うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

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第3章 王都騒乱編

第52話 いざ、ダンジョンへ

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 朝、頭の下がやけにゴツゴツしてるなと思いつつ目を覚ます。いつの間にか眠ってしまってたみたいだ。

 昨日、拾った奴隷の首輪の転移機能を解析し終わって、転移の腕輪を作ったところで力尽きたんだ。

 ところで何でこんなに頭の下がゴツゴツしてるんだろう? と思いつつ目を開けるとアクモンの顔が目に入った。

「あ、リョーマ様。おはようございます」

「あ、うん、おはよう?」

 これはアレだ。多分、膝枕ってやつだ。問題は・・・鎧を着たままのアクモンに膝枕されてるからゴツゴツしてるんだ。

「ポチ殿に聞きました。人間の男性はこうすると喜ぶと。
 作業しながら眠ってしまわれましたので、僭越ながら私が膝枕をさせて頂きました」

 まあ、確かにそうなんだろうけど、鎧を着たままはちょっと・・・。

「ありがとう。いつの間にか寝てしまってたみたいだ」

 とは思ったけど、良かれと思ってやった事だろうからお礼を言っておこう。

「はい! いつでもやりますのでまたご用命下さい!」

 またって言うか、今回もご用命はして無いけどね!

「それで、魔道具の方はできたのですか?」

 そうそう、コントをしてる場合じゃなかった。ん? コントになってるのは俺だけだったかな。アクモンは真面目にやってるんだし。

「うん、何とか目処は立ったよ。
 朝食でみんなが集まった時に説明させて貰うよ」

「はい! 良かったです。途中で寝てしまわれたのでは? 起こした方が良いのでは? とドキドキしてたんです」

 ああ、ちょっと心配かけちゃったかな? 最近寝不足気味だったのが祟ったのか寝落ちして申し訳なかった。

 ──トントン

 そこでドアがノックされる。

「はい」

「おはようございます。リョーマ様。
 朝食の準備が出来ておりますので食堂へお越し下さい」

 丁度呼びに来たみたいだ。

「分かりました。すぐに向かいます」


 食堂へ行くと既にみんな揃っていた。あれ、呼ばれて結構すぐに来たんだけどな。

「おはようリョーマ。昨日も遅くまで何かしてたでしょ? 寝不足だと思って最後に呼びに行って貰ったのよ」

 疑問に思ってると、リーナさんが教えてくれた。なるほど、みんなにも気を使わせてしまったらしい。

「おはようございます。気を使わせてしまって申し訳ありません」

「気にしなくて良いのよ。ぶっちゃけここに居るのはみんなリョーマの配下扱いなんだから」

 そうか、形の上だけとは言えみんなそれぞれが俺の従魔とパートナー契約を結んでいる。

 タクヤとリョーコの勇者2人も昨日の内に残っていたガルムとパートナー契約をした。こちらは変な気を起こさないか心配だから、支配下に置いておけと言う話になったからだ。

 因みに、また王様が自分もパートナー契約をしたいと駄々を捏ねたが、丁重にお断りさせて頂いた。

 そう言えば、よく考えたらいつの間にか異邦人の7人が全員配下になってる。リーナさん、ゼムスさん、ジョージ、鈴木さん、そして勇者の太郎さんとタクヤとリョーコだ。

 それに加えてここにはシーラ様とレミとソラも居る。いつの間にか大所帯になったな。


「それで、昨日は夜遅くまで何をしてたんじゃ?」

 そんな事を考えながら朝食を食べているとゼムスさんに質問された。そうそう、説明をしないとね。

「はい。ダンジョンの封印を解きに行くのに普通なら往復で何日もかかってしまいますので、短縮する手段を考えてました。
 そして、昨日勇者の2人が付けられていた首輪を解析して呼び寄せの魔道具を作成してたんです」

 そう言うと、俺は【収納】から腕輪を7つ取り出す。

「おいおい、リョーマ。何だその腕輪。見た事ない材質だな」

 さすが商人の息子。ジョージはまずそこが気になったみたいだ。

「そんな事ないよ。ジョージも見たことあるはずだ。ガルムと同じ素材だよ」

「ああ、そうなのか? で、何なんだ?」

 あれ? 知らなかったのかな?

「オリハルコンだよ」

「「「・・・・・・」」」

 食堂を沈黙が支配する。

「見た目も重視して、ホントはミスリルで作りたかったんだけどね? さすがにこのレベルの魔道具を作るには強度不足だったんだ」

「あー、論点は多分そこじゃなくてね? 何サラッと伝説の金属で魔道具を作ってるの!? って話よ!」

 何故かリーナさんに怒られた。解せぬ。

「ま、まあ、そこは今更じゃろう。それでどの様な効果なんじゃ?」

 何だろう。みんなにリョーマだから仕方ないみたいな顔で見られてる気がする。いや、ちょっとは自覚あるんだけど!

「効果はそのままですね。腕輪に魔力を込めた者が、腕輪を付けた者を呼び寄せる事ができるんです。自由に転移出来る訳じゃないですけど、これでダンジョンに潜る時間が短縮できます」

「名前で何となく想像はしてたけど、ホントに国宝級のモノをポンポン作るわね・・・。
 行きはリョーマが10階層に行ってからみんなを呼び寄せるとして、帰りは歩きかしら?」

 そこもちゃんと考えてるから大丈夫! 俺は【収納】からもう7個の腕輪を取り出す。

「これを付けてシーラ様に呼び寄せて貰えばと思ってます」

「あら? じゃあ私はお留守番なのね」

「すみません。ある程度魔力も必要なのでシーラ様が最適かと・・・」

「そう言う事なら仕方ないですね。分かりました」

 これで後は俺がダンジョンに潜ってみんなを呼び寄せたら、ダンジョンの封印が解けるぞ。

「でもリョーマ、ホントに封印を解いて大丈夫なの?
 魔王では無さそうだけど、あの自称神様が封印されてるんでしょ?」

「そうですね。そこは出たところ勝負なところが否めないですが、同時に僕の従魔達も解放されます。何かあってもみんなで全力で対処しますよ。
 禁則事項にあたるらしくて正確には聞けていませんが、どちらにしろ自称神様の呪いみたいなものがあって、封印を解除するしかないんですよね?」

 7人がそれぞれに頷く。よく分からないけど封印を解除しないといけないような強迫観念にかられてるようだ。口には出せないけど、態度で示せる禁則事項って。

 まあ、自称神様も元々は封印されてた訳じゃないんだし、出てきていきなり世界を滅ぼしたりもしないだろう。しないよね?

「それじゃあ、朝食が終わったら早速、僕はダンジョンに向かいます。
 夜までには10階層に着くと思いますので、着いたら皆さんを呼び寄せますね。
 シーラ様はこの7つに魔力を登録して下さい。こっちの7つは僕が魔力を登録します。
 みなさんは両腕に腕輪を付けて待っていて下さい」

 こうして、準備を終えた俺はダンジョンに向かったのだった。もう少し。もう少しでポチに会えそうだ!
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