うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

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第3章 王都騒乱編

第28話 王都からの知らせ

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 危なくなったら手を出そうと、冒険者と兵士の戦闘を見守っていたけど、手を出す必要もなく昼前には魔物を殲滅できた。

 その間に、様子を伺いつつも俺とリーナさんで倒した魔物を【収納】に入れる事も忘れない。

 因みに、遠目にウースさんとスラッシュさんが戦っているのも見えた。スラッシュさんは俺の渡したポーションで無事に回復して戦闘に参加したらしい。

 後で探して労いの言葉くらいかけた方が良いかな?


「本当にありがとう! 君たちが居て助かったよ!!
 街に全く被害が出なかった上に、死者もゼロ。奇跡としか言いようがない!
 君たちが居なかったら、魔物が10分の1でも街に甚大な被害が出ていたところだ」

 冒険者ギルドに戻ると、スラッシュさん達を探す間もなく、俺たちは待っていたギルド職員に奥の部屋に連れて行かれた。

 そこで開口一番に、ギルド長からそんな言葉が飛んできた。

 危機が去ったからか、ギルド長のレオンさんは先程までのビクビク感は無く、獅子獣人らしく威風堂々としている。

「いえ、たまたまこの街に居たから対応できて良かったです」

 昨日ジョージの実家に泊まってなければ、もっと言えば俺たちがダイダの街方面の魔物退治を担当して居なければ、この街は大変な事になっていた可能性もある。本当にたまたまここに居て良かった。

「しかし、君はSランクの中でも更に規格外の様だな。
 王都やエナンのギルド長たちが挙ってSランクに推薦する訳だ」

 そこからは延々と俺を持ち上げ、この街の冒険者にならないかと勧誘されたが、丁重にお断りしておいた。

「今回の成果で、リーナ殿もSランクになってもおかしくないですな。
 この1年の実績も相当なものだと聞いております」

 確かにレベル上げも兼ねて、一緒にダンジョン巡りをしたりしたので、それなりに素材の納入などをしていたから基準は満たしているのかな?

 リーナさんに対して若干敬語なのは、正体を知ってるからなんだろう。

「そうだ。それで思い出しましたが、僕たちが倒した魔物はどうします? 一応【収納】に入れています」

「冒険者たちが倒した魔物は低ランクの冒険者たちが回収に行っているが、君たちの倒した魔物は消えてしまったと聞いていたんだ。
 まさか、あの量の魔物が入る程の【収納】持ちだったとは。戦闘力のみならず、そこも規格外なんだな。
 やっぱりこの街の・・・」

「いえ、それはさっきも言った通り、僕はまだ学生ですし、お断りさせて頂きます。
 それで素材はどうします?」

「う、うむ。残念だ。
 素材に関しては、変異した魔物の素材は変異前の魔物素材の上位互換らしくてな。
 当ギルドとしても全部買い取らせて貰いたいところだが、量も量だ。
 街の外に転がっている素材だけで手一杯になりそうだから、勿体ないが王都のギルドに持って行ってくれないか?」

 確かに、変異した魔物はサイズも大きくなっているから、冒険者の人たちに任せた100匹分だけでも相当な量になるんだろう。

 虫の素材は防具や錬金に、獣は食用や毛皮などと用途は多彩だ。王都で高く買ってもらおうかな。

「あ、そう言う事なら俺の実家で少し買取させて貰えないかな? 後で親父に相談してみるぜ」

「おお、ワトソン商会ならダイダの街に還元されるから大歓迎だ。是非頼む」

「ええ、わかりました。後でジョージの家に持っていきますね」

 ジョージとレオンさんに頼まれたら断る事は出来ないので、とりあえず頷いておく。

「さて、後は報酬の話だが・・・。
 リョーマ君は先日、ワトソン商会からの指名依頼も達成しているそうだな。
 そこも含めて精算させて貰う。後日、この街の領主や神殿からも感謝の言葉があるだろう」

 領主は昨日、兵士たちと共に王都に向かったそうだ。

 後でジョージの実家に寄ったら、そのまま王都に帰るつもりだったんだけど、また来ないとダメかな?

「今日にでも王都に戻る予定ですので、領主様と神殿にはよろしく言っておいて下さい。
 何かあれば王都のギルド経由で連絡して頂けたら・・・」

「む・・・、そうか? まあ、ゼムス殿とも懇意にしている様だし、リーナ殿も居るし、問題はないだろうが」

 確かに、俺の周りには王族と神殿の偉い人がいるんでした。

 その後、報酬を一部貰い、後は領主とも相談してからとの事で、とりあえずギルドを出る事にした。

「それじゃあ、いつでも歓迎するからな。
 この街で活動したくなったら宜しくな」

 別れ際にもそんな事を言われたが、愛想笑いをしておいた。

 ☆

「聞いているよ。よくこの街を守ってくれた!」

 ジョージの実家に着くと、ジョージの父親がそう言いながら抱きついてきた。興奮してるんだろうけど、俺はそんな趣味はないです。

 あ、でも今の俺は子供なんだし、抱きつかれてもそんなにおかしくはないか。

「微力ながらお役に立てて良かったです」

「何を謙遜してるんだ。君が居なかったら街は壊滅していたと聞いているぞ。
 謙遜も度が過ぎると嫌味になる事があるから気をつけるんだよ」

「そうよ。リョーマが居なかったら間違いなくこの街は滅んでいたんだから! もっと主張しても良いんじゃない?」

 ジョージのお父さんとリーナさんにそんな感じで諭されつつ、素材について商談をする。

「変異した魔物の素材は、変異する前の魔物の上位互換なんだってね? 少し見せてもらっても良いかな? それを見てどれだけ買い取れそうか見積らせて貰うよ」

 商会にも解体場があるらしく、そこに何匹か魔物を出していく。流石に大量の魔物の持ち込みは想定していない様で、10匹くらいでいっぱいになってしまった。

「コレは確かに凄いな。この虫の殻なんて、従来のモノより軽くて硬い。とても良い防具になるぞ。
 少し焼いてくれたこの肉も、未だかつてない柔らかさだ。口の中でとろける様だ」

 肉も美味しくなっていると聞いたので、少し解体して焼いてみた。オーク系の肉は一般に多く広まっているが、その変異種は確かに未だかつてない美味しさだ。

 そこだけは自称神様グッジョブとか思ってしまった。きっとこの魔物の変異はレベル上げに加えて、素材で装備の底上げもできるようになっているんだろう。

「とりあえず、ここに出して貰った10匹は買取させて貰うよ。専門家に見積もりを出させるから1日待ってくれるかな?」

「とりあえずこの10匹は昨日急に押しかけた迷惑料として取っておいて下さい。
 【収納】に入っている残りの魔物については、今回の素材を元に見積もりをして頂けたら、またお届けに来ます。僕の【収納】は時間経過も緩やかなので、当分は劣化もしません」

 そんな話をしていると、急に【念話】が届いた。

〈リョーマ。こちらゼムスじゃ。
 ちと、王都で問題発生じゃ。急いで戻って来れるかの?〉

 次から次に・・・、今度は何があったんだろう。
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