人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
310 / 515
第六章

人工ブレイキングゲート6

しおりを挟む
 イベントスペースはひどいことになっていた。
 ゲートがあるということは最初にモンスターが現れた場所ということになるので一番被害が大きい場所である。

 イベントがない今はベンチが置かれていて休憩スペースとなっているし商業施設の中心となるので人通りも多かった。
 今はお客として来ていた覚醒者だけでなく近隣の覚醒者も駆けつけてラーナノソルジャーと戦っている。

 大海ギルドはまだ来ていないようで覚醒者たちは押されながらもなんとかラーナノソルジャーを抑え込んでいる。

「……圭さん、どうかしましたか?」

 イベントスペースは吹き抜けになっていて上の階からでも見下ろせるようになっていた。
 状況を把握するためにぐるりと周りの様子を見回していた圭は上の階から見下ろしている人影があることに気がついた。

 逃げている一般客にも見えないし、だからといって戦っている覚醒者にも見えない。
 ただただモンスターと戦っている光景を眺めている。

 たまたま圭の目に止まっただけなのだがなぜかとてもその人が気になった。
 夜滝たちも圭の視線の先が気になって上の階の方を見た。

『浦安省吾
 レベル149
 総合ランクD
 筋力E(無才)
 体力D(一般)
 速度E(無才)
 魔力C(一般)
 幸運E(一般)
 スキル:サモンゲート[貸与]
 才能:無し』

 だから真実の目で見てみた。

「あいつ……!」

 浦安省吾、そいつは少し前に公園で女性を襲っていた終末教の男だった。
 黒い石からモンスターを召喚した奇妙な能力の持ち主だと思っていた。

「サモンゲート?」

 以前公園で会った時にはモンスターの対処で名前ぐらいしか見れられなかった。
 能力を見てみると不思議なものがあった。

 貸与とされているサモンゲートというスキル。

「夜滝ねぇ」

「なんだい?」

「サモンってどんな意味?」

 学がないとまで言わないが英語が得意ではない。
 パッと意味が浮かばないので素直に夜滝に聞いてみた。

「サモン……呼び出すとかそんな意味かねぇ」

「じゃあサモンゲートなら……」

「簡単に考えるとゲートを呼び出すとかそうなるかもねぇ」

「急にどうしたんだよ?」

「あっ、逃げた!」

 圭が見ていることに感づいたのか浦安が見るのをやめて逃げていく。

「……上の階に行こう! 訳は走りながら言うから」

 少し様子がおかしいけれど圭はこんな時に理由もない行動はしない。
 圭たちは近くにあった停止中のエスカレーターを昇って浦安のいた階に向かう。

「つまりさっきのやつが今回のことの原因かもしれないってこと?」

「その可能性がある」

 ただの階段と化したエスカレーターを昇りながら圭が訳を説明する。
 浦安を公園で見かけたこと、モンスターを召喚したこと、そしてゲートを呼び出せそうなスキルを浦安が持っていることをなどを説明した。

 あんな大規模なブレイキングゲートを召喚できるものなのかとかどうしてこんなことをするのかなんて気になることは多くあるが、今あの場で浦安が状況を見ていたことが今回の件と無関係には思えない。
 もし犯人ならこのまま逃してはいけない。

 それにまだ何かやるつもりかもしれない。

「……どこに行った?」

 圭たちが向かった時には浦安は逃げ始めていた。
 浦安がいた階に着いた時にはすでに浦安の姿はなかった。

「……なんかおかしくない?」

 探すにしてもワンフロアだけでもかなりの広さがある。
 見たところ浦安の能力はC級相当だったので分散して探してはかなりのリスクがある。

 ただ浦安がどこに逃げたのかも分からずキョロキョロとしていると波瑠が不思議そうに床を見ていた。

「何がおかしいんだ?」

「モンスターとか、人の死体がない……」

「死体がない?」

「いや、あるだろ」

 圭たちも床を見てみるとモンスターや襲われたのだろう人が倒れている。
 ないとはなんのことか分からない。

「うん、あるけど……こっち側にないんだ」

「…………確かに」

 波瑠が指差した床を見てようやくその奇妙さに気がついた。
 まるで線を引いたみたいだと波瑠は思っていた。

 あるラインから人もラーナノソルジャーも死体がない。
 そこで戦うことがなかったかのようである。

「……あっち側に浦安がいるのかもしれない」

 スッと振り返った圭は浦安が立っていた付近もラーナノソルジャーや人の死体がないことに気がついた。

「モンスターを呼び出した犯人ならモンスターに襲われない方法があるのかもしれないねぇ」

 ラーナノソルジャーを呼び出した浦安がいたからそのあたりはラーナノソルジャーが入り込まずに襲われなかった。
 ある程度納得できる話である。

「あっち側に行ってみようか」

 圭たちは死体がない方に向かってみる。
 周りを見て不自然に床が綺麗なところを進んでいくと駐車場に続く廊下に続いていた。

 奇襲やモンスターの存在を警戒して慎重に進んでいく。
 コンクリートの駐車場はお店の方に比べて空気がややヒンヤリとしている雰囲気がある。

「チッ……どうやら見られたみたいだ」

「何してんだよ?」

「ちゃんとゲートが機能してるのか確かめたかったんだよ」

 駐車場の中に入ると会話が聞こえてきて圭たちは車の影に隠れた。
 特徴的な男性のしゃがれ声と若い男性の声が聞こえている。

 圭が車の影から顔を出してみると一人は浦安で、もう一人は体つきのいい男だった。

「浦安だ」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...