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piece6 親友たちへの告白
暴行
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「――待って。この場にいる誰も、悪くないよ」
自分を責める言葉を連ねる3人を見兼ねた高木が、口を開いた。
「安全なはずの学校内に、卒業した女がいて、待ち伏せてるなんて。こんな事態を想定して動くなんて、できるわけない。だからみんな、まず自分を責めるのはやめよう」
そうでないと、これからのことを話し合うスタートラインにすら、立てない。
高木は1人ひとりの顔を見ながら、真剣な目で語りかけた。
「おかしいのは、あの女だ。みんなは、何も悪くない。そこはしっかり、気持ちを強く持って欲しい」
剛士は、高木に向かって小さく頭を下げる。
そうだ。彼の言う通りだ。
ここで皆が自分を責めていても、何も始まらない。
今日、皆に集まって貰ったのは、悠里を助けるためだ。
――落ち着いて。
まずは、親友の2人に何が起こったのかを、正確に伝えなければ。
彩奈も何とか気持ちを立て直し、残った涙を拭くと、メガネを掛け直した。
そうして顔を上げ、剛士を見る。
「――取り乱してすみません。話の続き、聞かせてください」
剛士は彩奈に向かい、しっかりと頷いた。
「ありがとう、彩奈」
剛士はもう一度、深呼吸をして胸の痛みを押し込むと、話を再開する。
「あの日、たまたま学校に来てたエリカが、バスケ部の1年生に会ったことで、事が発覚した」
彩奈、そして拓真が、エリカの方を見る。
つられるように、剛士も彼女に目を向けて言った。
「エリカは俺に連絡をくれて、先に悠里を助けに行ってくれた。それで俺が着くまでの間、悠里のことを、守ってくれたんだ」
「そう……だったんですね」
いままでエリカに対して、あまり良い印象は持っていなかっただろう。
彩奈と拓真の目に、驚きと感謝の念が宿る。
彩奈が、深々と頭を下げた。
「ありがとう、ございます……」
エリカは硬い表情のままで、微かに首を横に振った。
続けて剛士は、自分が到着してからの状況を説明する。
「部屋には安藤カンナだけでなく……勇誠バスケ部のメンバーがいた。俺の同級生1人と、後輩2人の、計3人だ」
ユタカの顔が、頭をよぎる。また胸が、鈍く痛む。
剛士は自分を奮い立たせるために、グッと両手を握り締めた。
そうして剛士は、低い声で付け加えた。
「――俺の同級生が、安藤と繋がってたんだ」
拓真が、険しい表情を浮かべる。
「……ゴウのロッカーに、悠里ちゃんをカラオケに呼び出したときの写真を入れたのも、そいつってわけだ」
「……うん」
剛士は静かに頷き、頭を下げた。
「ごめん。俺なりに、写真を入れた犯人を探してたんだけど……間に合わなかった」
彩奈が剛士を見つめ、震える声で問う。
「悠里が連れて行かれた部屋に、安藤カンナだけじゃなく、男が3人もいたっていうことですか……?」
「……うん。悠里に直接暴行したのは安藤だけど、こいつらは、その場にいて……」
「暴行?」
彩奈が聞き咎め、剛士を遮る。
「暴行って、何? 悠里は何されたの?」
エリカが声を掛けようとしたが、彩奈は更に、剛士に詰め寄った。
「答えて、シバさん!」
剛士は眉を顰め、思わず言い淀む。
傷ついて、脅えて、泣き叫んでいた悠里。
ユタカのスマートフォンで見せられた、暴行の様子。
髪を引っ張られ、引き摺られ、殴られて。
ブラウスと下着を破られる痛々しい姿が、鮮烈に脳裏に蘇る。
悲しみと怒りに耐え兼ね、剛士は目を閉じる。
できるなら、親友に――特に彩奈に、話したくない。
けれど、隠しては駄目だ。
きちんと話さないと、伝わらない。
剛士は、重い口を開いた。
「うん……平手で殴られたり、髪を掴んで引き摺られたり……制服を、破かれて……」
彩奈が息を飲み、青ざめていく。
剛士自身も、言葉にするたびに、理性が削り取られていく。
「俺にわかるのは、多分、ごく一部で……」
抑え込んでいた気持ちが溢れてしまいそうで、剛士は言葉に詰まる。
――本当はもっと、殴られていたかも知れない。
もっと、酷いことをされていたのかも知れない……
悠里の悲鳴と泣き声が、耳のすぐ傍で、聴こえる気がした。
自分を責める言葉を連ねる3人を見兼ねた高木が、口を開いた。
「安全なはずの学校内に、卒業した女がいて、待ち伏せてるなんて。こんな事態を想定して動くなんて、できるわけない。だからみんな、まず自分を責めるのはやめよう」
そうでないと、これからのことを話し合うスタートラインにすら、立てない。
高木は1人ひとりの顔を見ながら、真剣な目で語りかけた。
「おかしいのは、あの女だ。みんなは、何も悪くない。そこはしっかり、気持ちを強く持って欲しい」
剛士は、高木に向かって小さく頭を下げる。
そうだ。彼の言う通りだ。
ここで皆が自分を責めていても、何も始まらない。
今日、皆に集まって貰ったのは、悠里を助けるためだ。
――落ち着いて。
まずは、親友の2人に何が起こったのかを、正確に伝えなければ。
彩奈も何とか気持ちを立て直し、残った涙を拭くと、メガネを掛け直した。
そうして顔を上げ、剛士を見る。
「――取り乱してすみません。話の続き、聞かせてください」
剛士は彩奈に向かい、しっかりと頷いた。
「ありがとう、彩奈」
剛士はもう一度、深呼吸をして胸の痛みを押し込むと、話を再開する。
「あの日、たまたま学校に来てたエリカが、バスケ部の1年生に会ったことで、事が発覚した」
彩奈、そして拓真が、エリカの方を見る。
つられるように、剛士も彼女に目を向けて言った。
「エリカは俺に連絡をくれて、先に悠里を助けに行ってくれた。それで俺が着くまでの間、悠里のことを、守ってくれたんだ」
「そう……だったんですね」
いままでエリカに対して、あまり良い印象は持っていなかっただろう。
彩奈と拓真の目に、驚きと感謝の念が宿る。
彩奈が、深々と頭を下げた。
「ありがとう、ございます……」
エリカは硬い表情のままで、微かに首を横に振った。
続けて剛士は、自分が到着してからの状況を説明する。
「部屋には安藤カンナだけでなく……勇誠バスケ部のメンバーがいた。俺の同級生1人と、後輩2人の、計3人だ」
ユタカの顔が、頭をよぎる。また胸が、鈍く痛む。
剛士は自分を奮い立たせるために、グッと両手を握り締めた。
そうして剛士は、低い声で付け加えた。
「――俺の同級生が、安藤と繋がってたんだ」
拓真が、険しい表情を浮かべる。
「……ゴウのロッカーに、悠里ちゃんをカラオケに呼び出したときの写真を入れたのも、そいつってわけだ」
「……うん」
剛士は静かに頷き、頭を下げた。
「ごめん。俺なりに、写真を入れた犯人を探してたんだけど……間に合わなかった」
彩奈が剛士を見つめ、震える声で問う。
「悠里が連れて行かれた部屋に、安藤カンナだけじゃなく、男が3人もいたっていうことですか……?」
「……うん。悠里に直接暴行したのは安藤だけど、こいつらは、その場にいて……」
「暴行?」
彩奈が聞き咎め、剛士を遮る。
「暴行って、何? 悠里は何されたの?」
エリカが声を掛けようとしたが、彩奈は更に、剛士に詰め寄った。
「答えて、シバさん!」
剛士は眉を顰め、思わず言い淀む。
傷ついて、脅えて、泣き叫んでいた悠里。
ユタカのスマートフォンで見せられた、暴行の様子。
髪を引っ張られ、引き摺られ、殴られて。
ブラウスと下着を破られる痛々しい姿が、鮮烈に脳裏に蘇る。
悲しみと怒りに耐え兼ね、剛士は目を閉じる。
できるなら、親友に――特に彩奈に、話したくない。
けれど、隠しては駄目だ。
きちんと話さないと、伝わらない。
剛士は、重い口を開いた。
「うん……平手で殴られたり、髪を掴んで引き摺られたり……制服を、破かれて……」
彩奈が息を飲み、青ざめていく。
剛士自身も、言葉にするたびに、理性が削り取られていく。
「俺にわかるのは、多分、ごく一部で……」
抑え込んでいた気持ちが溢れてしまいそうで、剛士は言葉に詰まる。
――本当はもっと、殴られていたかも知れない。
もっと、酷いことをされていたのかも知れない……
悠里の悲鳴と泣き声が、耳のすぐ傍で、聴こえる気がした。
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