人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第八章

封印を解いて6

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「ボスは……あれか?」

 湖のほとりや湖の中にダークリザードマンの姿が見える。
 二十体ほどのダークリザードマンの群れの中で一際体が大きい個体が湖に足だけつけて寝転がっていた。

「……あれは何してるのかな?」

 ダークリザードマンの一部が集まっている。
 何かを囲んでいて、一体だけ槍ではなく杖を持っている。

「死体か?」

 ボスよりも集まっているダークリザードマンの方が気になった。
 何を囲んでいるのかとじっと見ていたら間からチラリと真ん中にあるものが見えた。

 ボロボロになったダークリザードマンが横たわっていた。
 圭たちはすぐに持って行かれた死体だと気がついた。

「……食べてなくてよかったですけど何をしてるんでしょうか?」

 仲間の死体を食い荒らしていなくてよかったけれど死体を囲んで何をしているのかは謎である。

「仲間の死について悲しんでいるのなら賢いんだけどねぇ」

 倒されたダークリザードマンをわざわざ連れ帰って死んだことを悼んでいるのだとしたら相当知能がありそうだ。
 けれどそんな風には見えないと圭は思う。
 
「何かを始めたな」

 ダークリザードマンが杖を振り上げる。
 すると杖の先から黒いモヤのようなものが発生してダークリザードマンの死体を包み込み始める。

「一体何を……」

『死の気配があなたを見つめています!』

「なに?」

「どうした、お兄さん?」

 急に圭の前に見知らぬ表示が現れた。
 他のみんなの前には現れていないようで圭はなんだか嫌な予感がした。

「死の気配が見つめているって……」

「け、圭さん、ダークリザードマンが!」

 なんの表示だろうと思っていると死体を囲んでいるダークリザードマンが一斉に圭たちの方を振り向いた。
 ゾクリとする嫌な感じがした。

「……ヤバそうだ、逃げるぞ!」

 圭たちの方を見たのはどう考えても偶然ではない。
 一度仕切り直そうと圭たちが動いた瞬間ダークリザードマンも動き出した。

「こっち来るよ!」

「逃げろ!」

 圭たちの方に死体を囲んでいたダークリザードマンが一斉に走り出す。
 それに釣られて他のダークリザードマンも反応して動く。

 圭たちも慌ててその場から逃げ出すがダークリザードマンは明らかに圭たちの方にきていた。

「いきなりなんなんだ!」

 見ていたことをバレる要素はなかった。
 どうしてダークリザードマンが圭たちに気づいたのだとカレンは舌打ちする。

「死の気配なんたらのせいか?」

 あまりにも事態が急すぎて何が起きているのか把握できない。
 思い当たるのは死の気配が見つめていると出てきた表示ぐらいだった。

 杖を持ったダークリザードマンが何かをしていた。
 そのせいで死の気配とかいうもので見つかったのかもしれないと思った。

「薫君、大丈夫そう?」

 薫は体力、素早さが無才で伸びが悪い。
 走って逃げるということ考えた時に薫は能力値的に少し厳しい。

「だ、大丈夫です!」

 それでもレベルアップで少しは能力も上がってきているのでなんとか薫もついてきている。

「このまま一度ゲートを……うっ!」

「圭!?」

『死の気配があなたにまとわりつきます!』

 急に体が重たくなって圭は木の根っこに足を引っ掛けてバランスを崩した。

「大丈夫か?」

 みんなが心配そうに圭に駆け寄る。

「なんだ……」

 目の前に現れた表示を見ながら圭は顔をしかめる。
 まとわりつくという表現に変な納得がある。

 体に何か重たいものがまとわりついていて呼吸すら苦しくなってくるような感じがしていた。

「ピピ……クル!」

 ひどい風邪の時のような動くのが辛いような感覚に戸惑っているとダークリザードマンに追いつかれてしまった。

「戦うか!」

 圭を置いてはいけない。
 みんなは逃げることを諦めて武器を構える。

「マスターヲマモル!」

 フィーネの手から金属が伸びて大鎌の形になる。
 ここは悠長に戦っている余裕はない。

 追いついてきているダークリザードマンが少ないうちに少しでも倒しておく必要がある。
 フィーネが追いつきてきたダークリザードマンに近づいて大鎌を振った。

 フィーネの大鎌は防御しようとしたダークリザードマンの槍をへし折りながら胴体を真っ二つにした。

「くそっ……」

 圭も剣を抜いた。
 薫の強化支援を得てもそれでもなお剣が非常に重たく感じられる。

「圭、下がっているんだ」

「悪いな……」

「あれは?」

「あれ?」

「カレンの盾!」

 飛び回ってダークリザードマンを翻弄している波瑠がカレンを指差す。

「魔を払うとか……あぶな!」

 振り回される槍をかわしながら波瑠はカレンの盾の能力を思い出していた。
 魔を払う能力が盾にはある。

 悪魔を弱体化させたり悪魔の力を追い出したりすることができたが死の気配というのもなんだか魔の力っぽいと思ったのだ。

「……カレン!」

「分かった!」

 夜滝が魔法で牽制してカレンが圭のところまで引き下がる。

「おっ……」

 圭が手を伸ばしてカレンの盾に触れる。
 その瞬間体にまとわりついていた重たい感覚が弾け飛ぶように消えていく。

「効果があった……」

『死の気配があなたにまとわりつきます!』

 体が軽くなって盾から手を離すとまた表示が現れて体が重たくなる。
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