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第十章
鉄鋼竜の心臓1
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「鉄鋼竜の心臓が欲しいだと?」
「……たぶん」
「なんだ、その煮え切らない返事は?」
「少し事情があるんです」
圭は八重樫工房を訪れていた。
相変わらず八重樫工房では刀鍛冶見学を中心に覚醒者用装備を製作している。
最近では八重樫工房まで足を運んで装備を買っていく人も増えたらしく、カレンの弟の優斗も本格的に装備作りを学んでいるようだった。
圭も特殊な装備以外の装備は八重樫工房製であり今でも整備のために度々訪れることがある。
今日訪ねた理由は鉄鋼竜の心臓について聞いてみようと思ったからであった。
アダマンタイトリアンドラゴンというものが鉄鋼竜と同じかどうかははっきりしないけれども同一のモンスターである可能性がある。
もし仮に鉄鋼竜がアダマンタイトリアンドラゴンだとしたら鉄鋼竜の心臓はラクスの剣を直す素材になりうる。
鉄鋼竜の心臓がものすごく貴重なもので色々な経緯があることは圭も知っている。
本当に使えるかも分からないがダメ元で交渉してみようと思ったのだ。
本当なら一度見せてもらった時に真実の目で見ていればよかったのだけど、まだその時は何でも鑑定してみるという癖がついていなかった。
今ではとりあえず真実の目で見てみるという習慣がついているが、相手を鑑定することの重要性を理解するまでは切り札のような使い方をしていた。
「ほらお茶」
「ああ、ありがとう」
カレンがお茶を淹れて持ってきてくれた。
圭と和輝の前に置き、そしてカレンは圭の隣に座る。
それ見て和輝はお茶をすすりながら目を細める。
「条件がある」
「条件ですか?」
「鉄鋼竜の心臓をやるのもいいがその代わりに……カレンを幸せにしてやってくれ。カレンを泣かせんでくれ」
「じ、じいさん!?」
予想外の条件にカレンの顔が真っ赤になる。
「……冗談だよ。1割ほどな」
「ほぼ本気じゃねーか!」
すぐに笑顔を浮かべて冗談だと和輝は言ったが完全に本気の目をしていたと圭は思った。
「カレンには幸せになってほしい。それは本気だ。カレンの悲しみが一つ減るかもしれないのなら鉄鋼竜の心臓などいくらでもくれてやろう」
圭がこうして必要だと言いにきたのなら必要なだけの理由があるのだろう。
きっとこれからの戦いに必要で、鉄鋼竜の心臓を使って圭が無事でいられるのならカレンが悲しむことが一つ減る。
そうであるならば鉄鋼竜の心臓をあげても構わないと和輝は思った。
「ただ俺の独断では決められん」
「どういうことですか?」
「あれはもう優斗にあげたものだ。あやつの許可なく俺があげるわけにはいかない」
「ああ……そういえば」
鉄鋼竜の心臓を見せてもらった時に鉄鋼竜の心臓を優斗に譲るという話があった。
「だから鉄鋼竜の心臓が欲しければ優斗に許可を取ることだ」
「もっともな話ですね。では優斗君は……」
「今は買い出しに出とる。もうすぐ戻るだろう」
「ただいまー! あれ? お客さん?」
ちょうどタイミングよく買い物に出かけていた優斗が帰ってきた。
元々体つきの良かった優斗であるが最近また少し大きくなったのではないかと圭は思う。
「優斗、少し話がある。荷物をこちらに来なさい」
「う、うん」
少しばかり真面目な雰囲気を感じて優斗は素直に頷く。
台所に買ってきた荷物を置いて優斗は和輝の隣に座った。
「実は鉄鋼竜の心臓が欲しいんだ」
「てっ……あっ、そっちですか」
「そっち?」
「いえ……何でもないです」
真面目な雰囲気、圭とカレンが並んで座り正面に和輝がいる、優斗にも何か真剣な話がある。
そのことから優斗は圭とカレンが交際の報告でもしているのではないのかと思ったのであった。
鉄鋼竜の心臓が欲しいという話も予想外であったけれど二人が真剣に付き合うのなら認めるしかないかと心を決めていた優斗は少しスカされた気分だった。
「それに鉄鋼竜の心臓ですか? それはおじいちゃんが……」
「もうお前にあげたものだ。どうするか決めるのはお前だ」
「そ、そんな……」
「ダメなら断ってくれてもいいんだ。まだ使うかどうかも確定じゃないしね」
「……ちなみに何使うんですか?」
圭にならば鉄鋼竜の心臓を渡しても構わないと優斗も思う。
悪いことには使わないだろうし売り払うなんてこともしないだろうと信じている。
ただ一応鉄鋼竜の心臓なんてものをどこに使うのか気になった。
「武器の修理に使うんだ」
「武器の修理?」
「以前こちらにも持ってきた剣がありますよね? 直すことができないと言われたあの剣です」
「ああ、そういえばそんなものがあったな」
「それを直してもらうのに鉄鋼竜の心臓を使うかもしれないんです」
「おじいちゃんでも直せないの?」
「足るを知り、足らぬを知る。あの剣は俺に手を出せるものじゃなかった」
優斗が師匠とあおぐ和輝にすら直せない武器があるのだと驚く。
和輝もただの剣の形としてだけならラクスの剣も直せるだろうが、ラクスの剣が持つ力を保ったまま修復することはできないだろうと一目見て感じ取ったのである。
やはり神の力を扱うには和輝でも力不足であったのだ。
ーーー
後書き
祝500話達成!
ここまで来ることができたのは読んでくださる皆様の応援おかげでございます!
いつもありがとうございます!
よかったら星とかフォローもよろしくお願いします!
「……たぶん」
「なんだ、その煮え切らない返事は?」
「少し事情があるんです」
圭は八重樫工房を訪れていた。
相変わらず八重樫工房では刀鍛冶見学を中心に覚醒者用装備を製作している。
最近では八重樫工房まで足を運んで装備を買っていく人も増えたらしく、カレンの弟の優斗も本格的に装備作りを学んでいるようだった。
圭も特殊な装備以外の装備は八重樫工房製であり今でも整備のために度々訪れることがある。
今日訪ねた理由は鉄鋼竜の心臓について聞いてみようと思ったからであった。
アダマンタイトリアンドラゴンというものが鉄鋼竜と同じかどうかははっきりしないけれども同一のモンスターである可能性がある。
もし仮に鉄鋼竜がアダマンタイトリアンドラゴンだとしたら鉄鋼竜の心臓はラクスの剣を直す素材になりうる。
鉄鋼竜の心臓がものすごく貴重なもので色々な経緯があることは圭も知っている。
本当に使えるかも分からないがダメ元で交渉してみようと思ったのだ。
本当なら一度見せてもらった時に真実の目で見ていればよかったのだけど、まだその時は何でも鑑定してみるという癖がついていなかった。
今ではとりあえず真実の目で見てみるという習慣がついているが、相手を鑑定することの重要性を理解するまでは切り札のような使い方をしていた。
「ほらお茶」
「ああ、ありがとう」
カレンがお茶を淹れて持ってきてくれた。
圭と和輝の前に置き、そしてカレンは圭の隣に座る。
それ見て和輝はお茶をすすりながら目を細める。
「条件がある」
「条件ですか?」
「鉄鋼竜の心臓をやるのもいいがその代わりに……カレンを幸せにしてやってくれ。カレンを泣かせんでくれ」
「じ、じいさん!?」
予想外の条件にカレンの顔が真っ赤になる。
「……冗談だよ。1割ほどな」
「ほぼ本気じゃねーか!」
すぐに笑顔を浮かべて冗談だと和輝は言ったが完全に本気の目をしていたと圭は思った。
「カレンには幸せになってほしい。それは本気だ。カレンの悲しみが一つ減るかもしれないのなら鉄鋼竜の心臓などいくらでもくれてやろう」
圭がこうして必要だと言いにきたのなら必要なだけの理由があるのだろう。
きっとこれからの戦いに必要で、鉄鋼竜の心臓を使って圭が無事でいられるのならカレンが悲しむことが一つ減る。
そうであるならば鉄鋼竜の心臓をあげても構わないと和輝は思った。
「ただ俺の独断では決められん」
「どういうことですか?」
「あれはもう優斗にあげたものだ。あやつの許可なく俺があげるわけにはいかない」
「ああ……そういえば」
鉄鋼竜の心臓を見せてもらった時に鉄鋼竜の心臓を優斗に譲るという話があった。
「だから鉄鋼竜の心臓が欲しければ優斗に許可を取ることだ」
「もっともな話ですね。では優斗君は……」
「今は買い出しに出とる。もうすぐ戻るだろう」
「ただいまー! あれ? お客さん?」
ちょうどタイミングよく買い物に出かけていた優斗が帰ってきた。
元々体つきの良かった優斗であるが最近また少し大きくなったのではないかと圭は思う。
「優斗、少し話がある。荷物をこちらに来なさい」
「う、うん」
少しばかり真面目な雰囲気を感じて優斗は素直に頷く。
台所に買ってきた荷物を置いて優斗は和輝の隣に座った。
「実は鉄鋼竜の心臓が欲しいんだ」
「てっ……あっ、そっちですか」
「そっち?」
「いえ……何でもないです」
真面目な雰囲気、圭とカレンが並んで座り正面に和輝がいる、優斗にも何か真剣な話がある。
そのことから優斗は圭とカレンが交際の報告でもしているのではないのかと思ったのであった。
鉄鋼竜の心臓が欲しいという話も予想外であったけれど二人が真剣に付き合うのなら認めるしかないかと心を決めていた優斗は少しスカされた気分だった。
「それに鉄鋼竜の心臓ですか? それはおじいちゃんが……」
「もうお前にあげたものだ。どうするか決めるのはお前だ」
「そ、そんな……」
「ダメなら断ってくれてもいいんだ。まだ使うかどうかも確定じゃないしね」
「……ちなみに何使うんですか?」
圭にならば鉄鋼竜の心臓を渡しても構わないと優斗も思う。
悪いことには使わないだろうし売り払うなんてこともしないだろうと信じている。
ただ一応鉄鋼竜の心臓なんてものをどこに使うのか気になった。
「武器の修理に使うんだ」
「武器の修理?」
「以前こちらにも持ってきた剣がありますよね? 直すことができないと言われたあの剣です」
「ああ、そういえばそんなものがあったな」
「それを直してもらうのに鉄鋼竜の心臓を使うかもしれないんです」
「おじいちゃんでも直せないの?」
「足るを知り、足らぬを知る。あの剣は俺に手を出せるものじゃなかった」
優斗が師匠とあおぐ和輝にすら直せない武器があるのだと驚く。
和輝もただの剣の形としてだけならラクスの剣も直せるだろうが、ラクスの剣が持つ力を保ったまま修復することはできないだろうと一目見て感じ取ったのである。
やはり神の力を扱うには和輝でも力不足であったのだ。
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祝500話達成!
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