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第3章 王都騒乱編
第16話 巫女様と聖女様
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「ああ、やっぱりリョーマだ」
久しぶりに見たレミは少し大人びていた。猫耳だけど。
「王都の神官長からの依頼で助けに来ました。
間に合ってよかったです」
「あら、ゼムスさんは私たちがピンチになる事が分かっていたのかしら?」
そう言いながら次に馬車から降りて来たのはエルフだった。何を隠そう、エナンの街の巫女であるシーラ様だ。
馬車に乗ってることは気配で知っていたので驚きはしない。因みに馬車に乗っているもう1人はレミの弟のソラだ。
「いえ、ちょっと事情がありまして、後で説明します。
シーラ様もお久しぶりです。あ、そうでもないかな? 夏に帰省した時にお会いしましたね。
そしてレミは本当に久しぶりです。一緒に森へ行って【神託】のレベルが上がって、その後すぐにオーシャへ異動だったから約2年振りですね」
「リョーマも元気そうで良かったよ。
シーラ様に聞いたわ。王都の学園に入ったんだって? 学生生活楽しんでる?」
「ふふっ、神殿騎士たちも困ってるから、積もる話は宿場町に着いてからにしましょう?」
確かに、言われて見渡すと神殿騎士の人たちが、予想外の出来事にどうしたら良いかちょっと困惑気味だ。
「はっ!? 申し訳ありません聖女様、シーラ様。すぐに魔物を片付けますのでしばらくお待ち下さい。
おい、お前たち! いつまで呆けてるんだ。魔物の死体を片付けるぞ」
いち早く我に帰ったリーダー格の騎士さんが部下に指示を出す。
倒した魔物は街道沿いで放置すると、他の魔物や獣を引き寄せてしまうのでキチンと片付けるのがマナーだ。
「それで、その子はお知り合いですか?」
「ええ、貴方も知ってるでしょ?
噂のグレイブ大神官の息子よ」
「あっ、そうか君が・・・。
はじめまして、私はこの騎士隊の隊長をしているガロンと申します」
何か敬礼されてしまった。俺ってそんなに有名なの?
「こちらこそ、はじめまして。
学生兼、冒険者をしていますリョーマです。よろしくお願いします。
それと魔物は僕が回収しますよ。薄暗くなって来ましたので大変でしょう?」
「えっ? 回収? 埋めるとかでは無く?」
と言う事で、【サポーター】さんよろしく。
《はい、かしこまりました》
「うわっ、オークの死体が消えたっ!」
あ、騎士さんを驚かせてしまった。説明してからが良かったかな?
「すみません、僕のスキルです。驚かせて申し訳ありません」
実はこの1年で直接触れていない物でも【収納】できるようになった。
どんな仕組みか分からないけど、誰かが持っていたり身に付けている物を【収納】するには直接触れないとできないけど、所有権が曖昧な物や俺の物なら触れていなくても【収納】ができる。
「さすがSランク冒険者です。見た事もないようなスキルですね」
「あら、リョーマ君はやっとSランクになる決心をしたのね? って危ない、また話し込んでしまうところだったわ。
さあ、宿場町はもうすぐよ。とりあえず宿場町まで行きましょう」
「改めて、お礼を言わせて貰うわ。ありがとうリョーマ。
あのままだったら私もレミもどうなっていたか・・・。ゼムスさんの慧眼に感謝しないとね」
とりあえず宿場町に到着して、俺とシーラ様そしてレミとソラは食堂で夕食タイムだ。念のため、周りに声が漏れないように防音の魔法は使っている。
ちなみに、宿場町は森の中にある事もあり、堀と塀に囲まれ魔物対策がされていて、変異した魔物が相手でも簡単には侵入されないような作りになっている。けど、念には念を入れてガルムの3体に辺りの警戒と近づいて来る魔物の排除をお願いしておいた。
「ええ、ゼムスさんの機転には感謝ですね」
「でも、どうして神殿騎士にも倒せないような魔物に私たちが襲われると分かったのかしら?」
「そうですね。まずはそこからお話しますね」
と言っても、どこまで話していいのかな? まあ、2人とも神殿の中でも立場が高い方だし、いずれ知る事になるから、今話をしても問題ないだろう。
「実は今朝、勇者召喚が行われました」
「勇者召喚ですって!?」
やっぱり巫女を長くやっているシーラ様は知ってるんだね勇者召喚。
「ええ、神殿では魔物が狂暴化した時に、異世界から召喚された勇者がこれを鎮めるって伝わっているんですよね?
でも、逆もあるんです。勇者が召喚された時、魔物もまた狂暴化します」
「異世界からの勇者召喚・・・」
レミは別の所が引っ掛かってるみたいだけど、とりあえずそのまま説明を続けよう。
「つまり、今回勇者が召喚された事で魔物が変異・・・狂暴化したんです。王都からどのくらいの距離まで影響しているかは分かりませんでしたが、王都に聖女が向かっているとの知らせを聞いて、ゼムスさんが僕を派遣したんです」
「なるほど・・・ね。勇者を召喚したら魔物が狂暴化するなんて意味が分からないけど、実際にそうだったから信じるしかないわね。
昼過ぎに遭遇したゴブリンは普通だったから、範囲がこの辺りまでなのか、全ての魔物が狂暴化している訳ではないのか、そのどちらかでしょうね」
さすがシーラ様は年の功か、1を言えば10を知り、更に考察までしてくれる。
「ええ、その辺りの調査も近々、神殿と冒険者ギルドの総力を挙げて、大規模に行われると思います」
「神殿と冒険者ギルドだけ? 国は動いていないの?」
あ、そうだよね。その説明が抜けていた。
「えっと、今回に限っては国はあてにしない方が良いですね。
勇者召喚は王国に伝わる人類の切り札らしいですが、反乱を起こそうとしている王族が勝手に使ってしまったそうです」
「それは穏やかじゃないわね。そもそもこの状況を作り出したのが王族って事ね」
おっと、俺とシーラ様だけで話をしていて2人を置いてけぼりにしてしまっていた。レミは異世界がどうとかブツブツ言っていて、ソラは黙って何か考え込んでいる。
「レミも理解できましたか?」
とりあえず話を振ってみよう。
「ねえ、リョーマ。勇者は異世界から召喚されたんだよね? 異世界ってどこだろうね」
俺がレミに話を振ると、そんな答えが返ってきた。うーん、ほぼ間違いなく俺の前世の世界なんだけど、説明しても分からないだろうし、どうしようかな。
「250年くらい前だったかしら? 私がまだ冒険者をしていた頃、実は異世界から来たという青年に会った事があるわ。
もちろんその青年は勇者ではなかったけどね。気付いたらこの世界に来ていたって。
腰からカタナだったかしら? とてもキレイな武器を下げていて、とても強かったわ」
うん。とっても日本人ですね。250年前なら、江戸時代かな?
「武士・・・(ぼそっ)」
「ん? レミ何か言いましたか?」
「あ、いや何でもないよ。ごめん。話を続けて」
俺の聞き間違いじゃ無ければ、レミはボソッと武士って言ったような気がするけど、気のせいかな?
久しぶりに見たレミは少し大人びていた。猫耳だけど。
「王都の神官長からの依頼で助けに来ました。
間に合ってよかったです」
「あら、ゼムスさんは私たちがピンチになる事が分かっていたのかしら?」
そう言いながら次に馬車から降りて来たのはエルフだった。何を隠そう、エナンの街の巫女であるシーラ様だ。
馬車に乗ってることは気配で知っていたので驚きはしない。因みに馬車に乗っているもう1人はレミの弟のソラだ。
「いえ、ちょっと事情がありまして、後で説明します。
シーラ様もお久しぶりです。あ、そうでもないかな? 夏に帰省した時にお会いしましたね。
そしてレミは本当に久しぶりです。一緒に森へ行って【神託】のレベルが上がって、その後すぐにオーシャへ異動だったから約2年振りですね」
「リョーマも元気そうで良かったよ。
シーラ様に聞いたわ。王都の学園に入ったんだって? 学生生活楽しんでる?」
「ふふっ、神殿騎士たちも困ってるから、積もる話は宿場町に着いてからにしましょう?」
確かに、言われて見渡すと神殿騎士の人たちが、予想外の出来事にどうしたら良いかちょっと困惑気味だ。
「はっ!? 申し訳ありません聖女様、シーラ様。すぐに魔物を片付けますのでしばらくお待ち下さい。
おい、お前たち! いつまで呆けてるんだ。魔物の死体を片付けるぞ」
いち早く我に帰ったリーダー格の騎士さんが部下に指示を出す。
倒した魔物は街道沿いで放置すると、他の魔物や獣を引き寄せてしまうのでキチンと片付けるのがマナーだ。
「それで、その子はお知り合いですか?」
「ええ、貴方も知ってるでしょ?
噂のグレイブ大神官の息子よ」
「あっ、そうか君が・・・。
はじめまして、私はこの騎士隊の隊長をしているガロンと申します」
何か敬礼されてしまった。俺ってそんなに有名なの?
「こちらこそ、はじめまして。
学生兼、冒険者をしていますリョーマです。よろしくお願いします。
それと魔物は僕が回収しますよ。薄暗くなって来ましたので大変でしょう?」
「えっ? 回収? 埋めるとかでは無く?」
と言う事で、【サポーター】さんよろしく。
《はい、かしこまりました》
「うわっ、オークの死体が消えたっ!」
あ、騎士さんを驚かせてしまった。説明してからが良かったかな?
「すみません、僕のスキルです。驚かせて申し訳ありません」
実はこの1年で直接触れていない物でも【収納】できるようになった。
どんな仕組みか分からないけど、誰かが持っていたり身に付けている物を【収納】するには直接触れないとできないけど、所有権が曖昧な物や俺の物なら触れていなくても【収納】ができる。
「さすがSランク冒険者です。見た事もないようなスキルですね」
「あら、リョーマ君はやっとSランクになる決心をしたのね? って危ない、また話し込んでしまうところだったわ。
さあ、宿場町はもうすぐよ。とりあえず宿場町まで行きましょう」
「改めて、お礼を言わせて貰うわ。ありがとうリョーマ。
あのままだったら私もレミもどうなっていたか・・・。ゼムスさんの慧眼に感謝しないとね」
とりあえず宿場町に到着して、俺とシーラ様そしてレミとソラは食堂で夕食タイムだ。念のため、周りに声が漏れないように防音の魔法は使っている。
ちなみに、宿場町は森の中にある事もあり、堀と塀に囲まれ魔物対策がされていて、変異した魔物が相手でも簡単には侵入されないような作りになっている。けど、念には念を入れてガルムの3体に辺りの警戒と近づいて来る魔物の排除をお願いしておいた。
「ええ、ゼムスさんの機転には感謝ですね」
「でも、どうして神殿騎士にも倒せないような魔物に私たちが襲われると分かったのかしら?」
「そうですね。まずはそこからお話しますね」
と言っても、どこまで話していいのかな? まあ、2人とも神殿の中でも立場が高い方だし、いずれ知る事になるから、今話をしても問題ないだろう。
「実は今朝、勇者召喚が行われました」
「勇者召喚ですって!?」
やっぱり巫女を長くやっているシーラ様は知ってるんだね勇者召喚。
「ええ、神殿では魔物が狂暴化した時に、異世界から召喚された勇者がこれを鎮めるって伝わっているんですよね?
でも、逆もあるんです。勇者が召喚された時、魔物もまた狂暴化します」
「異世界からの勇者召喚・・・」
レミは別の所が引っ掛かってるみたいだけど、とりあえずそのまま説明を続けよう。
「つまり、今回勇者が召喚された事で魔物が変異・・・狂暴化したんです。王都からどのくらいの距離まで影響しているかは分かりませんでしたが、王都に聖女が向かっているとの知らせを聞いて、ゼムスさんが僕を派遣したんです」
「なるほど・・・ね。勇者を召喚したら魔物が狂暴化するなんて意味が分からないけど、実際にそうだったから信じるしかないわね。
昼過ぎに遭遇したゴブリンは普通だったから、範囲がこの辺りまでなのか、全ての魔物が狂暴化している訳ではないのか、そのどちらかでしょうね」
さすがシーラ様は年の功か、1を言えば10を知り、更に考察までしてくれる。
「ええ、その辺りの調査も近々、神殿と冒険者ギルドの総力を挙げて、大規模に行われると思います」
「神殿と冒険者ギルドだけ? 国は動いていないの?」
あ、そうだよね。その説明が抜けていた。
「えっと、今回に限っては国はあてにしない方が良いですね。
勇者召喚は王国に伝わる人類の切り札らしいですが、反乱を起こそうとしている王族が勝手に使ってしまったそうです」
「それは穏やかじゃないわね。そもそもこの状況を作り出したのが王族って事ね」
おっと、俺とシーラ様だけで話をしていて2人を置いてけぼりにしてしまっていた。レミは異世界がどうとかブツブツ言っていて、ソラは黙って何か考え込んでいる。
「レミも理解できましたか?」
とりあえず話を振ってみよう。
「ねえ、リョーマ。勇者は異世界から召喚されたんだよね? 異世界ってどこだろうね」
俺がレミに話を振ると、そんな答えが返ってきた。うーん、ほぼ間違いなく俺の前世の世界なんだけど、説明しても分からないだろうし、どうしようかな。
「250年くらい前だったかしら? 私がまだ冒険者をしていた頃、実は異世界から来たという青年に会った事があるわ。
もちろんその青年は勇者ではなかったけどね。気付いたらこの世界に来ていたって。
腰からカタナだったかしら? とてもキレイな武器を下げていて、とても強かったわ」
うん。とっても日本人ですね。250年前なら、江戸時代かな?
「武士・・・(ぼそっ)」
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