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素直と悪態
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一応のお礼と報告が、千皇からヨゾラのスマホに送られて来たのは昨夜だったが、気付いたのは朝だった。
昨夜はあれからあまり寝れず、気を利かせてか真幸はリビングのソファーで寝たらしい。
リビングへ行くと、キッチンで真幸が朝食を作っていた。
そっとバスルームの洗面台へ行き、顔を洗った。
そして、そっと自室へ戻った。
久しぶりに、制服に袖を通す。
体調の不安はあるが、いつまでも休んでられない。
せっかくいろいろ勉強出来るんだ、時間ももったいない。
リビングに戻ると、真幸が気付いた。
「学校行ってええんか?」
焼けたトーストを、皿に入れながら真幸が聞いて来た。
「うん……。熱も下がったしさ……。休んでばかりじゃ悪いし」
「そぉかい。無理せんと、ヤバかったら早退したらえぇ。俺が抜けれたらえぇんやろうけど」
「こんだけ熱が下がったんだ。大丈夫だよ」
ヨゾラは苦笑いを浮かべ、キッチンの椅子に座った。
簡単なサラダとオムレツとソーセージの乗ったプレートと、野菜スープが用意されている。
焼きたてのトーストが目の前に置かれた。
「……まぁ、何かあったら連絡してくれたらえぇ。常磐先輩とかに見つからんように」
「……」
「最初に連絡すべきは俺や」
「授業中は無理だろ」
「メッセージでえぇ」
自分の分のトーストをトースターに入れると、冷蔵庫を開けマーガリンとジャムを取り出して、テーブルに置いた。
「御手洗と富岡にも言うとくわ。……迅斗は黙っとこ」
「……それは」
真幸への気持ち云々は別として、唐島もヨゾラには友達だ。
一人だけ隠し事をする様で、いい気分にはなれない。
静かになったキッチンにトーストが焼けた音がした。
真幸は、トースターからパンを取り出した。
俯いたまま、食事に手を付けないヨゾラに真幸は溜息を吐いた。
「お前の気持ちが分からん訳やないで。せやけど、俺は信用出来ん」
「それは……、真幸の都合じゃん」
「……ほなら、俺が伝える。それでえぇやろ」
真幸は椅子に座ると、トーストにマーガリンを塗った。
「冷めたら固くなって美味ないで」
真幸はそう言うと、ヨゾラはやっとトーストに手を伸ばした。
「何もかも丸く収まるもんやないで。こう言う恋愛感情的なんは特に。……傷付くん嫌なら、そう言う感情を持たなきゃえぇ。でも、それも簡単やない」
「……」
「俺には俺の思うやり方しか出来ひん。周りは仲間ばかりやないしな」
モグモグと食べ進める真幸に対し、ヨゾラは納得が行かないのかゆっくりと朝食を食べている。
皆が皆幸せになる方法はないようだ。
出来るなら自分だって、真幸とは一緒に居たい。
自分を優先させるなら、唐島を不幸にしないといけない。
ヨゾラの胸の奥が重くなった気がした。
真幸はヨゾラの事をどこまで考えて居るのだろう。
キッチンが静かになった。
先に食べ終わった真幸が立ち上がる。
「今日から一緒に登校するわ。姫神兄さんにもさっき伝えた」
あんなに一緒の登校は嫌がって居たのに?と、ヨゾラは目を丸くした。
真幸がいろいろ懸念しているなら、楼依と一緒の方が安全だろうに。
「帰りもバイトがない日は一緒に帰ったる」
食べたお皿を手に取ると、洗い始めた。
一緒に登校するのは、最初から何も無ければきっと楽しいと思える。
でも、拒否されてから大分経った。
それで今更と言うのは唐島に対してもあからさまじゃないだろうか。
それでも、ほんの少しだけ嬉しいなどと思う自分が居るのも、何となく複雑だ。
モヤモヤと考えながら朝ご飯を食して居ると、ヨゾラはあ、と心の中で呟いた。
学校を休んでいる間、エルドラが観ていた夜のドラマを思い出した。
『たった一度寝ただけで、彼氏面しないで』
そんなセリフがあった。
そう言えば、身体を重ねるだけならお互いが良いだけであって、好きだのなんだのとは言われていない。
態度だって冷たい様な素っ気ない様な。
口付けだけで相手を意識したり、ドキドキしたり、などの甘酸っぱさすらない。
そう感じるのはヨゾラだけなのだろうか。
本来、そう言うモノなのだろうか。
ルシカや楼依みたいに、幸せオーラ的なモノは特殊なのだろうか。
冷たい態度は、照れ隠しなのだろか。
頭に浮かぶのは、エルドラが観ていた夜のドラマのシーンばかりだ。
わざと冷たい態度をいきなり取り始めたり、変に主導権を握ろうとしたり、ちょっと甘くなったり、優しくなったり、いきなり怒ったり、感情の起伏が激しかった。
真幸は明るいし優しい方だ。
でも、何か今日は違う。
ヨゾラを心配してくれているのは分かるが、極端な気がした。
「……真幸ってさ」
真幸の背中に、ヨゾラは話しかけた。
「何やねん」
洗ったカップの水滴を払う様に、シンクの上でカップを振りながら真幸はそう返した。
「……本当に『好き』なのか?俺の事」
何気なしに聞いたヨゾラの一言に、真幸は思わずカップをシンクの上に落とした。
ガコンッ!と大きな音が響いたが、割れてはいなかった。
真幸は頭を掻くと、大きく一息着いた。
「……、……好きやなかったら、事情が何であれ男を抱こうとするかい……」
そう聞き取れない程の小さな声で呟くと、真幸は落ちたカップを拾い、もう一度洗い直した。
良く聞こえなかったヨゾラは眉間に皺を寄せるが、真幸の首が真っ赤になって居るのを見ると、何だか自分まで恥ずかしくなった。
「食うたら自分で洗っとき」
そう言う声は聞こえた。
真幸はカップを食器乾燥機に置くと、シンクの横にあるタオルで濡れた手を拭いてキッチンを出た。
こちらを振り向こうとはせずに。
キッチンを出た後は、バスルームの方へと行ったらしい。
(……真幸は、……俺の事が好き?)
一人取り残されたヨゾラは、カップのスープを見詰めた。
スープはもう冷めている。
セックスは好きな人とやるものだと、真幸は散々言って居た。
熱を下げる事に必死だったが、思えば普段兄達でさえ見せないヶ所を見せ合い、触らせ合うわけだ。
特にヨゾラは、人に見せるべき場所を晒す訳で、老人相手より真幸に見られるのは恥ずかしく思えた。
自分でしていた時とも違うし、老人に軽く弄られていた時とも違う。
老人や常磐を相手と考えるよりも違う恥ずかしさがあり、余裕がなくなったのも分かって居た。
でも、真幸は違うかも知れない。
あの一回からはしていない。
熱も上がらないからかもしれない。
熱がないと、そう言う行為はするつもりはないのかも知れないが、何だか寂しい気持ちになった。
学校に行くと言ってから、真幸も何だか冷たいし。
もし、ヨゾラを好きならもっと構ってくれても良いのに。
むしろ、構って欲しいのに。
学校では出来なくても、家の中で二人きりなら別に。
(……俺は、ルシ兄みたいにイチャイチャしたいのか?)
自分が真幸に甘えているのを想像してみた。
頭を撫でられてへにゃっと笑顔を見せるルシカは想像出来るが、それが自分となると気持ち悪くなって来た。
千皇がカグヤの頭を……、撫でると言うより掴みそうだ。
逆を想像してみた。
ルシカに撫でられた嬉しげな楼依は想像出来るが、カグヤに撫でられた千皇は不機嫌極まりない表情が想像出来た。
それでもカグヤは諦めないのだろうな、と思うと笑える。
もし仮に、ヨゾラが真幸の頭を撫でたなら、真幸も不機嫌そうになるだろうけど少しは照れそうだな、と思った。
ちょっと笑えた。
(……もし、好きなら)
何をするべきなのだろう。
ルシカ達は、毎日電話やメッセージを送り合っている。
真幸は一緒に居るわけだから、そう言う事は必要ない。
たまに二人で外に出掛けるとかはしてみたいけど、登下校は一緒に行くと言うし、真幸にはバイトもある。
食事だってほぼ毎日一緒だ。
なんなら部屋も一緒なわけだし。
それにセックスが入ったとしても、好きでもない相手にだって出来る行為な訳であって、必ずしも必要では無い気もする。
かと言って、真幸以外とかは考えたくもないが。
真幸が居ないと生きては行けない、だけど、ドキドキとかワクワクがない。
確かにセックスはドキドキしたけど、熱を下げる為で実感が無い。
熱がない時にしたら、実感が湧くのだろうか。
「早う食わんかいっ!」
突然、そんな声が聞こえた。
いつの間にか真幸が戻って来ていた。
「……だってさぁ」
ヨゾラは両手を膝に置いて俯いた。
「なんか、俺ばっかの事じゃん?」
「別に問題ないやろ」
「俺にばっかにかまけてたら、お前の被害も甚大だろっつってんの」
「別に俺はかまへんし。気にすんだけ無駄や」
真幸は空いたお皿を取ると、シンクに持って行った。
ヨゾラは一気にスープを飲み干した。
「心配すんなとは言えへんけど、心配しすぎんな。大口叩いても出来る範囲は限られてんねん」
そう真幸は言うと、皿を洗い出した。
ヨゾラはカップを持って立ち上がると、シンクに勢いそっとカップをその中に置く。
「だから、俺は俺で何とかするし」
「……洗っといてやんねん。歯ぁ磨いて来」
この話は終わり、とでも言う様に真幸は言った。
納得行かないヨゾラは、ムッとするとその場を離れた。
もし、自分に依存するくらいになったら、もっと楽な対応が出来るのに。
真幸が居ないと生きて行けない、そう言われたが。
(……世話係で終わりたないねん)
真幸はカップを洗い食器乾燥機に置くと、溜息を履いた。
昨夜はあれからあまり寝れず、気を利かせてか真幸はリビングのソファーで寝たらしい。
リビングへ行くと、キッチンで真幸が朝食を作っていた。
そっとバスルームの洗面台へ行き、顔を洗った。
そして、そっと自室へ戻った。
久しぶりに、制服に袖を通す。
体調の不安はあるが、いつまでも休んでられない。
せっかくいろいろ勉強出来るんだ、時間ももったいない。
リビングに戻ると、真幸が気付いた。
「学校行ってええんか?」
焼けたトーストを、皿に入れながら真幸が聞いて来た。
「うん……。熱も下がったしさ……。休んでばかりじゃ悪いし」
「そぉかい。無理せんと、ヤバかったら早退したらえぇ。俺が抜けれたらえぇんやろうけど」
「こんだけ熱が下がったんだ。大丈夫だよ」
ヨゾラは苦笑いを浮かべ、キッチンの椅子に座った。
簡単なサラダとオムレツとソーセージの乗ったプレートと、野菜スープが用意されている。
焼きたてのトーストが目の前に置かれた。
「……まぁ、何かあったら連絡してくれたらえぇ。常磐先輩とかに見つからんように」
「……」
「最初に連絡すべきは俺や」
「授業中は無理だろ」
「メッセージでえぇ」
自分の分のトーストをトースターに入れると、冷蔵庫を開けマーガリンとジャムを取り出して、テーブルに置いた。
「御手洗と富岡にも言うとくわ。……迅斗は黙っとこ」
「……それは」
真幸への気持ち云々は別として、唐島もヨゾラには友達だ。
一人だけ隠し事をする様で、いい気分にはなれない。
静かになったキッチンにトーストが焼けた音がした。
真幸は、トースターからパンを取り出した。
俯いたまま、食事に手を付けないヨゾラに真幸は溜息を吐いた。
「お前の気持ちが分からん訳やないで。せやけど、俺は信用出来ん」
「それは……、真幸の都合じゃん」
「……ほなら、俺が伝える。それでえぇやろ」
真幸は椅子に座ると、トーストにマーガリンを塗った。
「冷めたら固くなって美味ないで」
真幸はそう言うと、ヨゾラはやっとトーストに手を伸ばした。
「何もかも丸く収まるもんやないで。こう言う恋愛感情的なんは特に。……傷付くん嫌なら、そう言う感情を持たなきゃえぇ。でも、それも簡単やない」
「……」
「俺には俺の思うやり方しか出来ひん。周りは仲間ばかりやないしな」
モグモグと食べ進める真幸に対し、ヨゾラは納得が行かないのかゆっくりと朝食を食べている。
皆が皆幸せになる方法はないようだ。
出来るなら自分だって、真幸とは一緒に居たい。
自分を優先させるなら、唐島を不幸にしないといけない。
ヨゾラの胸の奥が重くなった気がした。
真幸はヨゾラの事をどこまで考えて居るのだろう。
キッチンが静かになった。
先に食べ終わった真幸が立ち上がる。
「今日から一緒に登校するわ。姫神兄さんにもさっき伝えた」
あんなに一緒の登校は嫌がって居たのに?と、ヨゾラは目を丸くした。
真幸がいろいろ懸念しているなら、楼依と一緒の方が安全だろうに。
「帰りもバイトがない日は一緒に帰ったる」
食べたお皿を手に取ると、洗い始めた。
一緒に登校するのは、最初から何も無ければきっと楽しいと思える。
でも、拒否されてから大分経った。
それで今更と言うのは唐島に対してもあからさまじゃないだろうか。
それでも、ほんの少しだけ嬉しいなどと思う自分が居るのも、何となく複雑だ。
モヤモヤと考えながら朝ご飯を食して居ると、ヨゾラはあ、と心の中で呟いた。
学校を休んでいる間、エルドラが観ていた夜のドラマを思い出した。
『たった一度寝ただけで、彼氏面しないで』
そんなセリフがあった。
そう言えば、身体を重ねるだけならお互いが良いだけであって、好きだのなんだのとは言われていない。
態度だって冷たい様な素っ気ない様な。
口付けだけで相手を意識したり、ドキドキしたり、などの甘酸っぱさすらない。
そう感じるのはヨゾラだけなのだろうか。
本来、そう言うモノなのだろうか。
ルシカや楼依みたいに、幸せオーラ的なモノは特殊なのだろうか。
冷たい態度は、照れ隠しなのだろか。
頭に浮かぶのは、エルドラが観ていた夜のドラマのシーンばかりだ。
わざと冷たい態度をいきなり取り始めたり、変に主導権を握ろうとしたり、ちょっと甘くなったり、優しくなったり、いきなり怒ったり、感情の起伏が激しかった。
真幸は明るいし優しい方だ。
でも、何か今日は違う。
ヨゾラを心配してくれているのは分かるが、極端な気がした。
「……真幸ってさ」
真幸の背中に、ヨゾラは話しかけた。
「何やねん」
洗ったカップの水滴を払う様に、シンクの上でカップを振りながら真幸はそう返した。
「……本当に『好き』なのか?俺の事」
何気なしに聞いたヨゾラの一言に、真幸は思わずカップをシンクの上に落とした。
ガコンッ!と大きな音が響いたが、割れてはいなかった。
真幸は頭を掻くと、大きく一息着いた。
「……、……好きやなかったら、事情が何であれ男を抱こうとするかい……」
そう聞き取れない程の小さな声で呟くと、真幸は落ちたカップを拾い、もう一度洗い直した。
良く聞こえなかったヨゾラは眉間に皺を寄せるが、真幸の首が真っ赤になって居るのを見ると、何だか自分まで恥ずかしくなった。
「食うたら自分で洗っとき」
そう言う声は聞こえた。
真幸はカップを食器乾燥機に置くと、シンクの横にあるタオルで濡れた手を拭いてキッチンを出た。
こちらを振り向こうとはせずに。
キッチンを出た後は、バスルームの方へと行ったらしい。
(……真幸は、……俺の事が好き?)
一人取り残されたヨゾラは、カップのスープを見詰めた。
スープはもう冷めている。
セックスは好きな人とやるものだと、真幸は散々言って居た。
熱を下げる事に必死だったが、思えば普段兄達でさえ見せないヶ所を見せ合い、触らせ合うわけだ。
特にヨゾラは、人に見せるべき場所を晒す訳で、老人相手より真幸に見られるのは恥ずかしく思えた。
自分でしていた時とも違うし、老人に軽く弄られていた時とも違う。
老人や常磐を相手と考えるよりも違う恥ずかしさがあり、余裕がなくなったのも分かって居た。
でも、真幸は違うかも知れない。
あの一回からはしていない。
熱も上がらないからかもしれない。
熱がないと、そう言う行為はするつもりはないのかも知れないが、何だか寂しい気持ちになった。
学校に行くと言ってから、真幸も何だか冷たいし。
もし、ヨゾラを好きならもっと構ってくれても良いのに。
むしろ、構って欲しいのに。
学校では出来なくても、家の中で二人きりなら別に。
(……俺は、ルシ兄みたいにイチャイチャしたいのか?)
自分が真幸に甘えているのを想像してみた。
頭を撫でられてへにゃっと笑顔を見せるルシカは想像出来るが、それが自分となると気持ち悪くなって来た。
千皇がカグヤの頭を……、撫でると言うより掴みそうだ。
逆を想像してみた。
ルシカに撫でられた嬉しげな楼依は想像出来るが、カグヤに撫でられた千皇は不機嫌極まりない表情が想像出来た。
それでもカグヤは諦めないのだろうな、と思うと笑える。
もし仮に、ヨゾラが真幸の頭を撫でたなら、真幸も不機嫌そうになるだろうけど少しは照れそうだな、と思った。
ちょっと笑えた。
(……もし、好きなら)
何をするべきなのだろう。
ルシカ達は、毎日電話やメッセージを送り合っている。
真幸は一緒に居るわけだから、そう言う事は必要ない。
たまに二人で外に出掛けるとかはしてみたいけど、登下校は一緒に行くと言うし、真幸にはバイトもある。
食事だってほぼ毎日一緒だ。
なんなら部屋も一緒なわけだし。
それにセックスが入ったとしても、好きでもない相手にだって出来る行為な訳であって、必ずしも必要では無い気もする。
かと言って、真幸以外とかは考えたくもないが。
真幸が居ないと生きては行けない、だけど、ドキドキとかワクワクがない。
確かにセックスはドキドキしたけど、熱を下げる為で実感が無い。
熱がない時にしたら、実感が湧くのだろうか。
「早う食わんかいっ!」
突然、そんな声が聞こえた。
いつの間にか真幸が戻って来ていた。
「……だってさぁ」
ヨゾラは両手を膝に置いて俯いた。
「なんか、俺ばっかの事じゃん?」
「別に問題ないやろ」
「俺にばっかにかまけてたら、お前の被害も甚大だろっつってんの」
「別に俺はかまへんし。気にすんだけ無駄や」
真幸は空いたお皿を取ると、シンクに持って行った。
ヨゾラは一気にスープを飲み干した。
「心配すんなとは言えへんけど、心配しすぎんな。大口叩いても出来る範囲は限られてんねん」
そう真幸は言うと、皿を洗い出した。
ヨゾラはカップを持って立ち上がると、シンクに勢いそっとカップをその中に置く。
「だから、俺は俺で何とかするし」
「……洗っといてやんねん。歯ぁ磨いて来」
この話は終わり、とでも言う様に真幸は言った。
納得行かないヨゾラは、ムッとするとその場を離れた。
もし、自分に依存するくらいになったら、もっと楽な対応が出来るのに。
真幸が居ないと生きて行けない、そう言われたが。
(……世話係で終わりたないねん)
真幸はカップを洗い食器乾燥機に置くと、溜息を履いた。
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