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―― 本編 ――
【三十五】想い人
しおりを挟む――次に目を覚ました時、槙永は青辻に抱き枕のようにされて眠っていた。
ぼんやりとした思考を、瞬きをしながら清明にしようと心がける。
「おはよう、和泉」
少し掠れた声で青辻に名前を呼ばれ、槙永は一気に覚醒した。そして裸体の己を自覚し、ギュッと目を閉じ赤面した。
SEXしてしまった。期待していなかったわけではないが、少し前までは、二度とこんな状況に、他者となる事を思い描いていなかった。しかもその相手は、想い人だ。それが何よりも嬉しい。
思わず青辻の腕から逃れ、壁際を向いて、両手で顔を覆う。無性に気恥ずかしい。
「そんなに可愛い顔をしないでくれ。もう一回欲しくなる」
「……」
「和泉。おいで」
横たわったままで後ろから抱き寄せられて、槙永は何も言えなくなった。そのうなじを、青辻が舐める。首に触れた吐息にゾクリとした直後、槙永の背筋は再び熱を帯びた。
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