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知識とハジメテと
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貰った紙袋に何度か目を向けては、溜息を吐きつつ、ヨゾラ宅に戻った。
いざそう言うモノを手にすると、怖気付いてしまう。
そもそもローションなんて使った事もなければ、アナルセックスなんてした事も無い。
男子校だ、話に聞かない訳では無いが、まさかの自分が当事者になるとも思わなかった。
玄関に入り、靴を脱いで上がる。
ヨゾラの部屋に入ると、ヨゾラは部屋にいなかった。
ベッドの上の布団はめくれたままで、多分トイレにでも行っているのだろう。
そう言えば、ゴローに名前を言っていなかったが、千皇や楼依の知り合いだ、どうせまたどこかで会うだろう。
真幸は、部屋の真ん中に座った。
チラッと壁を見ると、エフェクターやアンプが置いてある。
(……ギター取りに行かんとな)
思えばずっと弾いていない。
ルシカに拾われてから、何かとバタバタしていた為か、触る時間がなかった。
そう思うとなんだが寂しい。
ヨゾラに出逢う前までは、友達を作れなかった寂しさをギターで紛らわせていた部分がある。
今でこそ、憧れに近いギタリストの一人や二人は居るものの、始めた当時はなんとなくだった。
でも今は、何となく寂しい気持ちがある。
落ち着いたら弾こうと思っても、落ち着く気配がない。
厄介な事に巻き込まれたものだが、不思議とそこまででは無い気がする。
まぁ、厄介事には変わりないが。
あれこれと考えている内に、部屋のドアが開いた。
振り返ると、風呂に入って居たのだろうか髪の毛が濡れたままのヨゾラが立っていた。
「起きたら居ねぇから……、戻ったのかと思った、唐島君のとこ……」
ポツリと呟くその声は、寂しげだ。
「……まぁ、荷物は置いたままやが、……戻るわけないやろ。ほら、ドライヤー持って来」
真幸はそう言った。
「……いぃ。今余計な事したら、……決心が鈍る」
ヨゾラは小さくそう返した。
ヨゾラも風呂でいろいろ考えたのだろう。
俯き加減の表情は明るくは無い。
「そぉかい……。ほなら俺も風呂借りるわ」
そう言いながら、真幸は立ち上がろうと床に手を着いた。
「そのままでいい」
「俺、バイトもしとったし。汗やら油の臭いやらヤバいねん」
「そんな事、気にしねぇし。……終わってから、また入るんだし……」
そう言っても一応のマナーはある。
でも真幸のその思いは、まだ腹を括れない迷いでもあるのも分かっている。
「一応の準備はして来たし、いろいろ考えた。……俺の気持ちが何なのか、確かめたいし」
好きな相手とする行為だと、ずっと言われて来た。
ヨゾラが身体を許すのは、真幸の事は少なくとも嫌いでは無い。
それでも、本当に真幸を友達としてでは無い『好き』なのかが、分からない。
「……お前が嫌なら、一時的に雌の身体になってもいいし。……変化の仕方、分かんねぇけど」
ヨゾラの方が心も身体も辛くなる。
考えて悩んだんだ、その思いを鈍らせたくはない。
真幸は紙袋を手に、ゆっくり立ち上がった。
「……ベッド、借りるで」
ベッドまで歩み寄ると、真幸は腰を下ろした。
おいで、と言わんばかりに自分の横を軽く叩くと、ヨゾラはおずおずとベッドに近付いた。
真幸の横には座らず、前に立つとぎゅっと真幸の頭を抱き締めた。
恥ずかしいのか、表情を見られたくないのか分からないが、真幸の頭を抱き締めたまま、ヨゾラは動かない。
「……苦しいねんけど」
真幸はポツリと呟いた。
本当に苦しい訳では無い。
「どうして良いか分からねぇし……」
ボソボソと話すヨゾラに、真幸は小さく息を吐いた。
ヨゾラの腰に腕を回すと引き寄せて、体を反転させベッドに押し倒した。
下から見上げるヨゾラと目が合うと、真幸は少し目を逸らした。
「……俺かて女との経験はあるけど、男は初めてやねん。……一応、いろいろ調べたけんど……」
「……お、おぅ……」
「どないな順番で、何が正しいか分からへん。……きっと、女みたいな扱いにしてまう」
「……うん」
「でも、大事にしたいとは思うてんねん。せやから、辛いんならちゃんと抵抗してくれ」
相変わらず、押し倒したくせに目を合わせない真幸に、ヨゾラは下から手をのばして、真幸の頬に手を当てた。
「俺、真幸の事は信じてるから。……これからする事は、俺の熱を下げる為の事だとしても。……淫魔になるきっかけになったとしても」
そうだ。
淫魔になるリスクだってある。
「淫魔になっても、……俺には真幸が居るから大丈夫だ、きっと」
「……記憶、消されるやんか」
「でも、傍には居てくれるんだろ?」
真幸の顔をこちらに向かせたヨゾラはにっと笑った。
「巻き込んだ責任を取らせる為や。最後までちゃーんと巻き込めや」
ヨゾラの笑顔に、照れを隠す様に真幸は溜息を吐いた。
そう言えば、ヨゾラはどこまで知っているのだろう。
そして、やはり最初はキスからだろうか。
淫魔の唾液は媚薬と言うくらいだ、口付けと言う行為があるのは知っているとは思う。
フェラチオは、常磐にしていたから出来るだろうし。
常磐にしていたと思うと、かなり腹も立つが。
さらに上手いと言っていた。
腹が立つ。
考えれば考える程、常磐のムカつく笑顔が浮かんで来た。
「……真幸?」
そう名前を呼ばれてハッとする。
「俺じゃやっぱ無理か?」
無理な訳は無い。
これからする行為は、老人や常磐でさえ突破出来なかった事だ。
「無理やない。ただ俺かて緊張はしよるねん」
「緊張……?」
「考えるんは止めやな。俺も初めてやし」
今までして来た事をやれば良い。
女と同じにはしたくないが、そうなる結果は仕方がない。
真幸はヨゾラを見下ろすと、ゆっくり顔を近づけた。
千皇や楼依の様に、上手く雰囲気を作れるか自信はないが、そっとヨゾラの口に口付けをした。
常磐の前でした時の様な軽い口付け。
唇に触れただけの口付けは、直ぐに離れた。
「お前、……キスの仕方は分かるんか?俺もそない経験はないんやけど」
「唾液飲ませるのは知ってるけど、やり方は知らねぇ。他のがヤッてるの見ただけだし」
見ただけ、と言うのも気になるが、常磐や老人とはした事も無かった様なので安心した。
それならこの間のはヨゾラにとってのファーストキスじゃないか?と思うと申し訳ない様な気持ちになって来た。
「俺達は俺達のやり方で良いんじゃね?じゃねぇと考え込んで先に進まねぇだろ……」
ヨゾラが少しムくれた。
「言うたやろが、男は初めてやて」
「俺も実践は初めてだ。さっき考えんのは止めるって言ってただろ」
確かにそう言ってしまった。
しかし、どうしてもいろいろ考えてしまう。
「突っ込んで動くだけだろ?」
そう言うヨゾラに、真幸は眉間に皺を寄せた。
そんな一方的は嫌だ。
「そない機械的なんやないんぞ」
真幸はヨゾラのパジャマのズボンに手を掛けると、下着と共にずり下ろした。
本当なら、上から順に攻めて行きたい。
が、ヨゾラの態度も思ったより軽いし、時間もない。
「アレやったら目ぇ瞑っとき」
そう真幸は言うと、ヨゾラの首筋に唇を寄せた。
ヨゾラの肩がピクっと縮こまる。
「俺も男のチンコを触る日が来るとは思わなかったんやけど」
と、言いながら真幸はヨゾラのまだ柔らかいペニスを優しく握った。
熱があるせいか、少し熱い気がする。
初めて他人に触られた感触に、ヨゾラはビクッと驚いた。
そして、慌てて真幸の手を取った。
「い、いいよ、ソコは……」
「そない言うても、いくらなんでも突っ込んで終わりにはしたかないねん。これでもいろいろ調べてみたんや」
ゆるゆると優しく揉みながら上下に擦ると、少しづつ硬くなって来た。
真幸は上半身を起こすと、ヨゾラのペニスを扱きながら脚を広げさせその間に身体を入れた。
他人に触られるのは、なんだか恥ずかしい。
老人に教えられたり触られるより恥ずかしくて、ムズムズする。
自分でさえあまり触ったりはしない。
「そろそろえぇかな」
そう呟いた真幸は、一旦ヨゾラから手を離した。
ヨゾラの身体を反転させうつ伏せにすると、背後から腰に手を回し四つん這いにさせた。
ヨゾラの穴が丸見えだ。
「指、何本入れとるん?」
「……二本」
「そぉかい」
真幸の声と共に、尻にトロッとした冷たい感触がした。
思わず腰が上がる。
「な、何だ?」
「ローションや。傷付けたくないからな」
ローション、初めて聞く言葉だ。
真幸の指が1本、その入口を撫でた。
思った以上に柔らかい。
ゆっくりと指を埋め込んで行く。
その中は、柔らかく熱を含んでいた。
埋め込む度に、小さくキュッと締め付ける。
柔らかいが、念の為に指を出し入れしながら弧を描き、中を探る様に動かした。
自分の指の動きとは違い、なんだが妙な気分になる。
ぐちゅぐちゅと聞こえる音も卑猥で、身体の熱が上がりそうだ。
二本目が埋め込まれ、抜き差しをしながら上下左右に指を広げた。
真幸は、もう片方の手で再びヨゾラのペニスを握った。
「そっちは、いぃって……」
ヨゾラがペニスを握る真幸の手をつかもうとした時だった。
ヨゾラの下半身に電流が流れた様な感覚に、ヨゾラのビクビクと腰が揺れた。
「ぅあっ!な、……何??」
「コレやな」
真幸は呟くと、もう一度ヨゾラの内壁を押すように擦った。
「ゃっ!……や、ゃめっ」
中が真幸の指を締め付け、腰が痙攣する。
「兄貴がセックスが気持ちえぇ言うんは、ここやねん」
グリグリと内側から前立腺に指を押し付けた。
そこを擦られる度に、腰がビクビクと揺れてしまう。
「ぁ、それ、っ……、変になる、から」
腰を高く上げ、枕に顔を埋める。
下半身の痙攣が止まらない。
指を広げ、三本目を埋めた。
「三本はちょいキツいな……」
真ん中の指で中を擦りながら、指を出し入れした。
「あ、やだって」
「でも吸い付くで。けど、そろそろ大丈夫やろか」
真幸の指がヨゾラから抜かれた。
抜いたその入口がヒクヒクと小刻みに動いている。
「ほんまは時間かけてゆっくりしたかったけど、すまんわ……」
息を整えるヨゾラの背後から、カチャカチャと金属音が聞こえた。
「……お前は、俺でも大丈夫なのかよ……」
腰を突き上げたままと言う無様な格好ではあるが、そう言うヨゾラの声は小さく不安げだ。
「今更やんか」
ヨゾラの入口に、真幸の先端が当たった。
「大丈夫やなかったらこない元気になるかい」
軽く先端を入口に擦ると、ヨゾラの尻が小さく波打つ。
先端だけでも、真幸がちゃんと勃って居るのが分かった。
「力抜いとき」
そう言うと、ゆっくり先っぽを飲み込ませた。
「ぅうっ……」
指よりも太いモノが、入口をこじ開ける。
出来るだけ、真幸にも負担が掛からない様にと、深く息を吐いては力を抜こうとしているのだが、異物感が半端ない。
「辛ないか?」
先端だけ埋めると、真幸は一旦動きを止めた。
「だ、いじょうぶ……、だけど、指と違う、から……」
「当たり前や。もうちょい挿れるで」
再び、ゆっくりと真幸はペニスを埋め込んだ。
「んっ、あっ」
枕を抱き抱える様に、ヨゾラは顔を埋める。
真幸の長さまでは分からないが、太さと硬さが下半身に伝わった。
中が広がって行く感覚と、奥へと吸い込む感覚が交互にヨゾラを襲った。
初めて挿れた真幸も、その狭さと熱に油断したら直ぐに達してしまいそうだ。
まだ奥へ挿いりそうだが、真幸は侵入を止めた。
「全部……、挿いったのか?」
動きを止めた真幸に、くぐもった声でヨゾラは聞いた。
「全部はまだ無理や。……これからがあるか、まだ分からへんけど……」
先は分からない。
淫魔になればヨゾラの記憶は消えるわけだし。
このまま記憶は消したと誤魔化す事も出来るのだが。
唐島はヨゾラが魔族って言うのは消えたんだ、わざわざヨゾラを消す必要は無い。
「……真幸、この体勢、ちょっと辛い……」
ふとヨゾラが言った。
「あ、あぁ……、すまん」
真幸は我に返ると、そう呟いた。
「……動くで?」
そう聞くと、ヨゾラは小さく頷いた。
ゆっくりと腰を引き、中に挿れる。
「痛ない?」
ゆるゆると腰を動かしながら、真幸はそう聞いた。
「や、やっぱ、……ちょっとだけ、痛い」
呼吸の端々で、ポツリポツリとヨゾラは答えた。
「で、でも……、途中で、止めんなよ……」
声が切ない。
今、ヨゾラはどんな顔をしているのだろうか。
気にはなるが、初めては後ろからが楽だと聞いた。
中も馴染んで来たのか、最初程の硬さは無くなって来た。
ヨゾラの抑えている声も、段々と甘くなって行く。
少し内側を擦った時だった。
「あっ!」
上擦った声を上げ、ヨゾラの下半身がぎゅっと真幸を締め付けた。
「そこっ、さっきの……、っ」
頭を枕に押し付け、両足を閉じ、突き上げた腰がぷるぷると震えている。
真幸はもう一度そこを先端で擦った。
「ぁ、やっ」
中がキュッと締め付け、更に熱を帯びた様に熱くなる。
何度も何度も、ヨゾラの内壁がうねった。
「なんも考えんでえぇねん」
少し早めに、真幸は腰を動かし始めた。
女の膣よりは狭く、柔らかくなったとは言ってもまだ硬いその中は、真幸を飲み込もうと、内壁が吸い付く。
前立腺を擦ると、余計に締め付けも強くなった。
「あんまり締め付けんと、俺がヤバくなる」
腰を動かしながら、真幸は言った。
「だ、だって、……ぅ、あ」
ヨゾラの頭が白くなる。
痛みはもうほとんど無くなった。
気持ち良いかと言えばまだ分からなくて、ただお腹が疼いてもっと刺激が欲しくなる気もする。
欲求ばかりが増して、どうして良いかが分からない。
無意識のうちに、自分のペニスへと手を伸ばした。
真幸の腰に合わせて、ペニスを擦った。
そして、中の締めつけも段々と強く、真幸の欲を誘った。
「俺、もうもたへん……」
ヨゾラの背後から真幸が切なげに呟いた。
「ぃ、い、からっ。出して……」
ヨゾラもくぐもった声を出した。
真幸もヨゾラのペニスを掴むと、腰の動きを早めた。
「悪い、出すで」
そう言うと、真幸は少しだけ奥に突っ込み、ヨゾラの中に欲を吐き出す。
腹の中に入れる事のない粘着質な体液が入って来たのが分かる。
「あ、熱いのがっ。お、俺も、……っ!」
同時にヨゾラもシーツの上に、大量の精液を垂れ流した。
そして、すっと身体が軽くなった気がすると、そのままベッドにへたりこんでしまった。
いざそう言うモノを手にすると、怖気付いてしまう。
そもそもローションなんて使った事もなければ、アナルセックスなんてした事も無い。
男子校だ、話に聞かない訳では無いが、まさかの自分が当事者になるとも思わなかった。
玄関に入り、靴を脱いで上がる。
ヨゾラの部屋に入ると、ヨゾラは部屋にいなかった。
ベッドの上の布団はめくれたままで、多分トイレにでも行っているのだろう。
そう言えば、ゴローに名前を言っていなかったが、千皇や楼依の知り合いだ、どうせまたどこかで会うだろう。
真幸は、部屋の真ん中に座った。
チラッと壁を見ると、エフェクターやアンプが置いてある。
(……ギター取りに行かんとな)
思えばずっと弾いていない。
ルシカに拾われてから、何かとバタバタしていた為か、触る時間がなかった。
そう思うとなんだが寂しい。
ヨゾラに出逢う前までは、友達を作れなかった寂しさをギターで紛らわせていた部分がある。
今でこそ、憧れに近いギタリストの一人や二人は居るものの、始めた当時はなんとなくだった。
でも今は、何となく寂しい気持ちがある。
落ち着いたら弾こうと思っても、落ち着く気配がない。
厄介な事に巻き込まれたものだが、不思議とそこまででは無い気がする。
まぁ、厄介事には変わりないが。
あれこれと考えている内に、部屋のドアが開いた。
振り返ると、風呂に入って居たのだろうか髪の毛が濡れたままのヨゾラが立っていた。
「起きたら居ねぇから……、戻ったのかと思った、唐島君のとこ……」
ポツリと呟くその声は、寂しげだ。
「……まぁ、荷物は置いたままやが、……戻るわけないやろ。ほら、ドライヤー持って来」
真幸はそう言った。
「……いぃ。今余計な事したら、……決心が鈍る」
ヨゾラは小さくそう返した。
ヨゾラも風呂でいろいろ考えたのだろう。
俯き加減の表情は明るくは無い。
「そぉかい……。ほなら俺も風呂借りるわ」
そう言いながら、真幸は立ち上がろうと床に手を着いた。
「そのままでいい」
「俺、バイトもしとったし。汗やら油の臭いやらヤバいねん」
「そんな事、気にしねぇし。……終わってから、また入るんだし……」
そう言っても一応のマナーはある。
でも真幸のその思いは、まだ腹を括れない迷いでもあるのも分かっている。
「一応の準備はして来たし、いろいろ考えた。……俺の気持ちが何なのか、確かめたいし」
好きな相手とする行為だと、ずっと言われて来た。
ヨゾラが身体を許すのは、真幸の事は少なくとも嫌いでは無い。
それでも、本当に真幸を友達としてでは無い『好き』なのかが、分からない。
「……お前が嫌なら、一時的に雌の身体になってもいいし。……変化の仕方、分かんねぇけど」
ヨゾラの方が心も身体も辛くなる。
考えて悩んだんだ、その思いを鈍らせたくはない。
真幸は紙袋を手に、ゆっくり立ち上がった。
「……ベッド、借りるで」
ベッドまで歩み寄ると、真幸は腰を下ろした。
おいで、と言わんばかりに自分の横を軽く叩くと、ヨゾラはおずおずとベッドに近付いた。
真幸の横には座らず、前に立つとぎゅっと真幸の頭を抱き締めた。
恥ずかしいのか、表情を見られたくないのか分からないが、真幸の頭を抱き締めたまま、ヨゾラは動かない。
「……苦しいねんけど」
真幸はポツリと呟いた。
本当に苦しい訳では無い。
「どうして良いか分からねぇし……」
ボソボソと話すヨゾラに、真幸は小さく息を吐いた。
ヨゾラの腰に腕を回すと引き寄せて、体を反転させベッドに押し倒した。
下から見上げるヨゾラと目が合うと、真幸は少し目を逸らした。
「……俺かて女との経験はあるけど、男は初めてやねん。……一応、いろいろ調べたけんど……」
「……お、おぅ……」
「どないな順番で、何が正しいか分からへん。……きっと、女みたいな扱いにしてまう」
「……うん」
「でも、大事にしたいとは思うてんねん。せやから、辛いんならちゃんと抵抗してくれ」
相変わらず、押し倒したくせに目を合わせない真幸に、ヨゾラは下から手をのばして、真幸の頬に手を当てた。
「俺、真幸の事は信じてるから。……これからする事は、俺の熱を下げる為の事だとしても。……淫魔になるきっかけになったとしても」
そうだ。
淫魔になるリスクだってある。
「淫魔になっても、……俺には真幸が居るから大丈夫だ、きっと」
「……記憶、消されるやんか」
「でも、傍には居てくれるんだろ?」
真幸の顔をこちらに向かせたヨゾラはにっと笑った。
「巻き込んだ責任を取らせる為や。最後までちゃーんと巻き込めや」
ヨゾラの笑顔に、照れを隠す様に真幸は溜息を吐いた。
そう言えば、ヨゾラはどこまで知っているのだろう。
そして、やはり最初はキスからだろうか。
淫魔の唾液は媚薬と言うくらいだ、口付けと言う行為があるのは知っているとは思う。
フェラチオは、常磐にしていたから出来るだろうし。
常磐にしていたと思うと、かなり腹も立つが。
さらに上手いと言っていた。
腹が立つ。
考えれば考える程、常磐のムカつく笑顔が浮かんで来た。
「……真幸?」
そう名前を呼ばれてハッとする。
「俺じゃやっぱ無理か?」
無理な訳は無い。
これからする行為は、老人や常磐でさえ突破出来なかった事だ。
「無理やない。ただ俺かて緊張はしよるねん」
「緊張……?」
「考えるんは止めやな。俺も初めてやし」
今までして来た事をやれば良い。
女と同じにはしたくないが、そうなる結果は仕方がない。
真幸はヨゾラを見下ろすと、ゆっくり顔を近づけた。
千皇や楼依の様に、上手く雰囲気を作れるか自信はないが、そっとヨゾラの口に口付けをした。
常磐の前でした時の様な軽い口付け。
唇に触れただけの口付けは、直ぐに離れた。
「お前、……キスの仕方は分かるんか?俺もそない経験はないんやけど」
「唾液飲ませるのは知ってるけど、やり方は知らねぇ。他のがヤッてるの見ただけだし」
見ただけ、と言うのも気になるが、常磐や老人とはした事も無かった様なので安心した。
それならこの間のはヨゾラにとってのファーストキスじゃないか?と思うと申し訳ない様な気持ちになって来た。
「俺達は俺達のやり方で良いんじゃね?じゃねぇと考え込んで先に進まねぇだろ……」
ヨゾラが少しムくれた。
「言うたやろが、男は初めてやて」
「俺も実践は初めてだ。さっき考えんのは止めるって言ってただろ」
確かにそう言ってしまった。
しかし、どうしてもいろいろ考えてしまう。
「突っ込んで動くだけだろ?」
そう言うヨゾラに、真幸は眉間に皺を寄せた。
そんな一方的は嫌だ。
「そない機械的なんやないんぞ」
真幸はヨゾラのパジャマのズボンに手を掛けると、下着と共にずり下ろした。
本当なら、上から順に攻めて行きたい。
が、ヨゾラの態度も思ったより軽いし、時間もない。
「アレやったら目ぇ瞑っとき」
そう真幸は言うと、ヨゾラの首筋に唇を寄せた。
ヨゾラの肩がピクっと縮こまる。
「俺も男のチンコを触る日が来るとは思わなかったんやけど」
と、言いながら真幸はヨゾラのまだ柔らかいペニスを優しく握った。
熱があるせいか、少し熱い気がする。
初めて他人に触られた感触に、ヨゾラはビクッと驚いた。
そして、慌てて真幸の手を取った。
「い、いいよ、ソコは……」
「そない言うても、いくらなんでも突っ込んで終わりにはしたかないねん。これでもいろいろ調べてみたんや」
ゆるゆると優しく揉みながら上下に擦ると、少しづつ硬くなって来た。
真幸は上半身を起こすと、ヨゾラのペニスを扱きながら脚を広げさせその間に身体を入れた。
他人に触られるのは、なんだか恥ずかしい。
老人に教えられたり触られるより恥ずかしくて、ムズムズする。
自分でさえあまり触ったりはしない。
「そろそろえぇかな」
そう呟いた真幸は、一旦ヨゾラから手を離した。
ヨゾラの身体を反転させうつ伏せにすると、背後から腰に手を回し四つん這いにさせた。
ヨゾラの穴が丸見えだ。
「指、何本入れとるん?」
「……二本」
「そぉかい」
真幸の声と共に、尻にトロッとした冷たい感触がした。
思わず腰が上がる。
「な、何だ?」
「ローションや。傷付けたくないからな」
ローション、初めて聞く言葉だ。
真幸の指が1本、その入口を撫でた。
思った以上に柔らかい。
ゆっくりと指を埋め込んで行く。
その中は、柔らかく熱を含んでいた。
埋め込む度に、小さくキュッと締め付ける。
柔らかいが、念の為に指を出し入れしながら弧を描き、中を探る様に動かした。
自分の指の動きとは違い、なんだが妙な気分になる。
ぐちゅぐちゅと聞こえる音も卑猥で、身体の熱が上がりそうだ。
二本目が埋め込まれ、抜き差しをしながら上下左右に指を広げた。
真幸は、もう片方の手で再びヨゾラのペニスを握った。
「そっちは、いぃって……」
ヨゾラがペニスを握る真幸の手をつかもうとした時だった。
ヨゾラの下半身に電流が流れた様な感覚に、ヨゾラのビクビクと腰が揺れた。
「ぅあっ!な、……何??」
「コレやな」
真幸は呟くと、もう一度ヨゾラの内壁を押すように擦った。
「ゃっ!……や、ゃめっ」
中が真幸の指を締め付け、腰が痙攣する。
「兄貴がセックスが気持ちえぇ言うんは、ここやねん」
グリグリと内側から前立腺に指を押し付けた。
そこを擦られる度に、腰がビクビクと揺れてしまう。
「ぁ、それ、っ……、変になる、から」
腰を高く上げ、枕に顔を埋める。
下半身の痙攣が止まらない。
指を広げ、三本目を埋めた。
「三本はちょいキツいな……」
真ん中の指で中を擦りながら、指を出し入れした。
「あ、やだって」
「でも吸い付くで。けど、そろそろ大丈夫やろか」
真幸の指がヨゾラから抜かれた。
抜いたその入口がヒクヒクと小刻みに動いている。
「ほんまは時間かけてゆっくりしたかったけど、すまんわ……」
息を整えるヨゾラの背後から、カチャカチャと金属音が聞こえた。
「……お前は、俺でも大丈夫なのかよ……」
腰を突き上げたままと言う無様な格好ではあるが、そう言うヨゾラの声は小さく不安げだ。
「今更やんか」
ヨゾラの入口に、真幸の先端が当たった。
「大丈夫やなかったらこない元気になるかい」
軽く先端を入口に擦ると、ヨゾラの尻が小さく波打つ。
先端だけでも、真幸がちゃんと勃って居るのが分かった。
「力抜いとき」
そう言うと、ゆっくり先っぽを飲み込ませた。
「ぅうっ……」
指よりも太いモノが、入口をこじ開ける。
出来るだけ、真幸にも負担が掛からない様にと、深く息を吐いては力を抜こうとしているのだが、異物感が半端ない。
「辛ないか?」
先端だけ埋めると、真幸は一旦動きを止めた。
「だ、いじょうぶ……、だけど、指と違う、から……」
「当たり前や。もうちょい挿れるで」
再び、ゆっくりと真幸はペニスを埋め込んだ。
「んっ、あっ」
枕を抱き抱える様に、ヨゾラは顔を埋める。
真幸の長さまでは分からないが、太さと硬さが下半身に伝わった。
中が広がって行く感覚と、奥へと吸い込む感覚が交互にヨゾラを襲った。
初めて挿れた真幸も、その狭さと熱に油断したら直ぐに達してしまいそうだ。
まだ奥へ挿いりそうだが、真幸は侵入を止めた。
「全部……、挿いったのか?」
動きを止めた真幸に、くぐもった声でヨゾラは聞いた。
「全部はまだ無理や。……これからがあるか、まだ分からへんけど……」
先は分からない。
淫魔になればヨゾラの記憶は消えるわけだし。
このまま記憶は消したと誤魔化す事も出来るのだが。
唐島はヨゾラが魔族って言うのは消えたんだ、わざわざヨゾラを消す必要は無い。
「……真幸、この体勢、ちょっと辛い……」
ふとヨゾラが言った。
「あ、あぁ……、すまん」
真幸は我に返ると、そう呟いた。
「……動くで?」
そう聞くと、ヨゾラは小さく頷いた。
ゆっくりと腰を引き、中に挿れる。
「痛ない?」
ゆるゆると腰を動かしながら、真幸はそう聞いた。
「や、やっぱ、……ちょっとだけ、痛い」
呼吸の端々で、ポツリポツリとヨゾラは答えた。
「で、でも……、途中で、止めんなよ……」
声が切ない。
今、ヨゾラはどんな顔をしているのだろうか。
気にはなるが、初めては後ろからが楽だと聞いた。
中も馴染んで来たのか、最初程の硬さは無くなって来た。
ヨゾラの抑えている声も、段々と甘くなって行く。
少し内側を擦った時だった。
「あっ!」
上擦った声を上げ、ヨゾラの下半身がぎゅっと真幸を締め付けた。
「そこっ、さっきの……、っ」
頭を枕に押し付け、両足を閉じ、突き上げた腰がぷるぷると震えている。
真幸はもう一度そこを先端で擦った。
「ぁ、やっ」
中がキュッと締め付け、更に熱を帯びた様に熱くなる。
何度も何度も、ヨゾラの内壁がうねった。
「なんも考えんでえぇねん」
少し早めに、真幸は腰を動かし始めた。
女の膣よりは狭く、柔らかくなったとは言ってもまだ硬いその中は、真幸を飲み込もうと、内壁が吸い付く。
前立腺を擦ると、余計に締め付けも強くなった。
「あんまり締め付けんと、俺がヤバくなる」
腰を動かしながら、真幸は言った。
「だ、だって、……ぅ、あ」
ヨゾラの頭が白くなる。
痛みはもうほとんど無くなった。
気持ち良いかと言えばまだ分からなくて、ただお腹が疼いてもっと刺激が欲しくなる気もする。
欲求ばかりが増して、どうして良いかが分からない。
無意識のうちに、自分のペニスへと手を伸ばした。
真幸の腰に合わせて、ペニスを擦った。
そして、中の締めつけも段々と強く、真幸の欲を誘った。
「俺、もうもたへん……」
ヨゾラの背後から真幸が切なげに呟いた。
「ぃ、い、からっ。出して……」
ヨゾラもくぐもった声を出した。
真幸もヨゾラのペニスを掴むと、腰の動きを早めた。
「悪い、出すで」
そう言うと、真幸は少しだけ奥に突っ込み、ヨゾラの中に欲を吐き出す。
腹の中に入れる事のない粘着質な体液が入って来たのが分かる。
「あ、熱いのがっ。お、俺も、……っ!」
同時にヨゾラもシーツの上に、大量の精液を垂れ流した。
そして、すっと身体が軽くなった気がすると、そのままベッドにへたりこんでしまった。
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