うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

文字の大きさ
104 / 159
第3章 王都騒乱編

第22話 パートナー契約

しおりを挟む
 ガルムを呼び戻した後、それぞれ気の合うガルムとパートナーになってもらう為、庭でちょっとしたお茶会を開いた。

 と言っても、ガルムは飲食ができる訳ではないので、話をする程度なんだけどね。

 俺も昨日一気に増えたガルムたちの性格を掴みかねていたので一緒に参加する事にした。

「自分は誰ともパートナーになるつもりはないであります! 自分はリョーマ殿一筋であります!」

 そう言うのはガルム隊の隊長、少し小柄なガルムであるコガルムだ。ちなみに、イガルムとウガルム、そしてエガルムは昨日レミの救援に連れて行ってそのまま護衛をお願いしたのでこの場に居ない。

 あの3匹も昨日と今朝少し話をしたけど、かなり濃いキャラをしていた。イガルムは執事風、ウガルムはツンデレ、そしてエガルムはなんちゃって京都弁。しかも女言葉だった。なぜこんな性格に作ったのか、もうゴブ・リーンが良く分からない。

 1時間ほどして、ジョージ、ゼムスさん、鈴木さんの3人がそれぞれ気の合うガルムを見つけたらしく、俺の所に連れて来た。

「鈴木さんがアガルム、ジョージがカガルム、ゼムスさんがオガルムですね?」

 鈴木さんは元々この1年で仲が良くなっていたらしいアガルムだ。ゼムスさんが選んだオガルムはおじさんキャラ。おじさん同士、気が合ったのかも知れない。

 問題はジョージが選んだカガルム。カガルムは気の強い女の子キャラだった。ジョージは女の子にぐいぐい引っ張ってもらいたい系なのかな!?

「それでは、皆さんパートナー契約を結びますが、本当に良いんですね?
 実質僕の配下的な扱いになるんですよ? する気はないですが、僕が理不尽な命令をしたら意に反して逆らえないんですよ?」

「もちろんだ。そんな事些細なことだぜリョーマ! 強くなれるなら俺は悪魔にだって魂を売ってやる。
 ・・・とまでは言わないが、リョーマなら大丈夫だと思ってる。この1年リョーマを見て来たからな。
 ガルムのパートナーになった途端に理不尽な命令とかする事はないって知ってるぜ!」

「ああ、そうじゃな。わしも心配はしておらんぞ。むしろこの状況じゃ。少しでも戦力を底上げせんと、王都が亡びかねない。ジョージ君じゃないが、悪魔にでも助けを乞いたいくらいじゃわい」

 鈴木さんもほぼ同意見なようで、ガルムのパートナーになる事に依存はなさそうだ。

「みなさんの覚悟、しかと確認させて頂きました。ではそれぞれパートナーに選ばれたガルムと・・・」

「ちょっと待ったーー!!」

 そこまで言ったところで、屋敷から叫び声が聞こえてきた。太郎さんだ。ノリが昭和のバラエティ番組だ。

「僕もガルムのパートナーになりたいです!」

 どうやら太郎さんもガルムのパートナーになりたいらしい。

「太郎さん、話を聞いていたとは思いますが、良いんですか? ガルムのパートナーになると言う事は、【テイマー】のスキル上、僕の配下になると言う事ですよ?」

「もちろんです。全く問題ありません。いや、むしろ是非、貴方のシモベにして下さい!」

「あーあ、もう太郎さんは完全にリョーマの信者ね」

 太郎さんが重い。ちょっと声が出るようにしただけなのに!

「分かりました。太郎さんはパートナーになるガルムは選び終わったんですか?」

「パートナーは選んでます。気の合う子がいたので」

 そう言って太郎さんが連れて来たのはえっと・・・。見た目がほとんど同じだから裏にある数字を見るか、【鑑定】しないと名前が中々分からないや。

「マスター。ボクはガルム8号、クガルムだよ。
 ボクからもお願いするよ。タロウとパートナー契約を結ばせて欲しいんだ」

 この1時間で結構仲良くなっていたらしく、クガルムからもお願いされてしまった。

「じゃあ、4人とも選んだガルムとパートナー契約を結ばせてもらいますね。みなさん、それぞれパートナーに選んだガルムと握手をしてください」

 4人はそれぞれのパートナーと握手をする。するとリーナさんとミルクが契約した時のように、それぞれと俺の間に何か繋がりのようなものを感じる。

《4人からそれぞれパートナー申請が届きました。マスターの承認は得られていますので、このまま契約を行います》

 【サポーター】さんの言葉と共に、薄っすらと感じていた繋がりが確かなものとなっていく。

《ジョージをカガルムのパートナーに設定しました。
 スズキをアガルムのパートナーに設定しました。
 ゼムスをオガルムのパートナーに設定しました。
 タロウをクガルムのパートナーに設定しました。
 これにより、4人はマスターの配下となり【従魔超強化】の恩恵を得ます》

「こ、これは・・・力が漲ってくる! 凄いぞリョーマ! 予想以上だ! ・・・もう何も恐くないぜ!」

「ジョージ、それは死亡フラグだからやめといて」

「冗談だ。ステータスが約2倍になったところで、俺のレベルじゃまだ役に立たない事ぐらい自覚してるさ。
 けど、経験値は11倍だろ? レベルを上げて、少しでも役に立てるように頑張るぜ!」

 くれぐれも無茶をしないで頑張ってもらいたい。

 ☆

 とりあえず神殿でも課題は山積していると、ゼムスさんが神殿に向かった事で、一旦お開きとなった。また夜に集まって状況共有する予定だ。

 鈴木さんは太郎さんにこの世界について勉強会を開くとの事で、太郎さんを連れて行った。

「さて、リーナさん。王城はこの後どうします? 残りの勇者を放置しておく訳にも行かないですよね?」

「ええ、そうね。でもその前に変異した魔物の対処もしないとね。最低でも西はダイダの街、南はエナンに向かう街道の半分、森の辺りまで魔物が変異してるみたいだから、このまま放っておくと大惨事になるわ」

 北はダンジョンとその先は国境、東は大森林が広がっている為、被害は限定的だろう。そう考えると、西と南を何とかする必要がある。

 北の街道沿いはミルクとシルクにコガルムを付けて、見回って貰う。東は一旦放置だ。

「仕方ないの。ケーキとクッキーにプリンで手を打つの!」

 ミルクはそんな事をいいながらコガルムに乗って出発して行った。

「南の街道沿いはレミの護衛に残してきたガルムたちがある程度キレイにしてくれると思いますので、僕たちはまずダイダの街までの街道沿いの魔物を殲滅しましょう」

 南も3体では護衛以外に手が回らないかも知れないのでキガルムとケガルムに援護してもらおう。

「じゃあ、私とリョーマ、そしてジョージ、カガルムで西・・・ダイダまでの街道付近の魔物を一掃しましょう!」

「分かりました」

 そして、今日はダイダまでの街道沿いの変異した魔物をサーチ&デストロイする事になったのだった。

「やっぱり、また空を飛ぶのかぁぁぁぁ」

 ジョージの悲鳴と共に。だって街道を普通に進んだら往復で2~3日かかっちゃうからね。
しおりを挟む
感想 112

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...