを知ったアイリーンは、彼への長年の想いを断ち切るため、愛理の知識をも利用してありとあらゆる手段で独り立ちすることを決意する。

うわさの行方

下沢翠花(しもざわすいか)
恋愛
まだ十歳で結婚したセシリア。 すぐに戦場へ行ってしまった夫のニールスは優しい人だった。 戦場から帰るまでは。 三年ぶりにあったニールスは、なぜかセシリアを遠ざける。 ニールスの素っ気ない態度に傷つき疲弊していくセシリアは謂れのない酷い噂に追い詰められて行く。

恋と首輪

山猫
恋愛
日本屈指の名門・城聖高校には、生徒たちが逆らえない“首輪制度”が存在する。 絶対的支配者・東雲財閥の御曹司、東雲 蓮の「選んだ者」は、卒業まで彼の命令に従わなければならない――。 地味で目立たぬ存在だった月宮みゆは、なぜかその“首輪”に選ばれてしまう。 冷酷非情と思っていた蓮の、誰にも見せない孤独と優しさに触れた時、みゆの心は静かに揺れはじめる。 「おめでとう、今日から君は俺の所有物だ。」 イケメン財閥御曹司 東雲 蓮 × 「私はあなたが嫌いです。」 訳あり平凡女子 月宮 みゆ 愛とか恋なんて馬鹿らしい。 愚かな感情だ。 訳ありのふたりが、偽りだらけの学園で紡ぐカーストラブ。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?

akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。 今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。 家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。 だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?

処理中です...