うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

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第3章 王都騒乱編

第13話 自称神様再び

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 浮遊感が終わり目を開けると、そこは予想通り1年ぶり2回目の真っ黒な空間だった。

「やあ、久しぶりだね」

 そして、そこには少しやつれた自称神様が居た。

 あれ? 前回の時は黒いモヤに覆われていて姿はよく分からなかったけど、今回は顔が見えている。

 顔立ちは転生の女神様によく似ているが、髪は短髪で黒髪だ。神様を名乗ってるだけの事はあって、やっぱり関係者なんだろうか?

「さすがに、連続でを呼び寄せると蓄えていた力が足りなくてね・・・。
 顔を隠す余裕も無かったよ」

 3人組? その言葉にハッとなり後ろを振り返ると、そこにはリーナさんとジョージが居た。

「まさか、またここに来る事になるなんてね。
 どうも神様、お久しぶりです」

「ああ、リョーマくんだけを喚んだはずだったんだけどね。2人を巻き込んじゃったみたいだ。
 ん? 何故巻き込まれたのかって? 前にここに来た事のあるから、かな?」

 自称神様は誰かの考えてる事を読んだのか、その疑問に答える。考えてることが全員に聞こえるわけじゃ無いみたいで良かった。

「それで、また僕を喚んだ理由は何でしょう?
 嫌がらせって訳じゃないですよね?」

「そうだね。ちょっと想定外の事が起きたからね。君に何とかして貰おうと思ったんだ」

 想定外か、何だろう?

「そう、リーナちゃんその通り」

 むむ、リーナさんは分かったのか。何か悔しいな。

「相変わらず、考えている事を読まれるのは気持ち悪いわね」

「まあ、そう言わないでよ。
 それで何が想定外かだけど、ボクはいつも通り転移者が現れたらここに呼ぶために網を張ってたんだけどね。
 まさか一気に3人来るとは思わなかったよ」

 ん? 一気に3人来た事が想定外なのかな? そんなに問題かな?

「いや、リョーマくんそこが問題じゃないんだ。
 そろそろ7人揃う事は分かってたんだ。問題は転移して来た理由の方さ」

 理由? あ、そうか!

「うん、あれは・・・勇者召喚はダメだ。
 まさか人類の切り札である勇者召喚が今このタイミングで使われるなんて、想定外にも程があるよ」

「ごめんなさい。うちのバカが何も考えずに使ってしまって・・・」

 人類の切り札だったのか。それは確かにそんなホイホイ使って良いものじゃないね。

「まあ、あのアイテムを作ったのはボクなんだけど」

「えええ? でもアレは私の先祖が女神様から授かった物だって・・・」

 そう言えば、そんな話だったな。

「あれ? 言ってなかったっかな?
 ボクも女神だよ?」

 ええ、初耳です。まさかのボクっ娘!? 髪型以外が転生の女神様にそっくりだったからまさかとは思ってたけど。それにしては胸が・・・。

「胸の事には触れないで!
 それでね。勇者を召喚すると共に、人類のレベルを底上げする為に魔物を強化させる効果も付与してあるんだけど・・・」

 魔物の変異はそれか! 強くなった魔物でレベル上げをする為だったのか。

「今の世界は平和ボケし過ぎてて、変異した魔物に襲われたら滅びかねないんだよね」

 なるほど、確かに昔は冒険者のレベルももっと高かったって話だし、今は高位の冒険者でも今朝倒したアリにすら苦戦しそうだ。

「そう、魔物なんかに滅ぼされちゃダメだよ。世界を滅ぼすのは・・・、おっと何でもない」

 ちょ、この神様めっちゃ物騒な事を言いそうになった気がするんだけど。

「いやいや、何でもないよ。忘れてくれ。
 さて、そこで君たちにお願いがあるんだ」

 お願いか・・・。変異した魔物を退治したらいいのかな?

「それもあるんだけどね、倒しても倒しても新しく出てくる魔物も変異してるからエンドレスなんだよね」

 今いる魔物だけじゃなくて、新しく出てくる魔物も変異してるのか・・・確かにやっかいだな。

「じゃあ、どうたらいいんですか? 勇者が居なくなったら変異は収まるんでしょうか?」

 リーナさんがそう聞くが、それって勇者をどうにかする。つまり、居なくなる(物理的に)って事だよね?

「うん。それでも一応収まるんだけどね。そうすると折角揃えた7人が足りなくなっちゃうでしょ?
 その事態は避けたいんだよね。なのでボクが君たちにお願いしたいのは・・・」

「お願いしたいのは?」

「ズバリ、勇者の能力の封印だ。どう? 簡単でしょ?」

 簡単なんだろうか? そもそも封印させる方法なんて知らないし。

「勇者の能力さえ封印したら、それに呼応して魔物の変異も収まるはずなんだ・・・けど、封印する方法分からない?
 リョーマ君なら既にできるはずなんだけどなぁ」

 どういう事なんだろう。俺が持ってるスキルで対応できるって事かな?

「これ以上は言えないんだけど、方法は1つじゃないから色々と考えてみてよ」

 まさかの答えを教えてくれないパターン! あ、禁則事項とかになるのかな?

「そう言う事だよ。さて、想定外に3人も喚んでしまって、そろそろボクの力も限界が近いようだ。
 最後に1つだけ・・・」

 お、それでも助言をくれるのかな?

「勇者召喚された子、リーダー格の男の子は生意気だったから、とりあえず1回ぎゃふんと言わせてやってくれ」

 まさかの私怨だった。そして、その言葉と共に来た時と同じ浮遊感に襲われた。


 ☆


「良かったの! リョーマ達、戻ってきたの!」

 気が付くと、ダンジョンの元の広場に居た。そこにそう言いながら飛び込んできたミルクを受け止める。

 良かった。今回は前みたいに、腹いせで地下に飛ばされたりはしなかったみたいだ。

「ご主人様、状況から推測するに例の自称神様のところに呼ばれていたのでございますか?」

 そう的確な状況判断をしたのはガルム2号ことイガルムだ。ご主人様って俺の事?

「そうだよ、良く分かったね」

「はい、ご主人様が消えてすぐにポチ殿から【念話】が届きました。
 また次元の歪が発生したのだ。今日は歪祭りなのだと。
 ご主人様への取次ぎを依頼されましたが、残念です・・・」

 なんてこった! ポチと直接会話できるチャンスだったなんて!

 許すまじ自称神様。・・・いや、黒い空間に呼ばれなかったらその歪も発生しないから、結局会話できていないのかな?

「ですが、メッセージは承っております」

 おおお、マジで!? 普段やりとりに時間がかかるメッセージが直ぐに受け取れただけでも自称神様に感謝しておこう。

「再生致します。
 ご主人、直接話ができなくて残念なのだ。
 でも大丈夫、近い内に直接会って話ができる。我輩そんな気がしてならないのだ。
 だから今は寂しいけど我慢するのだ。会える日を楽しみにしているのだ」

 何だろう、ポチの野生の勘かな? でもそうなると良いな。

「大変だリョーマ! 俺、新しいレジェンドスキルを手に入れてる!」

 ちょっとジョージ、少しは感傷に浸らせてくれよ。

 ああでも、そう言えばあの空間に行ったらレジェンドスキルが自動的に手に入るんだっけ。
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