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―― 第一章 ――
【002】《異世界クリエイター》
しおりを挟む夕食を終え、入浴後、俺は自室に向かった。現在俺達は、一軒家に住んでいる。それだけ兄は高給取りだ。賃貸だが。
俺は早速ベッドに横になり、VR接続システムを両耳に嵌めて、目を閉じた。既にバーコードを読み取らせて、《異世界クリエイター》はインストール済みである。瞼の裏が白くなっていき、ゲーム選択画面が出たので、俺は視線操作で、《異世界クリエイター》を選んだ。王冠に重なるように長剣が描かれた角丸のロゴだ。色は赤い。
するとそのロゴが大きくなって俺を突き抜けるように動き、次の瞬間俺は宇宙空間のように星が散らばる暗い場所に浮かんでいた。
『ご自由に世界を創造してください。【チュートリアル】を行いますか?』
機械音声が響いてくる。
一応、俺は初めてプレイするので、頷いた。俺の頷くという動作と脳からの刺激を読み取ったVRシステムが、正面に【チュートリアル】という金色の文字を浮かび上がらせた。そちらに視線を向けると、【チュートリアル】が開始した。
次の瞬間、俺は草原に立っていた。空は現実よりリアリティがある水色の青空で、白い雲が浮かんでいる。目の前には、羊がいる牧場が見えた。風が通り抜けていき、俺の頬に触れる。俺の短い黒髪も揺れた。どこからどう見ても、現実にしか思えない世界である。まぁVRゲームの売りは、その部分だが。
『さぁ《神様》! 自由に世界を創るとしよう!』
いきなり、目の前の羊が喋った。俺は首を動かして、顔を前に出し、思わず羊を凝視した。もこもこの白い毛皮をしている。
『左下に視線を向けると、【神様モード】【PLAY】【シェア】【ログアウト】の各ボタンが出現するよ!』
言われた通りに視線操作をすると、金色の文字で、四つの活字が浮かび上がった。
『【神様モード】で、きみは自由に世界を創造可能だ! それを確認したり、自分で遊ぶ時は、【PLAY】を選択してね! この世界を誰かに見せたり、一緒に遊びたくなったら、【シェア】しよう。《異世界クリエイター》が入っているVR端末を持っている仲間となら、自由に共有可能なんだ! さて、現実に帰還する時は、【ログアウト】を選択しよう。くれぐれも、そちらでまで《神様》だと思い込むのはやめようね?』
羊が説明をつらつらと語った。俺は頷きながら、各マークを見る。
『次に【神様モード】の説明だよ! 【神様モード】では、〝世界観〟と〝Object〟と〝NPC〟が生成可能だよ! それぞれに項目があるから、設定していこう! たとえば〝NPC〟なら“レベル”とかね!』
あ、これは魔王を創った時に使えそうだ。瞬きをしながら、俺は小さく一人頷く。
『ちなみに《神様》は、【神様モード】で世界を見ている場合、全ての値が最強だから、なんでも可能だし、実際に見ながら生成することもできるよ! 何か分からないことはあるかな?』
人工知能の羊が、つぶらな瞳で俺を見ている。まぁ、やってみないことには質問も出てはこない。
「無い」
『了解だよ! これで【チュートリアル】は終了だよ! 頑張ってね、《神様》!!』
羊の声が消えると、俺は再び宇宙のような空間に戻っていた。
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