アニマスブレイク

猫宮乾

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「太陽派も、正式に大八島国からの報復攻撃を支持することを約束するわ」
 子供特有の甲高い声で、夢子が応えたのを、務はティポットを手にしながら眺めていた。
 神代プロジェクトが先制攻撃を行ったのだという姿勢を崩さないアトランティス陣営に対し、彼女が率いる太陽派はいち早く抗議の声を挙げていた。それが同盟故の同情なのか、全く別の腹づもりであるのか、務には判断が付きかねている。
「有難う。助かります」
 それでも、怜悧な眼差しで、白茶の浸るカップを傾けた遇津が、太陽派の助力に依存していることは間違いないことを、よく知っていた。
 今日の夢子の服装も、ピンクが基調のワンピースで、赤いリボンが空調の風で横へとなびいている。務は、何度か彼女と会う内に、様々な服装を着ている場面を見たはずなのに、それでもこの色を見る度に、外見は幼い彼女のことを思い出すようになっていた。
 二人目の日和の首を落とした時にも、この色を彼女が纏っていたからなのかもしれない。
 夢子が率いているのは、ヘラクレスの柱の向こう側、と呼ばれる小国の連盟国のことだ。皆加盟しているとはいえ独立国で、それぞれ特色があるが、その多くが太陽を信奉しているという特徴がある。だから太陽派と呼ばれるのか、夢子の権力など名ばかりで、象徴だから太陽派と呼称されるのかは、務も知らなかった。
 大別するならば現行の文明化プロジェクトのセグメントは、太陽か月、偶像的な星、あるいは本物の星、木星などを守護とする文明が多い。勿論他にも山や海、砂漠や川、湖といった自然を崇拝するものもあれば、牡牛や羊、獅子といった、星信仰から生まれた夜空に住まう獣を神とする文明や、蛇や鷲、猫、甲虫、馬といった原生動物を愛でる文明もあり、他にも人間、それこそ父成る天で暮らす自分たちを祀る文明まである。それでもやはり、太陽か月に分類できることが多く、そのどちらにも属さない文明が星として分類されているのが現状だ。
「それで具体的な攻撃日時はどうするの?」
 子供らしい声が響く。けれど、その先を促すような声音に、務は無言で眉をひそめた。当然、梓月が殺され、見知った大地が戦禍を被った以上、報復したいという思いもある。けれどそれを即座に実行に移さなかったのは、そうすればさらなる惨劇を産むことが目に見えていたからだ。それは綺麗事かもしれない。あるいは、破滅の道を選ばない文明を研究している以上、報復など行わないという選択肢の実験を行っていたと言うことも出来る。
 しかし太陽派は、ことあるごとに、神代プロジェクト陣営に報復を迫る。
 それはアトランティスを火の海あるいは廃都とする選択肢で、そして、統一世界政府陣営と雌雄を競っている太陽派にとっては最も肝要な案件だ。
「まぁそう言うなよ夢子」
 傍らに座した少女の頭を軽く小突きながら、焔紀がそう声を挟む。
「今の言い方じゃまるでお前が、神代のことなんか関係成しに、さっさとアトランティスを滅ぼして、太陽派に都合が良いように動いてくれ、って宣言してるように聞こえる」
「そんなことないよ。そう取る人がそう思ってるだけだもん」
「でも多くの人間は、自分の負の投映だとは気付かずに、相手にその浅ましい心をなすりつけるんだろ。昔間宮に言われたことがある。あいつにすげぇむかつくこと言われて、お前性格悪いなっていったら、お前がそう思ってるからだなんだとか、よくわかんねぇけど。兎も角俺は間宮に嫌われてるし、あいつのことが大嫌いだ。でもお前は違うんだよな? 好きなんだろ、夢子は。間宮のことが」
「そうだよ」
「だったらあいつに嫌われるような言い方は止めた方が無難じゃねぇの?」
 口をつぐんだ夢子を見据え、務は腕を組んだ。
 何故彼女が、間宮をすきだと思うのか全く理解が出来なかったからだ。
 あの性格破綻者を恋しいと思うだなんて、見る目がないにも程がある。
「そうかもしれないけど、今、間宮いないもん」
 あるいは、彼女にすかれた間宮が不幸なのかもしれないと、一時考えながら、務は遇津に振り返った。
「もう少し考えさせてもらった方が良いんじゃないかな」
「そうだね」頷いた遇津が改めて夢子へ視線を向ける。「考えさせてもらえますか?」
「別に良いけど」不服そうに唇を尖らせた彼女には構わず、遇津が立ち上がった。
「すみません。昨日あまり寝ていないので、先に下がらせていただいても」
 それは自業自得だろうと考えながら、務は、出て行った彼女の背を見送る。
「追いかけねぇの?」目を丸くしている焔紀に肩を竦めた。
「そんなことより、務君、今の余計。なんで、考えさせてとか言うの?」
「核兵器の用意に手間取ってるんだよ」
 曖昧に応えた務の前に、椅子から飛び降りた夢子が歩み寄ってくる。彼女はつま先立ちで、務の服を強く掴んだ。締め上げているつもりなのだろうかと苦笑する。
「そんなはずないじゃん。そんな、そんなさ。大八島国はあんなに原子力発電所があるんだよ? 燃料有り余ってるじゃん。大体、放射能研究してるんだから、技術だってないわけ無いじゃん」
「夢子。務だって疲れてるんだよ。そう焦るな」
 幼い少女じみた体躯を務から遠ざけながら、焔紀が呆れたように笑う。
「そうだろ?」自分の友人だといつか発言した彼は、事実、こうした場面では特に、助けてくれる。確かに務はそう感じていた。
「頼りにしてた叔父が亡くなって、今の恋人は精神が不安定で、仕事も忙しくて、もうこんなにいっぱいいっぱいな男は珍しいんだよ、特に今の世じゃさ。それでも務は本当に頑張ってる。すげぇんだよこいつは」
「そんなの、悲しいとか思う男の子が弱いんだよ。好きな子亡くした女の子の方が、よっぽど辛いんだから」
「だったら遇津のつらさも分かんだろ。もうちょっと待ってやれ、な? お前だって、間宮がいなくなったら、迷ったりすることもあるだろ?」
「夢子は迷わないもん。そんなに弱くないもん。いい? 男の子と対等になれない女の子なんて、そんな弱者、生きてる価値もないんだよ? だから急げっていってるの。私は遇津さんの事は嫌いじゃないからね。でも今のまんまじゃ嫌いになりそ」
「手厳しいな。でもな、お前は子供のままだから分からないだろうが、男に頼るズルさとか方法覚えた大人の女って言う人種も世の中にはいるんだよ。俺はそういうの嫌いじゃねぇけど。な、務」
「何で僕にふるのかな」
「そんなの最低だよ。弱ってる女の子につけ込む男も、そもそも男のことで弱るような女の子も、生きてる価値無いよね。汚ーい。これだから大人とか名乗っちゃう人間て吐き気がする。大体遇津さんじゃ、焔紀の好みには足りないでしょ。主に胸が」
「間違いないな」
「君の好みって、それもう巨乳とかそういう域を超えそうだよね」
「いや、一般的な巨乳レベルでも良いけどな」
「豊かな乳房は母性の象徴なんだっけ」
「それ間宮に言われて、本気で殴り飛ばしたこと在るから止めてくれ。俺をマザコンと呼ぶとは本当に良い度胸してるよあいつ」
「間宮はお母さんの事知らないから羨ましかったのかもしれないね」
「え、あいつお前にそういったの?」二人のやりとりに、ただ身を任せて告げた務に対し、驚いたように焔紀がまじめな顔をした。
「そうだけど。なんで?」虚を突かれた務は顔を背けながら、問い返す。
「務さ、お前、間宮の両親の話、どういう風に訊いた?」
「どういうって、普通だよ。お母さんが亡くなって、父親が再婚して……だけどお父さんも亡くなって、それで結局また再婚して」
「……へぇ。じゃあ日和の事はなんて?」
「自分の唯一ちゃんとした血族だって聴いてる。だから大切にしてたんじゃないの?」
「多分な。でも意外だな、あいつがそんな話するなんて」
「どうして?」
「俺はあいつから家族の話なんて聴いたことが一度もねぇよ。興味もないけどな。ただ若干嫉妬。まだお前とあいつの方が、俺とお前より近しいんだな。距離間て難しいけど」
「色々知っていることと、近しいことと、距離感は、どれもみんな、全く違う話だと思うんだけど」
「俺はさ、ただお前ともっと仲良くなりたいって事だよ」
 朗らかに笑いながらそう述べた焔紀に対して、僅かに照れくさくなって務は視線をそらした。自分をこれほど尊重してくれる相手に初めてであったように感じる。勿論、依存や関係性の重みで言えば、遇津に変えられる人間などいないことを、務は理解していた。けれど、そうではなく対等な位置にいて、それでいてこうして自分を気に掛けてくれる、利己的でなく心がけてくれる相手は初めてだ。
「あーもう苛々する。水、お水のみたいぃ」
 夢子が嘆息しながら椅子の脚を蹴った。小さな赤い靴が、木製の、飴色の椅子を押し倒す。
「あー、俺ものどかわいた。温かいの以外じゃないと無理。白茶もう飽きた。おい務、水2つ」
「あ、うん」焔紀の声に頷いて、務は隣室へと赴き、水を注いで戻ってくる。
「本当に水とかあり得ない」不服そうな夢子の声が響く。
「おい務、頭使えって」いつも言われる言葉と共に、焔紀に水を頭へ掛けられ、務はただ微笑した。
「ごめん」究極の笑顔を浮かべたまま、務は髪から水をしたたらせ、冷たい飲み物を再度探しに部屋を出る。焔紀は何時も言うのだ。頭を使え、と。折角良い頭を持っていても、使わなければ持ち腐れだ。そう口にし、彼は笑うのだ。
 林檎の果汁を絞った飲み物がひたるポットを手に戻ると、焔紀が呆れたように腰に手を添え仁王立ちしていた。
「お前さぁ、やる気あんの? 夢子の機嫌損ねたら、神代プロジェクトなんて終わりだぞ」
「ごめん」
「謝るのは誰にだってできんだよ。違うだろ、大体。ごめんなさいだろ。全くお前は」
 舌打ちした焔紀に唐突に手を取られ、逆の手にポットを持ったまま務は狼狽えた。
「嫌だ嫌だ、夢子もう嫌だぁ。血がみたいぃ。骨の折れる音が聞きたいぃ」
 間延びした少女の声に困惑した瞬間、焔紀に捕まれていた腕が、夢子の顔の正面へと導かれる。
「おって欲しいらしいよこいつ」
 焔紀のその声に、少女が、至極楽しそうな瞳でこちらを向いた。
 瞬間、我を忘れた様子でこちらへ身体を近づけた少女の腕が、誤ってグラスを倒す。
「冷たーいぃ」再び苛立つように代わった夢子の声。
「早く拭けよ」ほぼ同時にぞうきんを顔へと向かい投げつけられ、務は目を伏せた。
 分かっているのだ、と務は思った。太陽派の機嫌を自分が損ねてしまわないように、焔紀はこうして色々と気を遣ってくれるのだろう、と。
 それでも鼻腔をつくぞうきんの悪臭や、身体を塗らす水の感触、そもそも何故自分が彼らに水を持ってくるよう命令されなければならないのか、そんな思いが頭を擡げようとする。
 ――嫌、全て自分を思ってくれて、皆してくれているのだ。
 務が自分を抑えるために、そのように考え、必死になった瞬間、夢子が務の手を取り、いつも携えているらしいペンチを爪にかけた。
 引き抜かれる感覚。初めは爪を捕まれただけだった。それが、次第に強まり、そして一気に爪を剥がされる。
 声を上げようと唇をふるわせた務は、けれど痛みのあまり声が出せなかった。
 爪を抜かれた人差し指を、少女の幼い足が踏む。深紅の靴が、窓から差し込む陽光を反射する。
「痛い?」実に楽しそうに訊ねる夢子に対して、冷や汗が伝う背筋にも額にも意識を向けないよう奮闘しながら、務は懸命に笑顔を浮かべた。
 焔紀はただその様子を愉快そうに眺めている。
 彼のその顔を務が確認した瞬間、辺りに骨が折れる独特の音が響き渡った。
 気がついた時には、務は思わず蹲り、左手の指をきき手で押さえてしゃがみ込んでいた。眼窩から涙が伝い、それが舌に塩味を教えるというのに、唇は弧を描いたままだった。
「務、これやってよ。友達なら出来るよな?」
 そんな彼の正面で、焔紀が笑いながら肩を竦めた。彼がこれと言って指さしたものは、壁に掛かっていた絵画で、大勢の観衆の前で自分の性欲を懺悔している聖人の姿だった。彼の罪を確認するために派遣された天使が、彼が自慰する様を執拗に眺めている。その丸々とした白い羽の主の横顔が、夢子に少しだけ似て見えた。
「わぁ、すごい見たい」
 目を輝かせた少女の声と、痛みが喚起した耳鳴りが、務の現実認識能力を奪っていく。
「務、夢子もこういってる。俺たち友達だろ? 俺はお前の力になりたいんだ。夢子を喜ばせることが、お前のためにも成るだろ? お前がやらなかったら、俺がやらされる」
 歩み寄ってきた焔紀にそう囁かれる。
 このように惨めな自分などと友達でいてくれる、心優しい焔紀の顔を眺め、務は唇を噛んだ。
「別に俺がやっても良い。でもな、お前がそれで後悔する姿なんて見たくないんだ。それにな、俺はお前がどんな姿になっても友達でいてやれる。絶対に見捨てない。だって、お前程頑張ってる奴を俺は知らん」
 焔紀の声にうつむいた。確かに自分では、焔紀が同じ事をした時に、友達でいられる自信など無かった。どのような顔をして声を掛ければよいのかも分からない。その上、見捨てない自信はおろか、蔑まない自信すらなかった。見下すのは嫌だった。友達を見下す自分自身になどたえられそうにもない。
 何より、こうして自分をほめてくれる人間なんて、今となっては彼の他には誰もいない。
「あと水おかわりな」
 笑顔で焔紀にそう肩を叩かれた瞬間、務は笑っていた。けれど息苦しくて胸が熱い。このまま死んでしまうのではないかという程の痛みと、二人の笑い顔を交互に見つめるしかできない。
 そのまま二本目の爪を引き抜かれようとした時、乱暴に扉脇の壁を叩く音が辺りに響いた。
「いいかげんにしろ」
 視線だけで振り返れば、そこには間宮がたっていた。

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