NPCのストーカーの件について

草薙翼

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全力逃亡

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※ツカサ視点

なんだこれ…真っ暗闇で何も見えない、でも暖かい。
包み込むような全身を覆う安心感に脱力する。

感じた事があるような…デジャブのような気がする…これは…

うとうとと

だんだんと視界が明るくなり眩しさで細目になりながら目の前を見つめる。
やけに顔が整い過ぎている男が俺を見つめて微笑んでいた。

「…おはよう、眠り姫」

は?何?なんで俺の目の前にコイツが居るの?
しかも眠り姫…ってなんだ…俺は姫じゃないぞ。
……いや、そもそも女でもないから可笑しいだろ。

まぁ、可笑しな言葉は今に始まったものじゃないからほっとくか。

そんな事より猫になったのは夢だったのか!?
なんで無防備に敵の目の前で寝てたか分からないが良かった良かった。

「にゃふっ」

あれは全て悪夢だったと安心して自分の手足を見る。

なんか物凄く毛深くて丸くて……もふっ、もふふっ

明らかに肉球が付いている、戻ってねぇじゃねーか!!
一人で心の声にツッコミ、毛むくじゃらの身体を眺める。
…じゃあ全部現実か、でもなんでゼロが目の前にいるんだ?ブライドと不仲だから引き渡される事はないだろうが…

まさか、実はゼロも猫好きという裏設定があるのか!?

逃げようとベッドから降りようとするが、すぐに捕まり抱きかかえられた。
…うっ、猫は動きが早い時もあるが不意打ちは不便…

「それにしても、なんかツカサ小さいね」

「にゃ!?(は!?)」

なんだ…と?ゼロ、俺だって気付いてるのか?
しかも俺が猫になってる事には気付いてない?

なんでだよ!全然違うだろ!俺は人間だ!
…ゼロが俺をどんな風に見てるのかよく分かるな。

確かに猫耳ローブ着てたが猫要素はそれだけだろ。

ジタバタ暴れて、最終的に暴れすぎて疲れてぐったりする。

「…なんだ、これ」

ゼロの声が低くなる…あ、これはイライラしてる合図だ。
さっきまで俺の顎をこしょこしょしていたが、首に触れてきた。

まさか、首絞める気なんじゃ…とガクブルと震えているとブチッとなにか引き千切る音がした。

え……今の不穏なの何の音?俺の首繋がってる?

ゼロの手には青いリボンの首輪がぶら下がっていた。
そういえばさっき感じていた少し窮屈な感じがしなくなっていた。

「誰に付けられたんだ?ツカサ」

「…にゃは~」

ゆっくりとゼロから目を逸らしてやり過ごす。
ゼロはそんな俺を見てうっすらと笑うがそれが余計に怖い!
その首輪は付けたくて付けたわけじゃないかはな!
俺に怒られてもどうする事も出来なかったんだって…

どう言っても猫語にしかならないから黙ると、ゼロが頭を撫でてきた。
う…ま、まぁ…今は猫だし、貞操の危機はないだろうから少しだけここに居てもいいかな?

本当はまたブライドに捕まったら怖いからあまり出たくない。
ゼロも怖いが知り合いってだけでかなり安心した。

「…ツカサ、もう逃げられないよ」

「にゃ?」

「一生此処で暮らすんだ…あ、その前に籍に入れた方が…」

頭がこれだけは理解する、逃げなければ…逃げなければ!!

助けてくれたからちょっと良い奴と思い始めていたが、やはりゼロは危ない奴だ!
明日には戻ってるだろうから明日逃げればいいやと呑気に考えてる場合じゃない。
今逃げないといつの間にか夫婦にさせられる!!

なんで俺なんだよ!お前ならどんなに美人でもよりどりみどりだろ!

たっ、助けてくれっ!!誰かぁっ!!

「影がツカサを見失ったから何処にいるかと探して、たまたまブライドに用があって来て良かった…なんで白の騎士団のフロアにいたの?」

それは俺が知りたいがまずは脱出を考えよう。

冷静に考えながら、チラッとゼロを見つめる。
呑気に猫に話しかけるゼロ…似てるからって俺だと確信しているのか?

…じゃあ猫の真似をすれば勘違いだと思ってくれるかもしれない!
勘の鋭い男に何処まで通用するか分からないがやらないよりはいいだろう。

俺は自分が覚えてるかぎりの猫を思い出してなるべく近付けようと努力した。

「に、にゃー」

あのブライドに媚び売ってた白猫ぐらいしか見本はなくて、ゼロに出来る限り甘えた声を出して、身体をスリスリと擦った。
自分でやって吐くほど気持ち悪いが、ゼロに解放してもらうためだ!…頑張るぞ。
レイチェルちゃんにしていると思えば簡単だ!

……ダメだ、なんかごつくて全然気分がノらない。

しかも普通の猫だと勘違いするどころか、顔を赤らめて…なんか鼻息荒い。

…え、ブライドみたいな猫に欲情する変態じゃないよね?

「ツカサ、やっと素直になったんだな…籍はまだだが…いいよ、子作りしよう」

突然優しく尻尾を触られて驚いて目を丸くする。
ゾワゾワとした、いやらしい手つきで尻尾を触るな!
猫にとっての尻尾は神経が集中する場所だからぷるぷると身体が震えてしまう。

とうとう身の危険がピークになり無我夢中で暴れるとゼロに唇を塞がれた。

流石に舌は入れられてないが…俺の、俺の…初めて…
俺の初めてはレイチェルちゃんにあげるつもりだったのに…

「うわぁぁん!!ゼロのバカァ!!」

「!?」

ポロポロと泣いていた俺の身体が突然発光した。
俺もよく分からず、ぐすんぐすんになっていたら急に視界が高くなった。
ゼロの驚いた顔を見下ろすような目線になり首を傾げた。

あれ?さっき猫語じゃなく人間の言葉喋れたような…

「…ツカサ?」

「ん?こ、これは…」

俺の目に映ったのはずっと見たかった俺の腕!
本物の人間の腕なのかどうか触って動かして確かめる。
うーん、すべすべで細くてなんか弱っちそうな腕は俺の腕だ!
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