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第3章 王都騒乱編
第15話 救援依頼
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俺は今、南に向かって飛んでいた。
ダンジョンを出た俺たちを待っていたゼムスさんに緊急クエストを依頼されたのだ。
俺、今日は朝から働きすぎだと思うんだよね。何て言ってる状況でもなく。依頼の内容は聖女の救援だった。
聖女・・・、そうエナンの街に居た時は巫女候補だったレミだ。確か、聖女に祭り上げられて南の港町オーシャにいたはず。
どうやらレミは王都に向かえと【神託】を受けたそうで、王都に向かっているとついさっき、早馬でゼムスさんに連絡が届いたそうだ。
向こうを出発した日時から逆算したら、昨日エナンの街を通過したくらいではないかとの話だ。
順調なら、今日の午後には鈴木さんが盗賊に捕まっていた森を通過する。魔物の変異がどの範囲まで影響しているかはまだ分からないけど、聖女を危険な目に遭わせる訳にはいかないとの事で、俺に依頼が来た。
さすがに今回ジョージは置いてきた。ジョージの代わり? に、お供としてガルムを3体ほどボールに戻して持って来ている。
リーダーのコガルムはゼムスさんの屋敷で待機、アガルムはリーナさん預かり、残りのガルム隊は王都周辺の見回りに出てもらっている。シルクもまだ勝手が分からないだろうから屋敷待機だ。
夕暮れ近くなり、森の中にある宿場町の近くに到着した。よし、とりあえず広範囲を探知しよう。
そう思ったところで、視界の片隅に煙が上がっているのが見えた。
「不味い、既に戦闘が起こってるのかな」
俺は急いで煙が上がっているところに向かうと、やはり戦闘中のようで怒声や叫び声が聞こえる。
聖女の移動だからそれなりの神殿騎士が護衛に付いているはず。まだ、大事には至ってなければ良いけど。
【サポーター】さん、広域探知と結果報告を!
《承知しました。【鑑定】も合わせて実施します》
指示してない事までやってくれる。さすが【サポーター】さんだ。
《結果を報告します。
オーク(変異種)が6体にオーガ(変異種)が1体です。
レベルはオーク(変異種)がプラス値込みで50前後で、オーガ(変異種)が80です。
戦闘中の人はレベル33~50の9名、それと馬車に3名乗っています。
また9名の内、半数が負傷して戦えないようですが、死者はいません》
ありがとう。意外とヤバかったかも。でも死者がいないなら、間に合ったのかな? 良かった。
それに、そのレベル帯なら、まず間違いなく聖女一行だろう。
「くっ! 殺せっ」
ケガで動けなくなった女性騎士の人がオーク相手にそんなセリフを吐いてたけど、スルーしてまずは全員回復させよう。
俺はスキルレベルと魔力にモノを言わせて広範囲に高位回復魔法を発動する。魔物も範囲に入るけど、大してダメージを負って無いみたいだから良いだろう。
「くそっ! 動けない私は今からオークにあんな事やこんな事をされて蹂躙されるのだ!
・・・あれ? 体が動く」
さっきの女性騎士さんはまだ変な事を言っていたけど、急にケガが治って驚いている。
「神官長の依頼で助けに来ました! 全員に回復魔法をかけましたので、下がってください!」
俺はそう叫ぶと【収納】からガルムボールを取り出す。
「よし、行け! ガルム!」
ボールを投げるとガルムが3体現れる。
「よし、状況は分かるかな? オッケー、じゃあガルム1体でオーク2体ずつ倒してくれ。僕はオーガをやる」
呼び出してすぐに状況を理解してくれたガルムに指示を出し、俺はオーガの変異種に向かう。【従魔超強化】の影響でステータスも向上しているガルムの方が素の能力は高いんだけど、レベル80程度の魔物なら俺がやっても良いだろうとの判断だ。
まあ、レベル80程度とか言っても、俺が今まで戦った魔物の中では一番高いんだけどね。
「お、おい、君。あいつはタダのオーガじゃない。やめるんだ。自殺行為だぞ」
護衛騎士のリーダー格の人が俺に話しかけてきた。レベルだけみたらゴブリンキングを軽く凌駕している訳だから、確かに自殺行為だ。普通の冒険者なら。
「大丈夫です。僕はこう見えてもSランクの冒険者です」
「え、Sランク!?」
何て話している間にも、ガルムたちがサクサクとオークの変異種を倒していく。
「え? 何だあの黒い・・・オオカミ? 俺たちが苦戦していたオークをアッサリと・・・」
「彼らは僕の従魔です。人に手出しはしませんので安心して下さい」
正確にはちょっと違うけど、広い意味では従魔で間違いないはずだ。何て考えていたら、オークが全滅していた。
〈おう、主殿終わったぞ〉
ガルムの1体から【念話】が届く、この個体はウガルムだったかな? 口が悪いが、噂ではツンデレらしい。シルクが言ってた。
「ありがとう、後は僕がやるから待機してていいよ」
そう言って、1歩前に出ると【収納】から自慢の一振りを取り出し構える。すると、今まで様子を伺っていたオーガも臨戦態勢を取る。
オーガは通常2~3メートル程の鬼のような魔物だ。変異したこのオークは4メートルに迫る大きさとなっている。
「ぐおぉぉぉ!」
しかし、その巨体からはとは思えないような速さで俺に向かい突進してきた。そして俺とのすれ違いざまに、手にしたこん棒を横薙ぎにしてくる。
思ったより速いけど、対処できないスピードではないな。俺は最小限の動きで、その攻撃を避けると逆に足を切り裂く。その痛みに耐えきれなかったのか、そのまま俺の後ろの方に突っ込んで倒れた。
そのまま騎士さんに突っ込みそうになったところを、ウガルムが前足で止めてくれてた。
「えっ? 何が起きたんだ? オーガが消えたと思ったら、目のまえで足から血を流して倒れて・・・?」
リーダー格の騎士の人でも、このオーガのスピードには付いていけなかったらしい。このオーガが最初から戦闘に参加していたら、救助は間に合わなかったかも知れない。オークに任せて高みの見物をしていてくれて助かった。
「すみません。そっちまで行ってしまいました。
以後気を付けます」
以後なんてもう無いんだけどね。
「いいよ、ウガルムそのままやっちゃって」
俺がそう言うと、ウガルムは頭を止めていた前足を振り下ろす。俺が拘って出しゃばるところでもないからね。そこにオーガの頭に乗ったウガルムの前足があれば、そのまま倒して貰う方が手っ取り早い。
《ウガルムが取得した経験値の一部を獲得しました。
【そして伝説へ】のスキルレベルが2に上がりました》
後、従魔が倒した方が俺に入る経験値も多いからね。レベル80程度ではもう俺のレベルは上がらないけど、スキルレベルは上がったようだ。ラッキー!
「リョーマ?」
丁度倒し終わったところで、馬車から様子を伺っていた人物が出て来た。
「お久しぶりです。レミ」
ダンジョンを出た俺たちを待っていたゼムスさんに緊急クエストを依頼されたのだ。
俺、今日は朝から働きすぎだと思うんだよね。何て言ってる状況でもなく。依頼の内容は聖女の救援だった。
聖女・・・、そうエナンの街に居た時は巫女候補だったレミだ。確か、聖女に祭り上げられて南の港町オーシャにいたはず。
どうやらレミは王都に向かえと【神託】を受けたそうで、王都に向かっているとついさっき、早馬でゼムスさんに連絡が届いたそうだ。
向こうを出発した日時から逆算したら、昨日エナンの街を通過したくらいではないかとの話だ。
順調なら、今日の午後には鈴木さんが盗賊に捕まっていた森を通過する。魔物の変異がどの範囲まで影響しているかはまだ分からないけど、聖女を危険な目に遭わせる訳にはいかないとの事で、俺に依頼が来た。
さすがに今回ジョージは置いてきた。ジョージの代わり? に、お供としてガルムを3体ほどボールに戻して持って来ている。
リーダーのコガルムはゼムスさんの屋敷で待機、アガルムはリーナさん預かり、残りのガルム隊は王都周辺の見回りに出てもらっている。シルクもまだ勝手が分からないだろうから屋敷待機だ。
夕暮れ近くなり、森の中にある宿場町の近くに到着した。よし、とりあえず広範囲を探知しよう。
そう思ったところで、視界の片隅に煙が上がっているのが見えた。
「不味い、既に戦闘が起こってるのかな」
俺は急いで煙が上がっているところに向かうと、やはり戦闘中のようで怒声や叫び声が聞こえる。
聖女の移動だからそれなりの神殿騎士が護衛に付いているはず。まだ、大事には至ってなければ良いけど。
【サポーター】さん、広域探知と結果報告を!
《承知しました。【鑑定】も合わせて実施します》
指示してない事までやってくれる。さすが【サポーター】さんだ。
《結果を報告します。
オーク(変異種)が6体にオーガ(変異種)が1体です。
レベルはオーク(変異種)がプラス値込みで50前後で、オーガ(変異種)が80です。
戦闘中の人はレベル33~50の9名、それと馬車に3名乗っています。
また9名の内、半数が負傷して戦えないようですが、死者はいません》
ありがとう。意外とヤバかったかも。でも死者がいないなら、間に合ったのかな? 良かった。
それに、そのレベル帯なら、まず間違いなく聖女一行だろう。
「くっ! 殺せっ」
ケガで動けなくなった女性騎士の人がオーク相手にそんなセリフを吐いてたけど、スルーしてまずは全員回復させよう。
俺はスキルレベルと魔力にモノを言わせて広範囲に高位回復魔法を発動する。魔物も範囲に入るけど、大してダメージを負って無いみたいだから良いだろう。
「くそっ! 動けない私は今からオークにあんな事やこんな事をされて蹂躙されるのだ!
・・・あれ? 体が動く」
さっきの女性騎士さんはまだ変な事を言っていたけど、急にケガが治って驚いている。
「神官長の依頼で助けに来ました! 全員に回復魔法をかけましたので、下がってください!」
俺はそう叫ぶと【収納】からガルムボールを取り出す。
「よし、行け! ガルム!」
ボールを投げるとガルムが3体現れる。
「よし、状況は分かるかな? オッケー、じゃあガルム1体でオーク2体ずつ倒してくれ。僕はオーガをやる」
呼び出してすぐに状況を理解してくれたガルムに指示を出し、俺はオーガの変異種に向かう。【従魔超強化】の影響でステータスも向上しているガルムの方が素の能力は高いんだけど、レベル80程度の魔物なら俺がやっても良いだろうとの判断だ。
まあ、レベル80程度とか言っても、俺が今まで戦った魔物の中では一番高いんだけどね。
「お、おい、君。あいつはタダのオーガじゃない。やめるんだ。自殺行為だぞ」
護衛騎士のリーダー格の人が俺に話しかけてきた。レベルだけみたらゴブリンキングを軽く凌駕している訳だから、確かに自殺行為だ。普通の冒険者なら。
「大丈夫です。僕はこう見えてもSランクの冒険者です」
「え、Sランク!?」
何て話している間にも、ガルムたちがサクサクとオークの変異種を倒していく。
「え? 何だあの黒い・・・オオカミ? 俺たちが苦戦していたオークをアッサリと・・・」
「彼らは僕の従魔です。人に手出しはしませんので安心して下さい」
正確にはちょっと違うけど、広い意味では従魔で間違いないはずだ。何て考えていたら、オークが全滅していた。
〈おう、主殿終わったぞ〉
ガルムの1体から【念話】が届く、この個体はウガルムだったかな? 口が悪いが、噂ではツンデレらしい。シルクが言ってた。
「ありがとう、後は僕がやるから待機してていいよ」
そう言って、1歩前に出ると【収納】から自慢の一振りを取り出し構える。すると、今まで様子を伺っていたオーガも臨戦態勢を取る。
オーガは通常2~3メートル程の鬼のような魔物だ。変異したこのオークは4メートルに迫る大きさとなっている。
「ぐおぉぉぉ!」
しかし、その巨体からはとは思えないような速さで俺に向かい突進してきた。そして俺とのすれ違いざまに、手にしたこん棒を横薙ぎにしてくる。
思ったより速いけど、対処できないスピードではないな。俺は最小限の動きで、その攻撃を避けると逆に足を切り裂く。その痛みに耐えきれなかったのか、そのまま俺の後ろの方に突っ込んで倒れた。
そのまま騎士さんに突っ込みそうになったところを、ウガルムが前足で止めてくれてた。
「えっ? 何が起きたんだ? オーガが消えたと思ったら、目のまえで足から血を流して倒れて・・・?」
リーダー格の騎士の人でも、このオーガのスピードには付いていけなかったらしい。このオーガが最初から戦闘に参加していたら、救助は間に合わなかったかも知れない。オークに任せて高みの見物をしていてくれて助かった。
「すみません。そっちまで行ってしまいました。
以後気を付けます」
以後なんてもう無いんだけどね。
「いいよ、ウガルムそのままやっちゃって」
俺がそう言うと、ウガルムは頭を止めていた前足を振り下ろす。俺が拘って出しゃばるところでもないからね。そこにオーガの頭に乗ったウガルムの前足があれば、そのまま倒して貰う方が手っ取り早い。
《ウガルムが取得した経験値の一部を獲得しました。
【そして伝説へ】のスキルレベルが2に上がりました》
後、従魔が倒した方が俺に入る経験値も多いからね。レベル80程度ではもう俺のレベルは上がらないけど、スキルレベルは上がったようだ。ラッキー!
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「お久しぶりです。レミ」
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