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【三十五】残酷な優しさⅣ
しおりを挟む次第に意識が曖昧になり始める。
快楽が襲いかかってくる。
「あ、あ、あ……あ……あ、待って」
「待つ? 性急だったか?」
「ち、違……あああ、限界だ。お願いだ、挿れてくれ!!」
「まだきついだろう?」
「いや、いや、焦らさないでくれ、お願いだ、殿下、ユーガ、ユーガ……あああ」
ポロポロと俺は泣いた。やはり俺の体はおかしいらしい。急に、壮絶な快楽が襲ってきて、俺の理性が飛びかけた。涙で滲む瞳で殿下を見ると、やはり初めて見る獰猛な顔をしていた。それが少し怖い。これまで俺を貪ってきた者達と同じ顔に見える。だが、ユーガ殿下は、彼らとは違い、優しい。俺の味方だと言った。
「ひ!」
激しく指が動き始めた。容赦なく前立腺を突かれ、俺は悲鳴を上げる。
頭が真っ白になった時、指が引き抜かれた。俺は、これから与えられるのだろう熱を期待して震える。
「今日はここまでだ」
「!」
「さぁ、入浴しよう」
それは俺にとっては残酷な宣言だった。
――満月が近づいてくる。明日にはもう、月が満ちる。
「う、うああ……あ、あ」
俺の内側を灼熱が埋め尽くしていく。なのに殿下は、俺の体を解すだけだ。指で愛撫し、全身を撫でるだけなのだ。気が狂いそうだった。今では入浴も共にし、体を洗われるのだが、その時乳首を指先が掠めるだけでも、俺は喘いでいる。ボロボロと泣いて、挿れてくれと口走るのだが、殿下は微苦笑しているだけだ、ただし残忍な瞳で。
「は、はぁ、っ、ぁ」
「今日はここまでだ」
「いやぁ……」
俺はその夜、殿下の腕の中でずっとすすり泣いていた。体が熱い。そんな俺を、ずっと殿下は抱きしめ、髪を撫でていた。
こうして満月の夜がやってきた。俺は朝からずっと震えているしか出来なかった。寝台から起き上がる事も出来なかった。おかしい、体がおかしい。これまでの満月とは比べものにならないほどの快楽が、俺を絡め取ろうとしている。
「ただいま、ネルス」
「あ、あ……」
俺はよだれを零しながら泣いていた。意味のある言葉を紡ぐ事が出来ない。
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