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本編
第17話 相談
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英弘8(2026)年2月下旬
理仁親王は大学が長期休暇に入っている事から赤坂御用地の宮邸に帰省していた。そこで彼は分室で暮らす姉の誠子内親王の部屋を訪れた。
「誠子姉さま、入っても大丈夫?」
そうノックしてから声を掛ける理仁。すると部屋の中から返事があった。
「どうぞ~」
そう言ってドアを開けると私室の椅子に腰かける誠子の姿があった。
「珍しいわね、何か相談事でもあるの?」
そう優しく声を掛ける誠子に理仁は一呼吸おいてから言葉を紡いだ。
「実は...好きな人が出来たんだ...」
その言葉に誠子は目を見開いて驚く。
「嘘ッ...!誰々!?メッチャ気になるんだけど!」
食い気味に声を掛ける誠子に彼は顔を真っ赤にして返事をする。
「同じ学科の徳川佐喜子ちゃんって子...大学の入学式で出会ったんだ...」
「あ~...入学式で声を掛けてた子ね。」
彼女が声を掛けているシーンは一部ネット民の間で話題となっていた。一部の陰謀論者は「ハニートラップだ」「玉の輿狙いだ」と難癖を付けていたがその手の輩は何かしらの”制裁”を受けており今ではかけらも残っていない。
「結構良い子そうよね~...それで、どこまで進んでんのよ~?」
「進んでるって...今はただの友達かな...」
「そっか~...良いねぇ!青春してるねぇ!私も大学時代に交際の経験は2回位あるけど恋してる時って結構楽しいものよ~」
そう言って自身の学生生活を振り返る誠子。彼女も過去に2回ほど交際経験はあったもののいずれも破局している。恋人として過ごす分には楽しくても相手の男性が皇族を妻として迎える覚悟を持つには至らなかったからだ。
「でもね...皇族の恋愛ってただ当事者が楽しければ良いとは言い難い部分もあるの。
特にあなたの場合、結婚相手の女の子には義務しかない一生をあなたの隣で共に歩んでいく覚悟が求められる。
私の様に結婚したら皇室を離れる立場の人間だって相手にとってはとてつもないプレッシャーが掛かるんだからあなたの相手ならなおさらだわ。」
真剣な表情で理仁に語り掛ける誠子。
「それが怖いんだ...佐喜子ちゃんがお母さまや伯母さま、おばあさまの時みたいにバッシングされるんじゃないかって...そうなった時にあの子の心の傷に寄り添えないか...痛っ!」
理仁の言葉は最後まで続かなかった。誠子が軽く頬を叩いたからだ。
「なーにぬるい事言ってんだこのすっとこどっこい!”寄り添えないか”じゃなくて”寄り添う”んだよ!」
誠子はそう理仁を一喝する。誠子は彼の頬を両手で掴み顔を近付ける。
「良いか、耳みかっぽじってよーく聞け!
あなたの結婚相手は国民としての権利も自由も何もかも全てを捧げてあなたと共に義務を果たす覚悟を決めて皇室に来てくれるの!
あなたはそんな相手の子の一番の味方でいる義務があるの!
傷付けられたなら宮内庁でも何でも使ってやりかえせ!
そんで相手の心に全力で寄り添え!
一生全力で守る位の気概を見せろ!
あなたは皇室にとって替えの効かないかけがえのない存在なの!そしてあなたの血統を次世代に残してくれるのは相手の子なの!」
そう熱く語り掛ける誠子。彼ははっとした表情を浮かべる。
何をぬるい事を言っているんだろうか。
バッシングが再燃した時に守れるかどうか迷っている場合ではない。
絶対に守らなきゃいけないんだ。どんな手段を使ってでも絶対に。
「誠子姉さまごめん...俺が間違ってたよ...そんなぬるい考えでいるべきじゃなかった...」
「そうだね...あ、それともう2つ言っておきたいことがあるの」
「何?」
「もし相手の子と結婚して子供が生まれた時に生まれた子が女の子だからって微妙そうな顔を浮かべた奴がいたら助走付けて思いっきりぶん殴ってしまいなさい。それと側室制度が整備されても絶対に持たない事。側室使ったらアンタの金玉をハンマーで思いっきり潰すから」
ガチトーンで理仁の顔を強めに掴みながら言う誠子。側室制度とは一部の極端な思想の政治家が提案したものだが普通に炎上しており瞬間的に消えたものである。
ただし歴史的には珍しいものではなく明治天皇も大正天皇も側室の女性が産んだ子である。
だが、誠子は側室制度については絶対に使って欲しくないと思っていた。
弟と結婚する女性はかつてない継承危機の中にあって自由のない一生を彼の為に歩んでくれる覚悟を決めては言って来るだろうことは明白だからだ。
さらに皇室に入る女性だけではなくその家族も身内が皇室にいる為に迂闊な行動を取ることができず一定の制約が課せられてしまう。
その様な状況下であって相手の女性だけでは心許ないからと側室として別の女性との間に子作りを行う様な所業は誠子にとって女性の尊厳を踏みにじる最悪の裏切りでしかなかったからだ。
「分かってるよ...俺も佐喜子ちゃん以外とそういう事をする気には...」
そこまで言って彼は顔を真っ赤にして沈黙した。
(あ~...もうウチの弟は可愛いなぁ♪)
そんな様子の理仁を誠子は愛おしそうに見つめていた。
理仁親王は大学が長期休暇に入っている事から赤坂御用地の宮邸に帰省していた。そこで彼は分室で暮らす姉の誠子内親王の部屋を訪れた。
「誠子姉さま、入っても大丈夫?」
そうノックしてから声を掛ける理仁。すると部屋の中から返事があった。
「どうぞ~」
そう言ってドアを開けると私室の椅子に腰かける誠子の姿があった。
「珍しいわね、何か相談事でもあるの?」
そう優しく声を掛ける誠子に理仁は一呼吸おいてから言葉を紡いだ。
「実は...好きな人が出来たんだ...」
その言葉に誠子は目を見開いて驚く。
「嘘ッ...!誰々!?メッチャ気になるんだけど!」
食い気味に声を掛ける誠子に彼は顔を真っ赤にして返事をする。
「同じ学科の徳川佐喜子ちゃんって子...大学の入学式で出会ったんだ...」
「あ~...入学式で声を掛けてた子ね。」
彼女が声を掛けているシーンは一部ネット民の間で話題となっていた。一部の陰謀論者は「ハニートラップだ」「玉の輿狙いだ」と難癖を付けていたがその手の輩は何かしらの”制裁”を受けており今ではかけらも残っていない。
「結構良い子そうよね~...それで、どこまで進んでんのよ~?」
「進んでるって...今はただの友達かな...」
「そっか~...良いねぇ!青春してるねぇ!私も大学時代に交際の経験は2回位あるけど恋してる時って結構楽しいものよ~」
そう言って自身の学生生活を振り返る誠子。彼女も過去に2回ほど交際経験はあったもののいずれも破局している。恋人として過ごす分には楽しくても相手の男性が皇族を妻として迎える覚悟を持つには至らなかったからだ。
「でもね...皇族の恋愛ってただ当事者が楽しければ良いとは言い難い部分もあるの。
特にあなたの場合、結婚相手の女の子には義務しかない一生をあなたの隣で共に歩んでいく覚悟が求められる。
私の様に結婚したら皇室を離れる立場の人間だって相手にとってはとてつもないプレッシャーが掛かるんだからあなたの相手ならなおさらだわ。」
真剣な表情で理仁に語り掛ける誠子。
「それが怖いんだ...佐喜子ちゃんがお母さまや伯母さま、おばあさまの時みたいにバッシングされるんじゃないかって...そうなった時にあの子の心の傷に寄り添えないか...痛っ!」
理仁の言葉は最後まで続かなかった。誠子が軽く頬を叩いたからだ。
「なーにぬるい事言ってんだこのすっとこどっこい!”寄り添えないか”じゃなくて”寄り添う”んだよ!」
誠子はそう理仁を一喝する。誠子は彼の頬を両手で掴み顔を近付ける。
「良いか、耳みかっぽじってよーく聞け!
あなたの結婚相手は国民としての権利も自由も何もかも全てを捧げてあなたと共に義務を果たす覚悟を決めて皇室に来てくれるの!
あなたはそんな相手の子の一番の味方でいる義務があるの!
傷付けられたなら宮内庁でも何でも使ってやりかえせ!
そんで相手の心に全力で寄り添え!
一生全力で守る位の気概を見せろ!
あなたは皇室にとって替えの効かないかけがえのない存在なの!そしてあなたの血統を次世代に残してくれるのは相手の子なの!」
そう熱く語り掛ける誠子。彼ははっとした表情を浮かべる。
何をぬるい事を言っているんだろうか。
バッシングが再燃した時に守れるかどうか迷っている場合ではない。
絶対に守らなきゃいけないんだ。どんな手段を使ってでも絶対に。
「誠子姉さまごめん...俺が間違ってたよ...そんなぬるい考えでいるべきじゃなかった...」
「そうだね...あ、それともう2つ言っておきたいことがあるの」
「何?」
「もし相手の子と結婚して子供が生まれた時に生まれた子が女の子だからって微妙そうな顔を浮かべた奴がいたら助走付けて思いっきりぶん殴ってしまいなさい。それと側室制度が整備されても絶対に持たない事。側室使ったらアンタの金玉をハンマーで思いっきり潰すから」
ガチトーンで理仁の顔を強めに掴みながら言う誠子。側室制度とは一部の極端な思想の政治家が提案したものだが普通に炎上しており瞬間的に消えたものである。
ただし歴史的には珍しいものではなく明治天皇も大正天皇も側室の女性が産んだ子である。
だが、誠子は側室制度については絶対に使って欲しくないと思っていた。
弟と結婚する女性はかつてない継承危機の中にあって自由のない一生を彼の為に歩んでくれる覚悟を決めては言って来るだろうことは明白だからだ。
さらに皇室に入る女性だけではなくその家族も身内が皇室にいる為に迂闊な行動を取ることができず一定の制約が課せられてしまう。
その様な状況下であって相手の女性だけでは心許ないからと側室として別の女性との間に子作りを行う様な所業は誠子にとって女性の尊厳を踏みにじる最悪の裏切りでしかなかったからだ。
「分かってるよ...俺も佐喜子ちゃん以外とそういう事をする気には...」
そこまで言って彼は顔を真っ赤にして沈黙した。
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そんな様子の理仁を誠子は愛おしそうに見つめていた。
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