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第九章

魔界に堕ち2

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「あれは……ダンテ!」

 ルシファーの案内で進んでいくと地面に倒れているダンテを見つけた。
 圭が駆け寄ってダンテの状態を確かめる。

「気を失ってるだけか……」

 ルシファーが生きていると言っていたのでそこは疑っていないがルシファーですら足を失っている。
 圭もフィーネがいなかったら相当危険だったろうことは魔界に来る時の衝撃の大きさで分かっている。

 生きてはいても無事である保証なんてどこにもない。
 けれどダンテは五体満足であった。

「ただ……全裸って……」

 怪我がないことはよく分かる。
 なぜならダンテは素っ裸であったから。

 かろうじて残る服だったもののような布片だけでは股間すら隠すことが難しいぐらいである。

「体に魔力に集めてどうにか凌いだのだな。我が契約者ながら良い体をしておる」

「あまり見てあげないでくださいよ……」

 うつ伏せに倒れているダンテの体を見てルシファーは目を細める。
 仰向けにしてあげたいところであるけれどそうなれば大事なところがさらけ出されてしまう。

「うっ……」

 圭にできることはなく周りからダンテを隠す場所もないのでどうしようと悩んでいるとダンテが目を覚ました。

「ダンテ、大丈夫か?」

「ここは……一体何が……?」

 頭を押さえながらダンテは体を起こす。
 やはり前側にもほとんど布はなく丸出しだった。

「なっ……!」

 ダンテも自分の姿に気づく。
 手で大事なところを隠したけれど下着すらない状況、周りにも何もないので隠すものもない。

「そのように隠す必要もない立派なモノではないか」

「そ、そのような問題ではありません!」

 いかにダンテといえど全裸は恥ずかしいようだ。

「ケ、圭……服を貸してくれないか……」

 せめて前ぐらい隠したい。
 ダンテが懇願するように圭のことを見る。

「服……あっ!」

 自分の服を直接モノに触れる腰に巻かれるのは抵抗あるけれど仕方ないかと脱ごうとした時に圭は思い出した。

「これがある!」

「……それはなんだ?」

 圭はポケットの中から袋を取り出した。
 亜空間の収納袋である。

「ほら、服と下着。俺のやつだけどダンテも着られるだろう」

 圭は袋に手を突っ込んで中から服を取り出した。

「ありがたい!」

 圭は袋に服を入れて持ってきていた。
 今回船に乗る上で最初に来てきた服はコック服だった。

 次にパーティーに溶け込むためにスーツに着替えた。
 そこから戦いになるかもしれないしということで圭は普通の服も持ってきていた。

 下着の替えもあったのでダンテに渡す。
 体格的にはダンテの方が身長も高くガッチリとした体型をしているが圭の服が着られないほどの体格差はない。

 安心した顔をしたダンテは圭から受け取った服を着る。
 多少キツめではあるけれど素っ裸や服一枚腰に巻きつけることに比べるまでもない。

「ここはどこなんだ?」

 服を着てようやく落ち着いたダンテは周りの様子を見回す。
 どう見たって異常な空間なことは分かる。

「ここは魔界だ」

「魔界……ということはルシファー様の……」

「そうなるな。ただここは私のいる階層じゃない」

「階層? どういうことですか?」

「魔界は階層に分かれている」

 魔界と一口に言ってもその世界は広い。
 さらに魔界は階層に分かれていて住んでいる悪魔も階層によって違うのである。

「魔界は四層に分かれているのだ。浅い第一階層は弱い悪魔が住んでおる。知能もないようなものから知能があっても戦えない弱いものまで」

 第二階層は第一階層よりも強い魔物が住んでいる。
 そして第三階層から知能も高く強い魔物が支配を始める。

「ここは第三階層。魔王と呼ばれる悪魔も数体この階層を支配領域をしておる。あそこに見えるはらへり虫もここに城を置いているのさ」

「はらへり虫?」

「ダンテが戦ったベルゼブブって悪魔のことだよ」

 ベルゼブブを始めとした魔王でも第三階層に支配領域を置いているものがいる。

「そして私は第四階層。最も深いところにいる」

 第三階層よりもさらに一つ下にある第四階層にルシファーの本体はいた。
 悪魔でも力の弱い個体はいることすらできない場所であり、第四階層にいながら第三階層に支配領域を持つという魔王もいる。

「本体が助けには来られないのか?」

「助けにはいけるだろうが……その先が難しいだろうな」

「どういうことですか?」

「私は大きな支配領域を持たないが誰も手を出してこない魔王だ。それは私が強いから。だから周りの魔王や悪魔は私のことを警戒している。おかしなゲームのことを主張した時より前から周りはルシファーという存在に注視している」

 おかしなゲームに悪魔も巻き込まれていると主張する前からルシファーは悪魔の中で浮いた存在だった。
 悪魔が徒党を組んでルシファーを攻撃したことによって悪魔たちの溝はさらに深まったが、それより前から溝はあったのだ。

「動けば周りにバレるだろう。そうなればお主たちのこともバレる」

 ルシファーが動けばルシファーのことを警戒している周りの悪魔はその動きに注目する。
 そうなれば圭とダンテが魔界にいることがバレてしまう。

 他の悪魔に見つかれば圭とダンテが攻撃されることは確実である。
 ルシファーがいかに強くとも四六時中攻撃にさらされれば圭たちのことを守りきれないかもしれない。
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