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本編
第14話 衝撃の事実
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英弘8(2026)年1月
葛城宮邸のリビングは何やら気まずい雰囲気に包まれていた。新年の儀式や一般参賀への参加を終えて茨城に戻った理仁親王を除いた葛城宮維仁親王と紗栄子、誠子内親王の3人はリビングのテーブルに座っていた。
3人共一様に暗い表情を浮かべており、葛城宮に至っては頭を抱えていた。
その原因となったのはとあるニュースサイトの記事。テーブルに置かれている葛城宮のスマートフォンの画面には件の記事が映されていた。
『【速報】ヨセフ・コーエン氏の改宗は中国による工作の結果であると元中国政府高官が暴露』
ヨセフ・コーエンとは葛城宮と紗栄子の長男である川瀬健仁のイスラエル名である。
中国政府内の権力闘争に敗れアメリカに亡命した元高官がアメリカのメディアに暴露した一件であり、内容を要約すると
「中国がユダヤ教に関心を抱いた健仁親王(当時)を改宗させ、皇籍離脱させた上で女性皇族と自分達の息のかかった男性を結婚させることで皇室を乗っ取ろうと画策していた」というものである。
しかし、健仁の離脱を誘導する事には成功したものの理仁の誕生によって当初の計画は失敗。その後、葛城宮家バッシングにシフトしたものの大した成果は得られず、全体的に見ると損害の方が大きかったので工作自体を終了したことを暴露していた。
「まさか...私がシナゴーグに連れて行ったことがこんな壮大な...都市伝説としか思えない様な計画に利用されるとはな...」
葛城宮はそうため息を吐いた。
「正直やることなすこと全部に言いがかりを付けられて戸惑っていたのでその原因が分かったのは良かったですが...何ともモヤモヤとしたものが残る話ですわね...」
紗栄子も気まずそうに呟く。
「...」
誠子は無言だった。
「大丈夫かい?誠子」
葛城宮が心配そうに尋ねる。彼女は「大丈夫...ただ、ずっと悩まされてきた事の原因がこんなアッサリ終わったから驚いてるというか...言葉が出てこないだけ...」と答える。
「まあ...自信家のあの子の事だ...羞恥心でのたうち回るかもしれんが...私達に与えた影響までは考えは及ばないだろうな...」
「そうね...というかそこが一番の問題よね…」
葛城宮がそうため息を吐き、誠子もそう同意する。
「理仁に負担を掛けている事について無頓着ですからね...」
紗栄子もその点について懸念する。
恐らくこの記事については健仁も目にしているだろう。だが、それでも彼が感じるのは中国の掌で踊らされていたことに対する羞恥心のみで家族に与えた代償まで思いを馳せることはないのかもしれない。
そう思うと、3人はため息を吐くのだった。
◇◇◇
茨城県のセカンドハウスに戻った理仁もまた同じ記事を自室で読んでいた。
自分が産まれた事によって皇室が他国からの悪意を意図せず跳ねのけていた事については少し誇らしい気持ちにはなったものの中国人に言いくるめられて改宗した健仁に対し怒りと呆れを抱いた。
(いくらユダヤ教徒だと言っても中国人だろ...少しは警戒しろよ...全部俺が抱える事になっちまってるじゃねえか...)
健仁の改宗によって唯一の皇位継承資格者と言う立場に置かれた理仁にとって彼は裏切者でしかない。ましてこんなあからさまな工作に引っ掛かって皇室や自身の人生に大きな影響を与えた事は彼の中にくすぶっていた健仁へのわだかまりを更に強める結果となった。
「まあ...こんな事実知った所で俺の立場が変わる訳じゃねーし...今更文句言ったって仕方ねえよな」
健仁の改宗の経緯がどうであれ、生まれながらに課せられた重荷が軽くなる訳ではない。
今更ハードモードの人生を降りるつもりもない。皇室という自らの生きるべき世界で義務を果たす。
理仁は改めて自身の置かれた状況と向き合い、決意を新たにするのであった。
葛城宮邸のリビングは何やら気まずい雰囲気に包まれていた。新年の儀式や一般参賀への参加を終えて茨城に戻った理仁親王を除いた葛城宮維仁親王と紗栄子、誠子内親王の3人はリビングのテーブルに座っていた。
3人共一様に暗い表情を浮かべており、葛城宮に至っては頭を抱えていた。
その原因となったのはとあるニュースサイトの記事。テーブルに置かれている葛城宮のスマートフォンの画面には件の記事が映されていた。
『【速報】ヨセフ・コーエン氏の改宗は中国による工作の結果であると元中国政府高官が暴露』
ヨセフ・コーエンとは葛城宮と紗栄子の長男である川瀬健仁のイスラエル名である。
中国政府内の権力闘争に敗れアメリカに亡命した元高官がアメリカのメディアに暴露した一件であり、内容を要約すると
「中国がユダヤ教に関心を抱いた健仁親王(当時)を改宗させ、皇籍離脱させた上で女性皇族と自分達の息のかかった男性を結婚させることで皇室を乗っ取ろうと画策していた」というものである。
しかし、健仁の離脱を誘導する事には成功したものの理仁の誕生によって当初の計画は失敗。その後、葛城宮家バッシングにシフトしたものの大した成果は得られず、全体的に見ると損害の方が大きかったので工作自体を終了したことを暴露していた。
「まさか...私がシナゴーグに連れて行ったことがこんな壮大な...都市伝説としか思えない様な計画に利用されるとはな...」
葛城宮はそうため息を吐いた。
「正直やることなすこと全部に言いがかりを付けられて戸惑っていたのでその原因が分かったのは良かったですが...何ともモヤモヤとしたものが残る話ですわね...」
紗栄子も気まずそうに呟く。
「...」
誠子は無言だった。
「大丈夫かい?誠子」
葛城宮が心配そうに尋ねる。彼女は「大丈夫...ただ、ずっと悩まされてきた事の原因がこんなアッサリ終わったから驚いてるというか...言葉が出てこないだけ...」と答える。
「まあ...自信家のあの子の事だ...羞恥心でのたうち回るかもしれんが...私達に与えた影響までは考えは及ばないだろうな...」
「そうね...というかそこが一番の問題よね…」
葛城宮がそうため息を吐き、誠子もそう同意する。
「理仁に負担を掛けている事について無頓着ですからね...」
紗栄子もその点について懸念する。
恐らくこの記事については健仁も目にしているだろう。だが、それでも彼が感じるのは中国の掌で踊らされていたことに対する羞恥心のみで家族に与えた代償まで思いを馳せることはないのかもしれない。
そう思うと、3人はため息を吐くのだった。
◇◇◇
茨城県のセカンドハウスに戻った理仁もまた同じ記事を自室で読んでいた。
自分が産まれた事によって皇室が他国からの悪意を意図せず跳ねのけていた事については少し誇らしい気持ちにはなったものの中国人に言いくるめられて改宗した健仁に対し怒りと呆れを抱いた。
(いくらユダヤ教徒だと言っても中国人だろ...少しは警戒しろよ...全部俺が抱える事になっちまってるじゃねえか...)
健仁の改宗によって唯一の皇位継承資格者と言う立場に置かれた理仁にとって彼は裏切者でしかない。ましてこんなあからさまな工作に引っ掛かって皇室や自身の人生に大きな影響を与えた事は彼の中にくすぶっていた健仁へのわだかまりを更に強める結果となった。
「まあ...こんな事実知った所で俺の立場が変わる訳じゃねーし...今更文句言ったって仕方ねえよな」
健仁の改宗の経緯がどうであれ、生まれながらに課せられた重荷が軽くなる訳ではない。
今更ハードモードの人生を降りるつもりもない。皇室という自らの生きるべき世界で義務を果たす。
理仁は改めて自身の置かれた状況と向き合い、決意を新たにするのであった。
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