うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

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第3章 王都騒乱編

第34話 シルクのパートナー

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 とりあえず王城に行き、王様とミルクを回収した。

 戻ってきたら、太郎さんとジョージ、リーナさんとレミとシルクの男女2グループに分かれて、アイスを食べた後のティータイムを楽しんでいた。

 くっ! 俺は眠い目を擦って王様を回収に行ってたのに。まあでも、楽しそうだし良いかな。

 そして現在、目の前では感動の親子の再会が行われている。


「お父様、ご無事で何よりです」

「ああ、本当に助かった。夢の中では川の向こうで先代が手を振っていたぞ」

 それあかん奴や。この世界にも三途の川があるんだね。結構ギリギリだったのかな。

「そうなの。ミーナって女が、おーさまはもうすぐ死んじゃうって言ってたの」

「そうなのね。リョーマありがとう。貴方が居なかったらお父様は・・・」

「ああ、私からも改めてお礼を言わせてもらう。リョーマ君、本当にありがとう」

 面と向かってお礼を言われると、とてもむず痒い感じだけど、まあ助かって良かった。

「しかし、私に飲ませてくれたポーション。あれはかなり高価なものじゃないのか?
 毒で死を覚悟した状態から一瞬で完全回復する薬なんて、私は1つしか知らんぞ」

 あ、俺がエリクサーを量産できることが知られたら面倒だよね?

「自作ポーションです」

「だが、しかし・・・」

 今更感も半端ないけど。

「ただの自作ポーションです」

「う、うむ。そうか・・・。君がそう言うなら、そうなんだろう。
 しかし、リョーマ君はその歳で凄腕の錬金術師なんだな」

「いえ、お父様。リョーマはテイマーですよ。
 お父様を探してくれた妖精。あの子もリョーマの従魔なんですよ」

 どうも、最近では自分が何と名乗ればいいか良く分からないリョーマです。錬金術師の~とか、テイマーの~じゃなくて、Sランク冒険者のリョーマで統一した方がいいかな。

「ああ、そうだった。驚きの連続ですっかり忘れておった。
 妖精といえば討伐ランクが最低でもAの魔物ではないか。そんな魔物を従えるテイマーか・・・」

「ふふふ、ルキウス王よ。リョーマは世界を救う男ですじゃ。
 エナンの街の巫女、シーラ殿が女神より【神託】を受けております」

 そう言いながら、部屋に入ってきたのはゼムスさんだ。と言うか、王様の名前はルキウスって言うんだね。そう言えば知らなかった。いや、学校で習ったか・・・。もう眠くて記憶も曖昧だよ。

「おおゼムス殿。すまぬがしばらくここで厄介になるぞ。
 しかし、世界を救う男か・・・。このような強力な魔物をテイムする程のテイマー。そしてエリクサーを作り出すスキルと知識。あながち間違ってもいないのだろうな」

 あ、王様エリクサーって言っちゃった。

「王様。自作のただのポーションです」

 一応、念を押しておく。

「あ、ああ。そうだったな。すまんすまん。
 して、ゼムス殿。詳しい話を聞きたいのだが良いかな?
 恥ずかしい話、王城はどこまで娘たちの手が回っているか把握出来ぬ為、しばらくここを拠点とさせて貰いたい」

「そうですな。神殿としてもそのつもりですじゃ。
 では、私の執務室にご案内させて頂きます。
 それと、未成年の者たちよ。今日はもう遅い。寝室の準備をさせたので先に休むのじゃ」

 朝も暗い内からダイダの街の防衛をして、夜中まで会議をした後に新作スイーツを作り、更に王城から王様を救出する。うん。今日も濃い一日だった。

 ゼムスさんがそう言うと、部屋にシスターが何人か入ってきて部屋に案内してくれた。今日はもう何も起きないよね? 朝、起こされたりしないよね?

 そんな心配をしている内に、俺の意識は夢の世界に旅立ったのだった。おやすみなさい。


 ☆


 次に気付いたら、窓の外が少し明るくなっていた。まだ早朝っぽいし、もう少し寝ておこうかな。

 何て思っていたら、俺が起きるのを待っていたのかミルクが飛び掛かってきた。

「うわっと!」

 その後ろにはシルクが居る。どうやら、俺が起きるまでシルクが飛び掛かるのを止めてたらしい。

「リョーマ! やっと起きたのー! ご褒美まだ貰ってないのー!」

 あ、眠すぎて完全に忘れてた。でもシルクに抑えられていたとは言え、何だかんだ言って俺が起きるまで待っていてくれたミルクに感動だ。

「ごめんごめん。ワスレテナイヨ」

「うー。なんか棒読みなのー。まあいいの! それで新作スイーツはどんなのなの? できてるの!?」

「ああ、できてるよ。じゃじゃーん。アイスクリームだ!」

 俺は部屋にあった机の上に、ミルクとシルク2匹分のアイスを取り出す。【収納】に入っていたから冷たい出来立てのままだ。

「な、なんなのこれ!? いただきますなの!」

 そう言うと、ミルクは勢いよく食べ始める。

「つ、つ、つ、冷たいの!!」

 うん。アイスだからね。

「もう、ミルク。名前で察しなさい。アイスって言うくらいだから冷たいに決まってるじゃない。
 ・・・美味しい! 何これ、とっても美味しい!」

「ホントなの。冷たくてとても美味しいの! 昨日、頑張った甲斐があったの!
 おかわりなの!」

 凄い速度で食べきってしまった。あれ? 普通に人間の1人前くらいの量を出したんだけどな・・・。

 相変わらず、この小さな身体のどこに入るのか謎だ。前に聞いた時は、オヤツは別腹なのーって言ってたけど、もはや別腹という次元を超えている。

 この後、3回ほどおかわりしたところで満足したらしく、ミルクは俺が寝ていたベッドでそのまま寝てしまった。・・・太っても知らないからな。

「全く、ミルクはずっとこんな生活をしてたのね。太る訳だわ」

 あ、太ったらしい。見た目はそんなに変わらなく見えるんだけどなぁ。

「そうだ。マスターちょっと良い?」

「ん? 何だいシルク」

 完全に目も覚めちゃったし、この後どうしようか思案しているとシルクに声をかけられた。

「実は昨日の夜、聖女のレミとお喋りしてたら意気投合しちゃって。
 パートナー契約の話をしたら是非って言うんだけど・・・。どうかな? ダメかな?」

 そんな上目遣いでお願いされても、さすがに聖女様をパートナー契約とは言え従魔扱いにするのはどうなんだろうか。

 ・・・王女様も神官長もパートナー契約してるし、今更なのかな?

「うーん。僕も1回レミと話をしてみてからで良いかな?」

「分かったわ! 前向きに検討をよろしくね!」

 よほどレミの事が気に入ったのか、とても嬉しそうだ。

 拝啓ポチ様。また、パートナー契約者が増えそうです。



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