うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

文字の大きさ
3 / 159
プロローグ

プロローグ・後編

しおりを挟む

「分かりました。それでは種族は人族とします。そして、最初に説明させて頂いた通り、【テイマー】のスキルを付与させて頂きます。
 また、それとは別に前世で助けてあげられなかった補償として便利スキルセットも付与させて頂きます。内容については転生後にご確認下さい。きっと貴方ならすぐに理解して頂けて、テンプレだと思われるはずです」

 なるほど、至れり尽くせりだな。死んでしまった訳だけど、ある意味ではポチに感謝だ。早く転生してさがしだしてやらないとな。

「それと、本来予定には無かったのですが、貴方の事を私個人が気に入ったので、レアスキルを一つサービスさせて頂きます。こちらの一覧からお選び下さい」

 女神様がそう言うと、また目の前の空間に文字が浮かび上がる。

 多種多様なスキルが描かれているが、その中で一つが俺の目に止まる。

 【従魔強化】LV1・・・従魔の能力を底上げするパッシブスキル。従魔の全能力が+10%×スキルレベル分向上。スキルランクはレア。

 もう、これを見つけてしまったらこれ以外の選択肢はないな。ポチは過酷な環境に生まれる可能性もある。俺のスキルで少しでも強くなるなら、それに越した事はない。

「やはり、そのスキルを選ばれましたか。貴方は本当にポチさんの事が好きな優しい方なのですね。他のスキルを選ばれた場合はそのままのつもりでしたが、そのスキルを選んだ貴方にサービスです」

 女神様がそう言うと、目の前に見えていたスキルが変化していく。

 【従魔超強化】LV10・・・従魔の能力を底上げするパッシブスキル。従魔の全能力が+10%×スキルレベル分向上。取得経験値が+100%×スキルレベル分増加。回復力が+100%×スキルレベル分増加。スキルランクはユニーク。

 いやいや、これはチートじゃないか・・・。スキルレベルも10になってるし! 女神様やり過ぎ! と言うかスキルランクって何だろう?

「スキルランクは入手のし易さです。下から順にノーマル・レア・スーパーレア・レジェンドとなります。ノーマルは誰でも努力したら獲得できる、ごく普通のスキルです。レアになると数百人に一人程度、スーパーレアは数万人に一人、レジェンドになると世界で数人レベルしか取得出来ないようなスキルとなります。そして、ユニークは他に持っている人が居ない唯一のスキルです」

 あ、俺専用スキルなんだ。特別扱いすぎてやばい。

「ちなみに【テイマー】のスキルランクはレアです。冒険者になるとたまに見かけるレベルですね。ポチさんと従魔契約する為に、こちらもスキルレベルは最大の10となっています。
 スキルレベルは基本的に1から10までありますが、レベルの存在しないスキルもあります。そこは追々学んで頂ければと思います」

 やっぱりあるんだ、冒険者。ちょっと気になるから脳内にメモだ。

「何から何まで、本当にありがとうございます」

「いえ、ちょっと私情を挟んでしまったとは言え、基本的にはお仕事ですので、貴方が気になさる事はありませんよ? 転生に関してちょっと無理している代償は、ポチさんと貴方が亡くなる原因を作った女神に請求しますので」

 そう言って女神様はニコリと笑う。ただでさえ美人なのに微笑むと破壊力半端ないな。それにしても、チートすぎやしないかと思ったけどやっぱり無理してるんだ。ホント申し訳ない。

「そうですね。無理はしていますが大丈夫ですよ? 気になさらないでと言っても、優しい貴方は気になさると思いますので、こうしましょう。向こうの世界で私を祀る教会を見つけた際はお祈りを捧げて下さい。そしたらまた短時間でもお話出来ると思います。それだけで私は十分ですよ」

「ありがとうございます! 必ずお祈りさせて頂きます」

 本当に至れり尽くせりで、申し訳ないから向こうの世界で他に何か、恩返しできる事がないか探してみよう。これも脳内にメモだな。生まれる前から次の人生の目標が何個もある。うん、生き甲斐がありそうだ。

「さて、私にお手伝い出来るのはここまでです。最後に何か聞いておきたい事などはございますか?」

 聞きたいことかぁ、パッとは浮かばないな・・・。あ、そうだ!

「では、一つだけ、ポチは何に転生したのでしょうか?」

「ポチさんの種族ですか? それはポチさんから、会った時に驚かせたいので内緒にして欲しいとお願いされているんです。申し訳なありません。ただ、従魔と言うことでお分かりの通り、魔物ではあります。私に言えるのはそこまでですね」

 なるほど、残念。残念だけど、あっちの世界での楽しみが増えたと思って諦めるしかないかな。後、もう一つ聞きたい事を思いついた。

「分かりました。それと追加の質問なんですけど、あちらの世界に地球からの転移者や転生者はいるのでしょうか?」

「転生に関しては私の管轄なので詳細までお伝え出来ます。転生者という意味では私の管轄の二つの世界でランダムに自動転生する為、地球でお亡くなりになられた方があちらの世界に転生する事もあります。
 ですが、通常は記憶を引き継ぐ事はありません。小さい頃に夢で見る事はあっても物心付く頃には完全に忘れてしまうようになっています。つまり、地球での記憶を持った転生者は基本的には存在しません。貴方のような例外を除いて。
 そして現時点で地球の記憶を持っているのは貴方だけだと思います。数百年に一度くらいの周期で極々稀に何かの拍子に前世の記憶を取り戻す人も居ますが、今は居なかったかと。
 転移者に関しては稀に他の女神の悪戯などで地球から転移する人も居ます。けれど、今いるかどうかは、私の管轄外なので詳しくは分かりません。すみません」

「いえ、それで十分ですよ。もしかしたら居るかも知れない程度って事ですよね? ありがとうございます」

 さて、とりあえず他に聞きたい事は思いつかないし、こんなもんかな? 転生してから思いついたりするかも知れないけど、そうなったらさっきの話で教会を探してお祈りをしたらいいか。

「ええ、また何かありましたら私を祀った教会を探して下さいね?

 それでは早速ですが、貴方を転生させて頂きたいと思います」

 いよいよか・・・、何か緊張するな。転生先は選べないと言っても、そこそこの家庭だと良いな。

「はい。転生先は選べないとは言え、出来る限り良い環境になるよう、私も祈っています。その為にも、私の加護も付けておきますね。
 それでは良い来世をお過ごし下さい・・・」

 加護のお礼を言う前に、俺の周りを光が取り囲んで行き、意識が遠のいていく。

 あ、性別決めてない気がする。大丈夫かな? そんな事を考えながら、俺の意識は途絶えたのだった。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


 次に意識が戻った時、俺は知らない部屋で寝ていた。無事に転生できたんだろうか?

 とりあえず、テンプレとしてこれだけは言わないといけない。

「あうあうあうあー・・・」

 喋れなかった。

 知らない天井だ。って言いたかったのに締まらない。でもよく考えたら転生したてって事で赤ん坊だし、喋れる訳がない。

 とりあえず、あたりの様子を探ると広い部屋に置かれたベビーベッドに一人で寝ていたようだ。少し離れたところで女性がイスに座ってうたた寝している。母親かな?

 それにしても、生まれた瞬間とかではなく、今覚醒したのは女神様のサービスだろうか? 前世の記憶があるまま、産まれる瞬間を体験したくはないからね。

 しかし、この部屋の広さは一般人って訳ではなさそうだ。そこそこ裕福な家庭なのか、まず第一関門は突破ってことなのかな? そんな事を考えて居たら、頭の中に声が響いてきた。

《従魔ポチが取得した経験値の一部を獲得しました。
 レベルが上がりました。
 レベルが上がりました。
 レベルが3になりました》

 えええええ!?

 生まれてすぐに、いきなりレベルが上がったようです。2つも。
しおりを挟む
感想 112

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...