人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
362 / 515
第七章

覚醒者チュートリアル3

しおりを挟む
「それで何の用ですか?」

「ふっ、冷たいな。何の用というかお前たちのサポートでもしてやろうと思ってな」

「サポート? 何か手伝ってくれるのか?」

「何かあればしてやるが、俺にできることはほとんどない」

「…………」

「そんな目で見るな」

 手助けしてやるなんていう上から目線の割にできることがほとんどないとは何事なのか。
 思わず圭は黒い羽を怪訝そうな目で見てしまった。

「こちらも色々と制限があるのだ。それに塔を作ったのは俺でもないし他の階についてはあまり知らない」

 ヤタクロウはシステムを作ったという功績から塔の階の一つを任されている。
 しかしヤタクロウは塔を作った神ではなく、塔の中についての細かな情報を持っていなかった。

 それぞれの階にどんな神の世界があってどんな試練があるのかは秘密にされている。
 それぞれの階の神は不干渉がルールであるし干渉していることがバレればせっかくもらった塔の権限を剥奪されてしまうかもしれない。

「なら何を手伝ってくれるというんだ?」

 ただいるだけなら手伝うも何もない。

「塔の神については知らないがそれ以外の神についてはお前たちが攻略している様を覗いたりしている。時に己の力を使って干渉することあり得るのだ。そちらについては俺にも情報が入る」

 それぞれの階を管轄する神は自分の階も他の階にも干渉は許されない。
 しかし関係のない神は自分の力を消費して塔の世界に干渉することが許されている。

 当然限度や制限はあるもののこれまでも時々干渉が行われてきたのだとヤタクロウは言う。

「いわゆるシークレットクエストなんていうやつも他の神の干渉のせいでクリアされたこともある」

「そうなんですか」

 圭たちは驚いた。
 他の人たちがどうやってシークレットクエストを見つけたのか謎だったが、運が良いということだけでなく他の神の干渉のおかげだった時もあるのだ。

「ただ干渉というのは良いことばかりではない。お前……何をした?」

「何とはなんですか?」

「どっかの女神がお前のことひどく嫌っているぞ。それこそ早く塔を登ってこいと願うほどにな」

「……あー」

 女神になら心当たりがある。
 四階で平穏の女神という危険な相手を偶然倒してしまった。

 本体ではなかったようだが女神を倒してしまったことによりその女神が圭を敵対視している。

「心当たりがあるのなら別にいい。俺はそいつが何をしようとしているか探りを入れてみる。何をしようとしているか分かるかもしれない」

「なるほど……ありがとうございます」

「お前に死なれては困るからな。ちなみに他の神に聞いた話ではこの階のシークレットクエストは卵を探してみるといいらしい。成功した者はいないらしいが意外と見つかるらしいからな。それじゃあな」

「あっ……」

 黒い羽が煙のように消えてなくなる。
 言うだけ言ってヤタクロウは消えてしまった。

「まあ……悪い話じゃなさそうだな」

「うん、手助けしてくれようということではあるみたいだねぇ」

 なんだかんだ八階のシークレットクエストについても情報をくれたヤタクロウ。
 味方であることは確かなのだけど、話を受け入れる時間が少しは欲しいものであると圭は苦笑いを浮かべた。

「卵ねぇ……」

「おそらくシークレットクエストのフェルリルの卵ってやつですかね?」

「そうだと思うよ」

 シークレットクエストについて情報をくれたということはどうやらヤタクロウは圭がシークレットを見えていることを知らないようだ。

「卵にも気をつけつつレッドフォックスを探すか。あと半分だ」

 情報をもらったけれど方針は変わらない。
 見つけられたらやってみるぐらいで積極的に探しにはいかない。

 波瑠の飛行練習がてらレッドフォックスを探しつつ倒していく。

「マジで暑いな……」

「ほら、水飲んどけ」

「サンキュ」

 立ってるだけでも暑いのにレッドフォックスを探して歩き回り、戦うと余計に汗をかく。
 こうした環境であるとわかっていたのでやや軽装であるけれど装備品を外せはしない。

 適度に休みながら水分補給なんかも忘れずにしておく。

「あと何体だ?」

「あと3だな」

「んじゃ、さっさとやろうぜ。このままじゃ干からびちまう」

 カレンが手の甲で汗を拭う。
 寒ければ着れば対応できるが暑いと対処は難しい。

 仮に装備まで外したとしてもほとんど楽にはならないだろう。
 暑さに対応するよりもレッドフォックスを倒した方が手っ取り早い。

「薫、大丈夫?」

「はい……大丈夫です」

 体力値が低いためだろうか薫は暑さにやられてぐったりしている。

「ほれ」

「ほわぁ~、ありがとうございます」

「あっ、いいな!」

「それ私にもやってくれよ!」

 薫を見かねた夜滝が杖の先から冷風を出す。
 氷と風、ダブルキャストを使える夜滝ならではのやり方であるが、見る人が見たらかなりの力の無駄遣いである。

「すずしー!」

「というか夜滝ねぇ……自分に向けてやってるね?」

「……バレたか」

「なんか汗もかいてないなと思ったんだ」

 こんな暑い中にあった珍しく夜滝は文句も言わなかった。
 暑さでやられているのかなと思っていたけれど魔法エアコンを自分に発動させて快適に過ごしていたのである。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...