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*** 過去:Ⅳ ***
【071】過去――魔王三百年目②
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「けどな」
勇者が続けた。トキトが続けたのだ。彼は薄い唇を静かに舐める。
「こんなに活気づいている街を壊すなんて馬鹿げていると思うんだ」
「なッ、何を――」
「俺は魔王を倒すんじゃなく、人間との和平の道を探りたい」
「だけど……」
それは、何度も僕だって考えてきたことだ。
だが魔族の言葉など、侵略ゆえの戯言と相手にはしてもらえなかった過去がある。
「無理だよ」
色々思案したが、無理だと思って苦笑した。
「どうして?」
「何度も人間に、《聖都》の人間に断られているんだ」
「俺の――勇者の言葉なら、聞いてもらえるはずだ。魔王さえ、頷いてくれるのならば」
「ぼ、僕……じゃなくて、魔王はきっと是というよ」
「そうか。それなら、良かった」
朗らかに、トキトが笑った。
彼のその柔和な顔を見たのはそれが最後だった。
――今代の勇者は、魔族の攻撃で魅入られ、敵となったため処刑された。
僕はそれを、大陸新聞の一面で見たのだった。
だから。
だから、だ。
もう二度と、勇者を介しての、和平など模索しないことにした。
だが当然こちらから申し出ても、疑われて、勅使となった魔族は皆捕らえられ、殺された。
――ああ、どうして僕は生きているのだろう。
その頃からなのだと思う。
僕の心に罅が入り始めたのは。
辛い、辛かった。僕が直接行こうとすれば、ロビンが、あるいは他の皆が止める。
僕に出来る事なんて、何一つ無かった。無かったのだ。
だからただ、死すと戻ってくる砂を、瓶に入れ、丘に埋め、十字架を立てるだけ。
苦しくて、何度も息が詰まりそうになった。
もう――消えてしまいたいと思うようになった、契機だった。
勇者が続けた。トキトが続けたのだ。彼は薄い唇を静かに舐める。
「こんなに活気づいている街を壊すなんて馬鹿げていると思うんだ」
「なッ、何を――」
「俺は魔王を倒すんじゃなく、人間との和平の道を探りたい」
「だけど……」
それは、何度も僕だって考えてきたことだ。
だが魔族の言葉など、侵略ゆえの戯言と相手にはしてもらえなかった過去がある。
「無理だよ」
色々思案したが、無理だと思って苦笑した。
「どうして?」
「何度も人間に、《聖都》の人間に断られているんだ」
「俺の――勇者の言葉なら、聞いてもらえるはずだ。魔王さえ、頷いてくれるのならば」
「ぼ、僕……じゃなくて、魔王はきっと是というよ」
「そうか。それなら、良かった」
朗らかに、トキトが笑った。
彼のその柔和な顔を見たのはそれが最後だった。
――今代の勇者は、魔族の攻撃で魅入られ、敵となったため処刑された。
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だから。
だから、だ。
もう二度と、勇者を介しての、和平など模索しないことにした。
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――ああ、どうして僕は生きているのだろう。
その頃からなのだと思う。
僕の心に罅が入り始めたのは。
辛い、辛かった。僕が直接行こうとすれば、ロビンが、あるいは他の皆が止める。
僕に出来る事なんて、何一つ無かった。無かったのだ。
だからただ、死すと戻ってくる砂を、瓶に入れ、丘に埋め、十字架を立てるだけ。
苦しくて、何度も息が詰まりそうになった。
もう――消えてしまいたいと思うようになった、契機だった。
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