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第3章 王都騒乱編
第33話 王様との念話会談
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何とかミルク用のご褒美も出来上がり、ほっとひと息つきながらアイスの味を楽しんでいると、ミルクから【念話】が届いた。
〈リョーマ! ミルクなの。ミッションコンプリートなの! おーさまは無事に回復したの!〉
良かった。何とか間に合ったらしい。どんな毒を飲まされていたのかは分からないけど、リョーマ印のポーションで治せないものは無いからね。
〈ミルクありがとう。新作スイーツも出来てるからね。楽しみにしててね〉
〈やったの! 楽しみなの!〉
「リーナさん、ミルクから連絡です。
無事に王様を発見、治療したようです」
俺がそう報告すると、みんな胸を撫で下ろす。
「良かったわ。本当に良かった・・・」
リーナさんはそのまま涙を流して泣き始めてしまった。なんだかんだ言っても、血の繋がった父親だからね。母親ももう居ないって話だし、唯一の肉親なんだよね。
半分だけ血の繋がった、兄弟と呼べないような兄弟はいっぱい居るかも知れないけど。
「はい。本当によかったです」
そう言いながら、とりあえずハンカチを取り出して手渡す。正直、こんな時どうすれば良いか、俺には分からない。泣いてるリーナさんをハグしようにも、俺はまだ子供なので身長差が大きすぎる。
「すみません。こんな時、どんな顔をしてたらいいのか分からなくて」
「笑えばいいと思うわよ。
・・・ぷっ。リョーマ、私を笑わせる為にわざと言ったわね」
リーナさんは、そう言うと一呼吸おき。
「・・・本当に、ありがとう」
小さい声でそう言ったのだった。
〈もしもーし。おーさまがリーナとお話したがってるの〉
あ、忘れてた。最近忘れてる事が多くなってきたなぁ。年かな!? ・・・ただの寝不足でした。
〈ごめんごめん。グループ【念話】に切り替えるから、そっちも王様を入れてくれるかな?〉
〈了解なの!〉
「じゃあリーナさん、王様と【念話】をつなぎますね」
〈お父様! ご無事ですか!〉
つないだ瞬間、リーナさんが叫んだ。いや、耳元で叫ばれた訳じゃ無いけど、勢いがあったからビクってなってしまった。
〈あー、あー、ん? これで良いのか?〉
すると、ちょっと渋い声でマイクテストしているような感じの声が聞こえて来た。王様かな?
〈おっけーなの! 繋がったのー〉
〈おお、魔道具を使わない【念話】とは・・・失われて久しいスキルではないか!〉
え? そうなの? 俺たち普通に使ってたから知らなかった。
〈リーナ、聞こえているか? 心配かけてすまなかったな。
私はもう大丈夫だ〉
〈お父様! すみません。もっと早くに気付けていたら・・・〉
〈いや、お前が謝る事ではない。全てはこのような愚行を子供たちに許してしまった私の不徳とするところだ〉
何かファンタジーの王様って言うと、もっと我が儘だったり、自由奔放に生きてるのかと思ってたけど、俺の思い込みだったみたいだ。
少なくともリーナのお父さんはしっかりしている。
〈それでもです! 私にはそれなりにチカラがありました。ですが、こうやってギリギリの状況になるまでお助けする事ができなかったのです〉
〈間に合ったのだ。それで良いではないか。
して、今回の功労者であるリョーマ君だったかな? 会話に参加してるのだろう?〉
おっと、ここで俺に話が振られるとは思わなかった。リーナさんが書いた手紙には俺の事も書いてたんだな。
〈はい。はじめまして。リョーマ・グレイブです。リーナ様とは親しくさせて頂いています〉
〈うむ。聞けば、今回の薬を準備してくれたのもリョーマ君だとか。
礼を言わせてもらう。ありがとう〉
〈いえ、勿体ないお言葉です。頭を上げて下さい〉
まあ、実際に下げているかどうか【念話】だから分からないんだけどね。
〈それでお父様、私の話を信じて頂けたと思ってよろしいのでしょうか?〉
〈ああそうだな。病床に臥せっている中でミーナ達の会話も薄っすらと聞こえていた。
あの会話と、お前が手紙に書いてくれた内容を総合して考えると、否定する要素はないな〉
どうやら、王様は俺たちの言い分を信じてくれるみたいだ。良かった。
〈やつらに野心がある事は分かってはいたが、まさかここまでするとは思って居なかった。
私も老いたと言う事かな〉
王様、薄ら気付いてはいたのか。
〈そんな事はありません。あいつらが予想を遥かに上回る阿呆だっただけです。
あっ、すみません。兄や姉の事を阿呆などと・・・〉
〈いや、良い。確かに今回の件は私でも擁護しきれぬ。
全てが片付いた後、然るべき対応をするつもりだ〉
然るべき対応か・・・。王族だから表立った処分はできないだろうから、どこかに隔離されるのか表向きは病死するのか。
どちらにしろ、今の状況を何とかしないとそんな話も始まらないか。
〈それで、神殿で対策会議をしていたのだろう? それの結果を聞かせてくれぬか?〉
〈はい。その前にお父様、そのままそこに居たら、元気になったお父様をみた姉達が凶行に及ぶ可能性もあります。
一時的に神殿に避難して頂きたいのですが・・・〉
〈ふむ・・・。あいつらがどこまで味方に引き込んでいるかも分からぬし、そうした方が良いか?
まあ、普通ならあの阿呆共に付くほどの間抜けは居ないとは思うが、勇者召喚と女神様から遣わされたと言う話。それを信じる者が居たら、取り込まれる可能性もあるだろう〉
王様はこっちに来てくれそうだ。そうなると守りやすくなるし、助かる。
ん? でもミルクが居るとは言え、こんな夜中に王様を1人で歩かせる訳にも行かないか・・・。仕方ない。
〈それでは、今から僕が迎えに行きますね。そのままその部屋でお待ちください〉
王城は探知系のスキルは使えないけど、従魔であるミルクの居場所なら分かるから問題ない。
〈待て待て、いくらなんでも一般人が真夜中の城に侵入できる訳が・・・。
ん? そういえばこの妖精はどうやって入ったのだ?〉
〈ミルクはミルクなの! 妖精じゃなくてミルクって呼んで欲しいの!〉
いやいや、ミルクさん。今はそんな事言ってる時じゃないから。
〈おお、すまなかったな。ミルクはどうやってここまで入ってきたのだ?〉
王様も意外と素直だった!
〈ミルクは【光魔法】で姿を消してきたの! ほら、こんな感じなの!〉
〈おお! 本当に消えおった! ・・・そんなスキルがあるとは、ひと段落したら城の警備を見直す必要があるな〉
俺たち以外は使えないとは思うけど、そもそも俺たちが王城に忍び込むのも本来は問題か。
〈僕も姿を消すことができますので、今から迎えに行きます。すぐ着きますので、お待ちください〉
そうして、俺は王様を迎えに飛び立つのだった。
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ポチは今まで通り更新しますので、ご心配なく!
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俺がそう報告すると、みんな胸を撫で下ろす。
「良かったわ。本当に良かった・・・」
リーナさんはそのまま涙を流して泣き始めてしまった。なんだかんだ言っても、血の繋がった父親だからね。母親ももう居ないって話だし、唯一の肉親なんだよね。
半分だけ血の繋がった、兄弟と呼べないような兄弟はいっぱい居るかも知れないけど。
「はい。本当によかったです」
そう言いながら、とりあえずハンカチを取り出して手渡す。正直、こんな時どうすれば良いか、俺には分からない。泣いてるリーナさんをハグしようにも、俺はまだ子供なので身長差が大きすぎる。
「すみません。こんな時、どんな顔をしてたらいいのか分からなくて」
「笑えばいいと思うわよ。
・・・ぷっ。リョーマ、私を笑わせる為にわざと言ったわね」
リーナさんは、そう言うと一呼吸おき。
「・・・本当に、ありがとう」
小さい声でそう言ったのだった。
〈もしもーし。おーさまがリーナとお話したがってるの〉
あ、忘れてた。最近忘れてる事が多くなってきたなぁ。年かな!? ・・・ただの寝不足でした。
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〈了解なの!〉
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〈お父様! ご無事ですか!〉
つないだ瞬間、リーナさんが叫んだ。いや、耳元で叫ばれた訳じゃ無いけど、勢いがあったからビクってなってしまった。
〈あー、あー、ん? これで良いのか?〉
すると、ちょっと渋い声でマイクテストしているような感じの声が聞こえて来た。王様かな?
〈おっけーなの! 繋がったのー〉
〈おお、魔道具を使わない【念話】とは・・・失われて久しいスキルではないか!〉
え? そうなの? 俺たち普通に使ってたから知らなかった。
〈リーナ、聞こえているか? 心配かけてすまなかったな。
私はもう大丈夫だ〉
〈お父様! すみません。もっと早くに気付けていたら・・・〉
〈いや、お前が謝る事ではない。全てはこのような愚行を子供たちに許してしまった私の不徳とするところだ〉
何かファンタジーの王様って言うと、もっと我が儘だったり、自由奔放に生きてるのかと思ってたけど、俺の思い込みだったみたいだ。
少なくともリーナのお父さんはしっかりしている。
〈それでもです! 私にはそれなりにチカラがありました。ですが、こうやってギリギリの状況になるまでお助けする事ができなかったのです〉
〈間に合ったのだ。それで良いではないか。
して、今回の功労者であるリョーマ君だったかな? 会話に参加してるのだろう?〉
おっと、ここで俺に話が振られるとは思わなかった。リーナさんが書いた手紙には俺の事も書いてたんだな。
〈はい。はじめまして。リョーマ・グレイブです。リーナ様とは親しくさせて頂いています〉
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〈いえ、勿体ないお言葉です。頭を上げて下さい〉
まあ、実際に下げているかどうか【念話】だから分からないんだけどね。
〈それでお父様、私の話を信じて頂けたと思ってよろしいのでしょうか?〉
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あの会話と、お前が手紙に書いてくれた内容を総合して考えると、否定する要素はないな〉
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王様、薄ら気付いてはいたのか。
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〈いや、良い。確かに今回の件は私でも擁護しきれぬ。
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〈はい。その前にお父様、そのままそこに居たら、元気になったお父様をみた姉達が凶行に及ぶ可能性もあります。
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ん? でもミルクが居るとは言え、こんな夜中に王様を1人で歩かせる訳にも行かないか・・・。仕方ない。
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〈待て待て、いくらなんでも一般人が真夜中の城に侵入できる訳が・・・。
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〈ミルクはミルクなの! 妖精じゃなくてミルクって呼んで欲しいの!〉
いやいや、ミルクさん。今はそんな事言ってる時じゃないから。
〈おお、すまなかったな。ミルクはどうやってここまで入ってきたのだ?〉
王様も意外と素直だった!
〈ミルクは【光魔法】で姿を消してきたの! ほら、こんな感じなの!〉
〈おお! 本当に消えおった! ・・・そんなスキルがあるとは、ひと段落したら城の警備を見直す必要があるな〉
俺たち以外は使えないとは思うけど、そもそも俺たちが王城に忍び込むのも本来は問題か。
〈僕も姿を消すことができますので、今から迎えに行きます。すぐ着きますので、お待ちください〉
そうして、俺は王様を迎えに飛び立つのだった。
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