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日が暮れた。
マンションに戻ると、部屋は真っ暗だ。
カグヤは不貞腐れてベッドに寝てしまったのか、と思い、とりあえずリビングの灯りを点けた。
ソファーで膝を抱えて、羽で身体を覆い蹲っているカグヤが居た。
近付くと、両腕に引っ掻いた傷があった。
千皇は横に腰を降ろした。
「……抱いてはねぇから安心しろ」
「……」
カグヤは無言で千皇の腕を掴んだ。
爪が食込みそうなくらい、強く。
カグヤの手を掴み返すと、色白だったカグヤの肌が黒ずんで見えた。
千皇はカグヤの手から腕、肩、首へと順に目で追った。
肌の色が暗い。
「……お前」
「全部……、真っ黒だ……」
ボソッとカグヤが呟いた。
「頭ん中、真っ黒……。考えたくなくても……、モヤモヤが離れない。……嫌だ、……お前が、……行っちまうのが」
更にカグヤは身体をちぢこませた。
我慢させた事がここまでさせたのか、カグヤの気持ちがこんな風に身体に反映されたのか。
淫魔の上、魔界の媚薬を掛けられたのだ、簡単に抜かせるだけではどうにもならない事くらいは予想は出来ていた筈だった。
「どうしたら良い?……どうしたらモヤモヤなくなるんだよ」
カグヤの言うモヤモヤが限界に達したらどうなるのだろうか。
少しだけ興味が沸いたが、これ以上はいくらなんでも可哀想だ。
基本的にここから出れないが、我慢はずっとして来た。
本当は挿れて欲しいのも、一人でするか前戯だけで我慢している。
しかし、もし今抱いたとして、カグヤは満足するだろうか。
余計にモヤモヤするんじゃないだろうか。
ヤキモチを妬くくらいだ、中途半端だと思われるだろう。
かと言って、仮に説明しても一方的な押し付けになり兼ねない。
それに、まだ千皇自身の事は終わった訳でも無い。
今はカグヤの身体が先か、心が先か……。
「……お前のモヤモヤが、俺のせいなら……、これ以上深く考えるな」
「お前のせいかも分かんねぇよ……。このままモヤモヤに任せた方が、……楽になれるかもな」
大きな溜息は少し甘い吐息にも見えた。
「……どっちを選んでもモヤモヤが残る」
千皇は下を向くと、そう呟いた。
「お前は、……今どうしたい?」
千皇の質問に、ピクっとカグヤは肩を揺らした。
「今の状態じゃ、……何をしてもモヤモヤは無くならない」
「それじゃ、意味ねぇじゃん……」
「今のお前がどうか説明しても、俺か誰かに抱かれても。……弟にしろ楼依にしろ、翠にしろ……、自分の状況を理解しねぇと……」
「……お前は、分かってんのかよ。俺の事分かってて、……一人にしたのかよ……。……ひでぇ奴だな、やっぱ……」
カグヤは力無く小さく笑うと、身体が更に黒ずんだ。
千皇は自分の前髪を掴むと、ガシガシとする。
「ひでぇっつー自覚はあんだよ、これでも」
溜息混じりにそう言うと、カグヤの腰を引き寄せた。
「だから、……何も考えねぇ様にしてやる」
千皇は強引にカグヤを抱き上げた。
カグヤは驚いて、思わず千皇に抱き着く。
怒っているのか分からなくて怖くなる。
足が床に着いて居ないのが、余計に怖い。
モヤモヤに加えて、不安と恐怖が入り交じる。
千皇を掴んだ手は小さく震え、ぎゅっと目を閉じた。
千皇が立ち止まったのが分かると、ポイッと身体が投げ落とされ、ベッドだろうか上下にバウンドした。
更に軋む音がする。
怖くて目を開けられない。
腕で目を覆った。
「おい、……腕どけろ」
カグヤの上から降る言葉に、頑なに腕を顔に押し付けた。
千皇は溜息を吐いた。
「……っ!?」
千皇が指先でカグヤの脇腹をなぞると、腰を軽く捩った。
その時、腕を捕まれ顔から引き剥がされた。
見下ろしたカグヤは何かを堪えている様な、今にも泣き出しそうな表情だ。
何だかいたたまれない気もした。
今度はカグヤの腰を掴むとうつ伏せにさせる。
何時もの抜くだけの行為だと思うと、気が楽になりそうでならなかった。
他の男を相手をした直後だ。
気にならない訳にも行かない。
枕をぎゅっと抱き締めた。
スルッとカグヤの背筋に千皇の指先が這った。
ビクッと腰が揺れる。
項に口付けを落とされ、布団の隙間からカグヤの胸元に手が伸びる。
いつも背後からイかせるだけで、項に口付けなんかされた事がない。
驚きながらも、項に、肩に、背中に落とされる唇の感触に戸惑う。
タンクトップの上から鎖骨や胸元を撫でる仕草も、千皇からされた事がない。
乳首周辺を撫でる様な、揉む様な行為も今まで無かった。
千皇に凭れかかり、背後から摘まれたりする事はあっても、こんなに緩くされる事は初めてだ。
「ぅう……、い、いつもと、……違う」
思わず声が漏れる。
「当たり前だ」
サラッと背後からそう聞こえた。
「何か……、イヤ……」
「……何が?」
千皇の手が止まる。
「いつも……、こんなじゃねぇじゃん。……それとも、……本来は、いつもこうなのかよ……」
カグヤの震えた声が、顔を押し付けた枕でくぐもっている。
「他の奴らと同じにされてぇのか?」
もう片方の千皇の手が、カグヤのアナルを下着越しから押し付けた。
シッポがピンと上に向かって伸びた。
「ここ、適当に弄って、ただ突っ込むだけ」
グリグリと入口を押されるのは、ちょっと痛い。
逃げる様に、カグヤはベッドに腰を押し付けた。
「それでもお前は気持ち良くなるんだろうけど」
布越しに指が入って来る。
布に遮られた千皇の指先は、力任せに無理矢理ねじ込もうとする。
「……ゃ、だ、ぁ……」
下半身に力が入る。
シッポも上に伸びて、プルプルと震えている。
「同じは、ィヤだ……」
「だったら余計な事は考えるな」
カグヤのアナルに指先を埋めていた千皇の手が離れる。
強ばって居たシッポも、糸が切れた様にカグヤの背中に落ちた。
本当は上から順に攻めたいのだが、仕方ない。
千皇は一旦カグヤから手を離した。
ベッドボードに置いてあるローションのボトルを取ると、うつ伏せのまま腰を上げさせると、勢い良く下着をずり下ろした。
冷たい空気が尻に当たると、左右の肉がキュッと寄せあった。
片方の尻たぶを掴むと、拡げさせカグヤのアナルに垂れ流した。
冷たくて、入口が窄まる。
ローションを横に置くと、割れ目に指を這わせた。
上下にゆっくり撫でると、一本指を埋め込んだ。
毎晩、何度も中イキさせていたせいか中は柔らかい。
指一本くらいならすんなりと飲み込んで行った。
二本目も埋め込むと、拡げる様に上下左右に指を広がす。
なかなか良いところに触れてくれないのがもどかしい。
いつもなら、さっさとイかせる為か容赦なく前立腺ばかり攻めるのに。
「ん……」
もどかしい筈なのに、肉壁を指で擦られるのはそれでも気持ちが良い。
中をゆっくりと掻き回すと、指が3本入って来た。
でも、物足りない。
千皇もカグヤの良いところは分かっている筈だ。
もっと刺激が欲しい。
千皇のもう片方の手がカグヤのペニスを握った。
優しく上下に擦る。
いつもは強めに握るのに、今日は緩やかだ。
それでも、ぺニスは硬くなり始めた。
中もだいぶ解れた。
中の前立腺を軽く押すと、撫でる様に擦った。
「ぁんっ……」
焦らされたそこは甘い刺激に、ひくっと小さくすぼまった。
千皇は中から一旦指を抜いた。
「……ぁ、え?」
物足りない刺激に変な声を上げてしまうも、カグヤのそこは物干げにヒクヒクと軽く閉じて開いてを繰り返している。
カグヤの上半身を抱き上げると、自分の胸に背中を凭れさせた。
いつもの体勢だ。
脚を開かせると、今度は背後からアナルへ指を入れた。
「ぁ、あ……」
この体勢の方が千皇の指が当たりやすい。
ぐっと押しあげて、グリグリとそこを強く押し撫でる。
「あ、ゃっ、それっ!」
背中を千皇に押し付け、下半身に力が入る。
千皇のもう片方の手は、カグヤを背後から抱き寄せタンクトップの中へと侵入し、胸元を撫で回した。
無意識だろうか、シッポの先がユラユラとカグヤのぺニスを上下に撫で回した。
割れ目から溢れ出るカウパーを、シッポの先に絡め、竿を擦り上げる。
舌を這わされて居るような感覚で、気持ち良い。
千皇はカグヤの耳を甘く噛んだ。
「っ、ぁっ」
中と外、耳への刺激で、カグヤの中がキュッと締まりビクビクと痙攣を起こし、ぺニスの先端から白濁の体液が飛び出した。
それでも、カグヤの中の指は止まらず、押し上げては強めに擦った。
「あ、ゃっ、今、ィっ」
撫でられていたカグヤの乳首は硬くなり、それを摘まれると、腰を千皇に押し付け再び痙攣し内腿が震える。
ピクピクと腰を小さく上下に揺らしながら、カグヤはぐったりと千皇に凭れた。
カグヤの腰には、硬い物が当たる。
「……勃ってんじゃん」
息を整えながら、カグヤが呟いた。
「何か問題あるのか?」
何事もないかの様に千皇は聞いた。
「……ヤって来たんじゃねぇのかよ」
「抱いてねぇと言った。……それに」
千皇はカグヤから指を抜くと腰を掴み、少し前のめりの体勢をさせた。
「お前を毎晩抜かせて、何も無かった訳じゃねぇよ……」
カグヤの背後からそんな言葉と、カチャカチャと金属音が聞こえた。
そして、カグヤの中に千皇の硬くなったぺニスの先端が当たると、ゆっくり入って来た。
「ぅ、あぁっ」
熱を持った、肉質のある太い物がカグヤの中をこじ開けて行く。
「淫魔なせいか、我慢させてたせいか……、キツい……」
カグヤは両手をベッドに着いた。
キュッと締まっては、千皇を飲み込んで行く。
「ぁ、……な、んでっ」
今まで誘ってもしてくれなかった事に、頭が追い付かない。
「集中しとけ」
ググッと、中へ奥へと入り込む。
一旦、動きが止まった。
大きく吐く千皇の息が耳に掛ると、背中がゾクッとした。
頭はぐるぐるするし、心臓はバクバクする。
本当に千皇が入っているのかさえ、未だ信じられない。
「は、……入った、……?」
恐る恐る聞いてみる。
「あー……、まだ半分くらいじゃね?」
「……え?ぁ、ぅあぁっ!」
ズブズブと奥へ、千皇は一気に突き刺した。
カグヤの背中が仰け反ると同時に、身体中に電気が走ったかの様に全身が震えた。
「あ、ぁっ」
火花が散った様に、目の前がチカチカする。
中は押し出そうとしているのか、ギュッと強く締まった。
千皇は埋めたまま、動かなかった。
また、埋められたまま動かないのももどかしい。
弾も他の奴らも、挿れた直ぐに動いたのに。
「な、何で、動かねぇんだよ……」
ここまでされたなら、とカグヤはそう呟いた。
「馴染ませてんだよ。直ぐに動くよりお前の負担が減るだろ」
「……俺を誰だと思ってんだ」
早く中を掻き回して欲しくてウズウズする。
「お前こそ、誰に抱かれてると思ってんだ……」
呆れ気味な千皇の声が聞こえた。
「この中、……俺の形を覚えて貰わねぇと」
耳元で低い声が、頭の中に響く。
一気に恥ずかしくもなる。
後ろからで良かった、と思える程に。
しかし、カラダは期待しているのか、入口が小さく閉じたり開いたりを繰り返していた。
「そろそろ動くぞ」
そう聞こえると、カグヤはギュッと目を閉じた。
カグヤの腰を掴み直すと、前のめりから四つん這いにさせ、千皇はゆっくりと腰を引いた。
「ぁあ、……んっ!!」
ギリギリまで抜かれた千皇のぺニスは、再び一気にカグヤの中へと貫いた。
そしてまた、ゆっくりと腰を引く。
もっと激しく突いて欲しいが、ゆっくりと奥を突かれるのも気持ち良い。
「浅いのと……」
ゆるゆると腰を打ち付ける。
「奥……」
今度は勢いをつけて、奥を突き刺した。
「あっ、んっ!」
ビクッと大きく揺れた腰、その奥に千皇はぺニスの先端をグリグリと擦り付けた。
「どっちが良い?」
そんな事、聞かれた事がない。
ただ、無造作に奥に突かれるのが当たり前だった気がする。
それでも。
「ぁ、あ、……ぉ、奥っ」
擦り付けられる奥に、カグヤも千皇に腰を押し付けた。
ふーん、と一言鼻先で千皇はそう返すと、カグヤの手を取り、カグヤのぺニスの根元当たりを触らせた。
「ここ、俺が入ってんのは分かるな?」
確かに、カグヤの胎に千皇が居る。
そこを内側へカグヤの手を押し込んだ。
そして、千皇は腰を引くと奥へと腰を動かし始めた。
「ぅあっ、ぁあ、これっ」
さっきより腰の動きが早い。
外側から押されて圧迫感があるも、狭い場所を無理矢理こじ開けられ、竿で前立腺を擦られるのは、初めての感覚だ。
胎の中で、手から伝わる千皇のぺニスが動く感触も、押し付けられる感触も気持ちイィ。
ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てながら、肉壁を擦り奥へと当てる。
中は畝っては千皇のぺニスを吸い込んで行き、カグヤのぺニスからは透明な体液が滴り落ちシーツをぐっしょりと濡らして居た。
「ぁ、あっ、ィあっ、ィクっ」
シーツをギュッと握り締めると、腰を突き上げ胎内が震えた。
千皇はぺニスを咥えたままのカグヤに折り重なる様に、身体を密着させる。
カグヤの肩を掴むと、そのまま腰を千皇に埋め込む様に引き寄せた。
「ぅあっ……、も、むっ、りぃ」
更に奥へ押し込まれ、両方の羽がピンと真っ直ぐに広がった。
「ぁ、あっ 、苦っ」
息が出来ないくらい圧迫されて苦しい。
魔王の大きさや長さでさえ、ここまでは挿された事は、多分ない。
そう言えば、媚薬のような香を炊いて居たと言っていた。
その効果で快楽に酔い知れていた時なら分からないが。
「ぅっ、と、止まっ!あぁっ!」
カグヤの胎内で、何かをぶち破る音が聞こえた気がした。
カグヤは背中を仰け反らせるも、千皇の力が強くて動かない。
突き当たりをぐっと押し込むと、千皇はふーっ、と一息着いた。
首筋に当たる息が熱く、カグヤの体温が一気に上がった。
「はぁっ」
カグヤは口を大きく開け、一気に酸素を取り入れた。
「さすがに俺もキツい……」
腰を密着させながら、千皇はポツリと呟いた。
そして、もう一息吐くと少しだけゆっくりと腰を引いた。
そのゆっくりが、怖くて身体が震え出した時、また奥の突き当たりにぶつかった。
「はっ……、ぁ」
千皇の腰の動きが速く中を突き上げる。
「ゃ、ヤダっ!直ぐっ、ィっ!あぁっ!!」
ビクビクと痙攣が止まらない。
カグヤの中の肉壁は、千皇を強く吸い付いては締め付ける。
奥を突かれる度、快楽の波は止まらずカグヤの頭を真っ白に染めた。
「ソコっ、ャだ……、ぁっ」
気持ち良くて怖い。
「そうか?……吸い付き、ハンパねぇんだけど」
腰を打ち付けながら、千皇が言った。
「ィク、のっ、止まらなっ」
気持ち良過ぎて、頭が回らない。
「コレ、……俺もヤベェな」
カグヤの項に掛かる千皇の息も熱くて、速い。
息だけではなく、カグヤの肩を掴む手も、カグヤの尻に当たる肌も、触れる箇所に千皇の体温が熱く感じる。
少しは千皇も気持ち良く感じてくれているのだろうか、何て考える余裕は無いくらい、カグヤは身を任せた。
「……っ、出すぞ」
小さく千皇が呟いた。
最奥に突き上げると、カグヤは声にならない声を上げて中を締め上げると、ビクビクと痙攣をする中に、千皇は精液を注いだ。
熱の籠った精液を搾り取る様に締め付けた後、カグヤの全身から力が抜け、尻を突き上げたままベッドに上半身を沈めた。
乱れた息を小さく吐きながら、カグヤは目を閉じていた。
黒ずんで居た肌の色も、すっと元の色白に戻っている。
千皇はゆっくりとぺニスを抜くと、汗ばんだカグヤの前髪を掻き上げる。
気を失ったカグヤの顔をしばらく眺めると、そっと頭を撫でた。
マンションに戻ると、部屋は真っ暗だ。
カグヤは不貞腐れてベッドに寝てしまったのか、と思い、とりあえずリビングの灯りを点けた。
ソファーで膝を抱えて、羽で身体を覆い蹲っているカグヤが居た。
近付くと、両腕に引っ掻いた傷があった。
千皇は横に腰を降ろした。
「……抱いてはねぇから安心しろ」
「……」
カグヤは無言で千皇の腕を掴んだ。
爪が食込みそうなくらい、強く。
カグヤの手を掴み返すと、色白だったカグヤの肌が黒ずんで見えた。
千皇はカグヤの手から腕、肩、首へと順に目で追った。
肌の色が暗い。
「……お前」
「全部……、真っ黒だ……」
ボソッとカグヤが呟いた。
「頭ん中、真っ黒……。考えたくなくても……、モヤモヤが離れない。……嫌だ、……お前が、……行っちまうのが」
更にカグヤは身体をちぢこませた。
我慢させた事がここまでさせたのか、カグヤの気持ちがこんな風に身体に反映されたのか。
淫魔の上、魔界の媚薬を掛けられたのだ、簡単に抜かせるだけではどうにもならない事くらいは予想は出来ていた筈だった。
「どうしたら良い?……どうしたらモヤモヤなくなるんだよ」
カグヤの言うモヤモヤが限界に達したらどうなるのだろうか。
少しだけ興味が沸いたが、これ以上はいくらなんでも可哀想だ。
基本的にここから出れないが、我慢はずっとして来た。
本当は挿れて欲しいのも、一人でするか前戯だけで我慢している。
しかし、もし今抱いたとして、カグヤは満足するだろうか。
余計にモヤモヤするんじゃないだろうか。
ヤキモチを妬くくらいだ、中途半端だと思われるだろう。
かと言って、仮に説明しても一方的な押し付けになり兼ねない。
それに、まだ千皇自身の事は終わった訳でも無い。
今はカグヤの身体が先か、心が先か……。
「……お前のモヤモヤが、俺のせいなら……、これ以上深く考えるな」
「お前のせいかも分かんねぇよ……。このままモヤモヤに任せた方が、……楽になれるかもな」
大きな溜息は少し甘い吐息にも見えた。
「……どっちを選んでもモヤモヤが残る」
千皇は下を向くと、そう呟いた。
「お前は、……今どうしたい?」
千皇の質問に、ピクっとカグヤは肩を揺らした。
「今の状態じゃ、……何をしてもモヤモヤは無くならない」
「それじゃ、意味ねぇじゃん……」
「今のお前がどうか説明しても、俺か誰かに抱かれても。……弟にしろ楼依にしろ、翠にしろ……、自分の状況を理解しねぇと……」
「……お前は、分かってんのかよ。俺の事分かってて、……一人にしたのかよ……。……ひでぇ奴だな、やっぱ……」
カグヤは力無く小さく笑うと、身体が更に黒ずんだ。
千皇は自分の前髪を掴むと、ガシガシとする。
「ひでぇっつー自覚はあんだよ、これでも」
溜息混じりにそう言うと、カグヤの腰を引き寄せた。
「だから、……何も考えねぇ様にしてやる」
千皇は強引にカグヤを抱き上げた。
カグヤは驚いて、思わず千皇に抱き着く。
怒っているのか分からなくて怖くなる。
足が床に着いて居ないのが、余計に怖い。
モヤモヤに加えて、不安と恐怖が入り交じる。
千皇を掴んだ手は小さく震え、ぎゅっと目を閉じた。
千皇が立ち止まったのが分かると、ポイッと身体が投げ落とされ、ベッドだろうか上下にバウンドした。
更に軋む音がする。
怖くて目を開けられない。
腕で目を覆った。
「おい、……腕どけろ」
カグヤの上から降る言葉に、頑なに腕を顔に押し付けた。
千皇は溜息を吐いた。
「……っ!?」
千皇が指先でカグヤの脇腹をなぞると、腰を軽く捩った。
その時、腕を捕まれ顔から引き剥がされた。
見下ろしたカグヤは何かを堪えている様な、今にも泣き出しそうな表情だ。
何だかいたたまれない気もした。
今度はカグヤの腰を掴むとうつ伏せにさせる。
何時もの抜くだけの行為だと思うと、気が楽になりそうでならなかった。
他の男を相手をした直後だ。
気にならない訳にも行かない。
枕をぎゅっと抱き締めた。
スルッとカグヤの背筋に千皇の指先が這った。
ビクッと腰が揺れる。
項に口付けを落とされ、布団の隙間からカグヤの胸元に手が伸びる。
いつも背後からイかせるだけで、項に口付けなんかされた事がない。
驚きながらも、項に、肩に、背中に落とされる唇の感触に戸惑う。
タンクトップの上から鎖骨や胸元を撫でる仕草も、千皇からされた事がない。
乳首周辺を撫でる様な、揉む様な行為も今まで無かった。
千皇に凭れかかり、背後から摘まれたりする事はあっても、こんなに緩くされる事は初めてだ。
「ぅう……、い、いつもと、……違う」
思わず声が漏れる。
「当たり前だ」
サラッと背後からそう聞こえた。
「何か……、イヤ……」
「……何が?」
千皇の手が止まる。
「いつも……、こんなじゃねぇじゃん。……それとも、……本来は、いつもこうなのかよ……」
カグヤの震えた声が、顔を押し付けた枕でくぐもっている。
「他の奴らと同じにされてぇのか?」
もう片方の千皇の手が、カグヤのアナルを下着越しから押し付けた。
シッポがピンと上に向かって伸びた。
「ここ、適当に弄って、ただ突っ込むだけ」
グリグリと入口を押されるのは、ちょっと痛い。
逃げる様に、カグヤはベッドに腰を押し付けた。
「それでもお前は気持ち良くなるんだろうけど」
布越しに指が入って来る。
布に遮られた千皇の指先は、力任せに無理矢理ねじ込もうとする。
「……ゃ、だ、ぁ……」
下半身に力が入る。
シッポも上に伸びて、プルプルと震えている。
「同じは、ィヤだ……」
「だったら余計な事は考えるな」
カグヤのアナルに指先を埋めていた千皇の手が離れる。
強ばって居たシッポも、糸が切れた様にカグヤの背中に落ちた。
本当は上から順に攻めたいのだが、仕方ない。
千皇は一旦カグヤから手を離した。
ベッドボードに置いてあるローションのボトルを取ると、うつ伏せのまま腰を上げさせると、勢い良く下着をずり下ろした。
冷たい空気が尻に当たると、左右の肉がキュッと寄せあった。
片方の尻たぶを掴むと、拡げさせカグヤのアナルに垂れ流した。
冷たくて、入口が窄まる。
ローションを横に置くと、割れ目に指を這わせた。
上下にゆっくり撫でると、一本指を埋め込んだ。
毎晩、何度も中イキさせていたせいか中は柔らかい。
指一本くらいならすんなりと飲み込んで行った。
二本目も埋め込むと、拡げる様に上下左右に指を広がす。
なかなか良いところに触れてくれないのがもどかしい。
いつもなら、さっさとイかせる為か容赦なく前立腺ばかり攻めるのに。
「ん……」
もどかしい筈なのに、肉壁を指で擦られるのはそれでも気持ちが良い。
中をゆっくりと掻き回すと、指が3本入って来た。
でも、物足りない。
千皇もカグヤの良いところは分かっている筈だ。
もっと刺激が欲しい。
千皇のもう片方の手がカグヤのペニスを握った。
優しく上下に擦る。
いつもは強めに握るのに、今日は緩やかだ。
それでも、ぺニスは硬くなり始めた。
中もだいぶ解れた。
中の前立腺を軽く押すと、撫でる様に擦った。
「ぁんっ……」
焦らされたそこは甘い刺激に、ひくっと小さくすぼまった。
千皇は中から一旦指を抜いた。
「……ぁ、え?」
物足りない刺激に変な声を上げてしまうも、カグヤのそこは物干げにヒクヒクと軽く閉じて開いてを繰り返している。
カグヤの上半身を抱き上げると、自分の胸に背中を凭れさせた。
いつもの体勢だ。
脚を開かせると、今度は背後からアナルへ指を入れた。
「ぁ、あ……」
この体勢の方が千皇の指が当たりやすい。
ぐっと押しあげて、グリグリとそこを強く押し撫でる。
「あ、ゃっ、それっ!」
背中を千皇に押し付け、下半身に力が入る。
千皇のもう片方の手は、カグヤを背後から抱き寄せタンクトップの中へと侵入し、胸元を撫で回した。
無意識だろうか、シッポの先がユラユラとカグヤのぺニスを上下に撫で回した。
割れ目から溢れ出るカウパーを、シッポの先に絡め、竿を擦り上げる。
舌を這わされて居るような感覚で、気持ち良い。
千皇はカグヤの耳を甘く噛んだ。
「っ、ぁっ」
中と外、耳への刺激で、カグヤの中がキュッと締まりビクビクと痙攣を起こし、ぺニスの先端から白濁の体液が飛び出した。
それでも、カグヤの中の指は止まらず、押し上げては強めに擦った。
「あ、ゃっ、今、ィっ」
撫でられていたカグヤの乳首は硬くなり、それを摘まれると、腰を千皇に押し付け再び痙攣し内腿が震える。
ピクピクと腰を小さく上下に揺らしながら、カグヤはぐったりと千皇に凭れた。
カグヤの腰には、硬い物が当たる。
「……勃ってんじゃん」
息を整えながら、カグヤが呟いた。
「何か問題あるのか?」
何事もないかの様に千皇は聞いた。
「……ヤって来たんじゃねぇのかよ」
「抱いてねぇと言った。……それに」
千皇はカグヤから指を抜くと腰を掴み、少し前のめりの体勢をさせた。
「お前を毎晩抜かせて、何も無かった訳じゃねぇよ……」
カグヤの背後からそんな言葉と、カチャカチャと金属音が聞こえた。
そして、カグヤの中に千皇の硬くなったぺニスの先端が当たると、ゆっくり入って来た。
「ぅ、あぁっ」
熱を持った、肉質のある太い物がカグヤの中をこじ開けて行く。
「淫魔なせいか、我慢させてたせいか……、キツい……」
カグヤは両手をベッドに着いた。
キュッと締まっては、千皇を飲み込んで行く。
「ぁ、……な、んでっ」
今まで誘ってもしてくれなかった事に、頭が追い付かない。
「集中しとけ」
ググッと、中へ奥へと入り込む。
一旦、動きが止まった。
大きく吐く千皇の息が耳に掛ると、背中がゾクッとした。
頭はぐるぐるするし、心臓はバクバクする。
本当に千皇が入っているのかさえ、未だ信じられない。
「は、……入った、……?」
恐る恐る聞いてみる。
「あー……、まだ半分くらいじゃね?」
「……え?ぁ、ぅあぁっ!」
ズブズブと奥へ、千皇は一気に突き刺した。
カグヤの背中が仰け反ると同時に、身体中に電気が走ったかの様に全身が震えた。
「あ、ぁっ」
火花が散った様に、目の前がチカチカする。
中は押し出そうとしているのか、ギュッと強く締まった。
千皇は埋めたまま、動かなかった。
また、埋められたまま動かないのももどかしい。
弾も他の奴らも、挿れた直ぐに動いたのに。
「な、何で、動かねぇんだよ……」
ここまでされたなら、とカグヤはそう呟いた。
「馴染ませてんだよ。直ぐに動くよりお前の負担が減るだろ」
「……俺を誰だと思ってんだ」
早く中を掻き回して欲しくてウズウズする。
「お前こそ、誰に抱かれてると思ってんだ……」
呆れ気味な千皇の声が聞こえた。
「この中、……俺の形を覚えて貰わねぇと」
耳元で低い声が、頭の中に響く。
一気に恥ずかしくもなる。
後ろからで良かった、と思える程に。
しかし、カラダは期待しているのか、入口が小さく閉じたり開いたりを繰り返していた。
「そろそろ動くぞ」
そう聞こえると、カグヤはギュッと目を閉じた。
カグヤの腰を掴み直すと、前のめりから四つん這いにさせ、千皇はゆっくりと腰を引いた。
「ぁあ、……んっ!!」
ギリギリまで抜かれた千皇のぺニスは、再び一気にカグヤの中へと貫いた。
そしてまた、ゆっくりと腰を引く。
もっと激しく突いて欲しいが、ゆっくりと奥を突かれるのも気持ち良い。
「浅いのと……」
ゆるゆると腰を打ち付ける。
「奥……」
今度は勢いをつけて、奥を突き刺した。
「あっ、んっ!」
ビクッと大きく揺れた腰、その奥に千皇はぺニスの先端をグリグリと擦り付けた。
「どっちが良い?」
そんな事、聞かれた事がない。
ただ、無造作に奥に突かれるのが当たり前だった気がする。
それでも。
「ぁ、あ、……ぉ、奥っ」
擦り付けられる奥に、カグヤも千皇に腰を押し付けた。
ふーん、と一言鼻先で千皇はそう返すと、カグヤの手を取り、カグヤのぺニスの根元当たりを触らせた。
「ここ、俺が入ってんのは分かるな?」
確かに、カグヤの胎に千皇が居る。
そこを内側へカグヤの手を押し込んだ。
そして、千皇は腰を引くと奥へと腰を動かし始めた。
「ぅあっ、ぁあ、これっ」
さっきより腰の動きが早い。
外側から押されて圧迫感があるも、狭い場所を無理矢理こじ開けられ、竿で前立腺を擦られるのは、初めての感覚だ。
胎の中で、手から伝わる千皇のぺニスが動く感触も、押し付けられる感触も気持ちイィ。
ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てながら、肉壁を擦り奥へと当てる。
中は畝っては千皇のぺニスを吸い込んで行き、カグヤのぺニスからは透明な体液が滴り落ちシーツをぐっしょりと濡らして居た。
「ぁ、あっ、ィあっ、ィクっ」
シーツをギュッと握り締めると、腰を突き上げ胎内が震えた。
千皇はぺニスを咥えたままのカグヤに折り重なる様に、身体を密着させる。
カグヤの肩を掴むと、そのまま腰を千皇に埋め込む様に引き寄せた。
「ぅあっ……、も、むっ、りぃ」
更に奥へ押し込まれ、両方の羽がピンと真っ直ぐに広がった。
「ぁ、あっ 、苦っ」
息が出来ないくらい圧迫されて苦しい。
魔王の大きさや長さでさえ、ここまでは挿された事は、多分ない。
そう言えば、媚薬のような香を炊いて居たと言っていた。
その効果で快楽に酔い知れていた時なら分からないが。
「ぅっ、と、止まっ!あぁっ!」
カグヤの胎内で、何かをぶち破る音が聞こえた気がした。
カグヤは背中を仰け反らせるも、千皇の力が強くて動かない。
突き当たりをぐっと押し込むと、千皇はふーっ、と一息着いた。
首筋に当たる息が熱く、カグヤの体温が一気に上がった。
「はぁっ」
カグヤは口を大きく開け、一気に酸素を取り入れた。
「さすがに俺もキツい……」
腰を密着させながら、千皇はポツリと呟いた。
そして、もう一息吐くと少しだけゆっくりと腰を引いた。
そのゆっくりが、怖くて身体が震え出した時、また奥の突き当たりにぶつかった。
「はっ……、ぁ」
千皇の腰の動きが速く中を突き上げる。
「ゃ、ヤダっ!直ぐっ、ィっ!あぁっ!!」
ビクビクと痙攣が止まらない。
カグヤの中の肉壁は、千皇を強く吸い付いては締め付ける。
奥を突かれる度、快楽の波は止まらずカグヤの頭を真っ白に染めた。
「ソコっ、ャだ……、ぁっ」
気持ち良くて怖い。
「そうか?……吸い付き、ハンパねぇんだけど」
腰を打ち付けながら、千皇が言った。
「ィク、のっ、止まらなっ」
気持ち良過ぎて、頭が回らない。
「コレ、……俺もヤベェな」
カグヤの項に掛かる千皇の息も熱くて、速い。
息だけではなく、カグヤの肩を掴む手も、カグヤの尻に当たる肌も、触れる箇所に千皇の体温が熱く感じる。
少しは千皇も気持ち良く感じてくれているのだろうか、何て考える余裕は無いくらい、カグヤは身を任せた。
「……っ、出すぞ」
小さく千皇が呟いた。
最奥に突き上げると、カグヤは声にならない声を上げて中を締め上げると、ビクビクと痙攣をする中に、千皇は精液を注いだ。
熱の籠った精液を搾り取る様に締め付けた後、カグヤの全身から力が抜け、尻を突き上げたままベッドに上半身を沈めた。
乱れた息を小さく吐きながら、カグヤは目を閉じていた。
黒ずんで居た肌の色も、すっと元の色白に戻っている。
千皇はゆっくりとぺニスを抜くと、汗ばんだカグヤの前髪を掻き上げる。
気を失ったカグヤの顔をしばらく眺めると、そっと頭を撫でた。
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