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第一章
目覚めと弔い…①
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焦げ臭さを鼻にかすめて、あの惨劇が真実だと思い知らされた。
そして焼け落ちた屋敷後の中に横たわっていたのに驚く。
まだ、所々煙が立ち込めている。
けれど、この身は怪我一つない。
健康状態そのものだ。
ただ違う事と言えば、握りしめた手の感触だけ。
先ほど、真っ黒に染まり、灰となった家宝の残り香を探すよう呆然と佇んでいた。
18年を過ごした我が家は一瞬のうちになくなってしまった。
弟は…ラフルは無事に逃げられたのかしら?
きっと、小侯爵様が何とかしてくださったと信じたい。
問題はこの崩れた中からルシアとお母様、お父様を見つけられるかどうかね。
けれど、それは杞憂に終わる。だって、突風に巻き上がった柱の下から煤に塗れたルシアとお母様、そして、お父様の胴体と頭部が並ぶように出現したから。
こんな簡単に?
何日もかかると思っていたのに。
確か、ルシアと両親は別の部屋で…。
そう考えて、お母様を穢し、お父様を殺した連中の顔を思い出して、吐き気と怒りがまた、込み上げてきた。
許せない!
見つけて、相応の罰を受けさせてやりたい。
ルシアは煮えくり返る感情を抑えて、ルシアと両親を掘り起こした。
けれど、三人も運び出す力はない。
辺りを見渡すとどこからか逃げ出した牛が目に入った。
牛?しかも牛車…!
一体、どこから逃げ出してきたの?
この辺りでは牛車は珍しい。
でも、これは渡りに船だわ。
全く、とてつもない悲劇に見舞われているのに神様が自分に味方してくれている気にさせられる。
ある意味で自分の都合のいいように物事が動いている。
その運は家族が亡くなる前に発動してほしかったわ。
だけど、嘆いている暇はない。
この運もいつまで持つか分からないもの。
華奢なルシアを最初に運び、お父様とお母様を荷台に乗せて、牛に運ばせた。
意外と自分は力持ちなのかもしれないとわね。
不思議な事にマーシャン家の墓までの道中は誰にも会わなかった。
仮にも歴史だけは長く、土地に根付ているマーシャン家の屋敷が燃えているというのに、誰の姿もないなんて、いい事なのか悪い事なのか…。
騒がれても面倒だし、これは好都合なのかも?
三人を墓の前に並べても誰にも文句は言われないもの。
まさか、生前に立てたそれぞれの名前が書かれた墓石をこんなに早く使う羽目になるなんて…。
もちろん、シェリエルの…私の名が刻まれた物もある。
しかし、自分が眠るのはもう少し先だ。
みんな、泥まみれね。
せめて、新しい服…体を洗い流してあげたかった。
そう思ったら、なぜだか、大量の雨がその身に降り注いでいた。
まるで、三人を洗い流すかのように数分の出来事だった。
そして、再び、何事もなかったかのように晴れやかな空が広がっている。
そして焼け落ちた屋敷後の中に横たわっていたのに驚く。
まだ、所々煙が立ち込めている。
けれど、この身は怪我一つない。
健康状態そのものだ。
ただ違う事と言えば、握りしめた手の感触だけ。
先ほど、真っ黒に染まり、灰となった家宝の残り香を探すよう呆然と佇んでいた。
18年を過ごした我が家は一瞬のうちになくなってしまった。
弟は…ラフルは無事に逃げられたのかしら?
きっと、小侯爵様が何とかしてくださったと信じたい。
問題はこの崩れた中からルシアとお母様、お父様を見つけられるかどうかね。
けれど、それは杞憂に終わる。だって、突風に巻き上がった柱の下から煤に塗れたルシアとお母様、そして、お父様の胴体と頭部が並ぶように出現したから。
こんな簡単に?
何日もかかると思っていたのに。
確か、ルシアと両親は別の部屋で…。
そう考えて、お母様を穢し、お父様を殺した連中の顔を思い出して、吐き気と怒りがまた、込み上げてきた。
許せない!
見つけて、相応の罰を受けさせてやりたい。
ルシアは煮えくり返る感情を抑えて、ルシアと両親を掘り起こした。
けれど、三人も運び出す力はない。
辺りを見渡すとどこからか逃げ出した牛が目に入った。
牛?しかも牛車…!
一体、どこから逃げ出してきたの?
この辺りでは牛車は珍しい。
でも、これは渡りに船だわ。
全く、とてつもない悲劇に見舞われているのに神様が自分に味方してくれている気にさせられる。
ある意味で自分の都合のいいように物事が動いている。
その運は家族が亡くなる前に発動してほしかったわ。
だけど、嘆いている暇はない。
この運もいつまで持つか分からないもの。
華奢なルシアを最初に運び、お父様とお母様を荷台に乗せて、牛に運ばせた。
意外と自分は力持ちなのかもしれないとわね。
不思議な事にマーシャン家の墓までの道中は誰にも会わなかった。
仮にも歴史だけは長く、土地に根付ているマーシャン家の屋敷が燃えているというのに、誰の姿もないなんて、いい事なのか悪い事なのか…。
騒がれても面倒だし、これは好都合なのかも?
三人を墓の前に並べても誰にも文句は言われないもの。
まさか、生前に立てたそれぞれの名前が書かれた墓石をこんなに早く使う羽目になるなんて…。
もちろん、シェリエルの…私の名が刻まれた物もある。
しかし、自分が眠るのはもう少し先だ。
みんな、泥まみれね。
せめて、新しい服…体を洗い流してあげたかった。
そう思ったら、なぜだか、大量の雨がその身に降り注いでいた。
まるで、三人を洗い流すかのように数分の出来事だった。
そして、再び、何事もなかったかのように晴れやかな空が広がっている。
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