NPCのストーカーの件について

草薙翼

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白騎士ブライド

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「クロー、怖くないよー…」

「シャー!!」

俺からしたら物凄く怖い!威嚇して近付かないようにする。
ブライドは超猫好きキャラとして有名だった。
だから猫アイテムをあげるととても喜び、猫耳なんてした日には男女関係なく口説いてくる(しかし男は結婚出来ないから「女の子だと思った」というセリフが最後に付く…まぁ勘違いだ、その先は勿論ない)

俺もゲーム内で猫耳ローブしててよく口説かれたな…脳内でレイチェルちゃんに変換してスルーしてたけど…それにしても似てない兄妹。

今の俺は猫だ、ブライドに飼われたら何されるか分からない!
人間だって訴えても猫語しか喋れないから無理だし…
本物の猫だと性別関係なさそうでさらに怖い。


ブライドが猫じゃらしを持ってフリフリと動かしている。

ふっ…本物の猫じゃないんだ…そんなので俺が釣られるわけ…うずうず

俺の本能は理性には敵わなかった。

「にゃあ!」

「おかえりー」

猫という生き物は本能に逆らえない悲しいものだ。
猫じゃらし一本で簡単に釣られるなんて…ブライドがチョロいとか言えなくなったな。

抱きかかえられ、ふかふかの毛布のカゴの上に戻された。

猫の表情はわかりにくいが、俺は今無表情だった。

「ちょっと待ってね、首輪付けたらごはんにしようね」

ごはん…さすがにキャットフードは抵抗あるぞ!?
俺が怯えないように素早く首輪を付けられた…早っ!

手慣れているな、さすが王都一猫好き。

さっきから視線が痛いと思ったら、白猫がずっと俺を睨んでる。
…飼い主奪うつもりないんで、末長く幸せになって下さい。

俺はずっと猫でいるつもりはない。

ブライドは俺の食事を用意しようと部屋を出ようとドアを開けたところで俺は頭で考えるより足が勝手に動いた。

「あっ、クロッ!!」

このチャンスは絶対に逃してはならぬ、ささっと部屋を脱出した。
魔法が使えない事がこんなに不便に感じるなんてな。
魔法があったら飛んですぐに城から離れられるのに…

とりあえずブライドが見失うまで物陰に隠れた。
ブライドは部屋を飛び出し俺を探そうと周りを見ながら反対方向に向かった。
ブライドが見えなくなりすぐに物陰から出て走る。

早く森に帰って師匠に謝って戻してもらおう!
猫語しか話せないけど、きっと師匠なら俺だって分かるはず!

俺達の絆はそんな簡単なものとは違うんだ!…………分かるよね?

あの師匠の事だからなんか急に不安になってきた。

猫の足で何時間掛かるか分からないが、諦めないからな!
だってこんな姿じゃレイチェルちゃんに会いに行っても俺だって分かってくれない。

…いや、猫の姿なら可愛がってくれるかもしれない。
兄のブライドが猫好きだからレイチェルちゃんも猫好きの可能性が…

ちょっと揺らいだがブライドの声がして条件反射で逃げる。

ちょっと休憩しつつ赤いカーペットの廊下を走り回る。
そして誰かにぶつかってコロコロと転がりながら動きを止めた。

猫だからいつもよりぶつかると痛くて、すぐに体勢を整えた。

「黒猫みっけ!」

なんか嬉しそうな声がして嫌な予感がしつつもぶつかった人物を見つめた。

その人物はモブという名札を付けたみたいなモブ顔の男だった。

服からして騎士みたいだが、ゼロの服とは色が違う。
ゼロの服は黒い騎士服だが、この男は白い騎士服だ。

「団長が探してたよ、ご主人様のところに帰ろうか」

誰が誰のご主人様だふざけるな!絶対帰らないぞ!
そう思っても、抱き上げられてしまってはどうしようもない。

じたばたと全力で暴れてモブの腕から抜け出す。

さぁ走るぞ!と意気込んでいたが、俺が着地した場所に地面はなかった。

そのまま穴に落ちるような変な感じがした…あれ?なんで?

底のなくなった暗い暗い場所に囚われていく。






※視点なし

さっき廊下を歩いていた騎士達に片っ端から黒猫を探すように言われた。
ブライドの猫溺愛は白の騎士団の奴らなら皆知ってる事実で断る騎士はいなかった。
…ブライドが騎士団長だからというのもあるが、白の騎士団はブライドの美しい美貌に心酔している団員がほとんどで皆いい顔したくて血まなこになり探していた。

そしてモブが黒猫を見つけて、嬉しそうな顔をする。
特別は望まない、ただ団長の笑顔が見たいだけなんだ!
そんな健気な思いで黒猫を運ぼうと思った?

しかし黒猫は何処かに行ってしまった、あれ?走るのが早くても後ろ姿は見えるのに…
這いつくばり隠れてないか見ると、視界に足が見えてゆっくりと顔を上げる。

「邪魔だ、退け」

「げっ、ゼロ」

白の騎士団の皆が最も見たくない顔であるゼロが不機嫌な顔を隠しもせず立っていた。
その後ろには顔に包帯を巻いたミイラ男…アルベールがいた。
モブは渋々起き上がりゼロを睨むが、眼力で人を殺せそうなほど睨み返されてすぐに目を逸らした。

「な、何の用だよ…黒の騎士団長が」

「お前耳塞がってんのか?邪魔だ、退けって言ったんだ」

ガッと廊下の壁を蹴り、ヒビが入ったのを見て顔が青白くなった。
相当今日のゼロは機嫌が悪い、こんな時は触らぬ神に祟りなしだ。
すすっと大人しく道を開けると廊下を歩いていった。

「おいゼロ、恋人が行方不明だからってずっとすれ違う奴ら全員に八つ当たりしても恋人が見つかるわけじゃねぇんだから」

「……それはもういい」

「?」
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