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第九章
魔界に堕ち5
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「ムラサメ、ありがとう……」
「たまたまちょうどいい魔道具があっただけですよ」
「それでもだ。いや、普通なら拒否してもおかしくない。貴公の心意気には感謝しかない」
ジャンはダンテと距離を取る一方で圭に対する態度はかなり柔らかい。
悪魔との契約者でなければ元々丁寧な態度を取っている人であるし、今は圭のとある行動によりジャンの好感度はより高くなっていた。
「たとえ遺体であっても……いや、遺体だからこそ持ち運ぶことに抵抗があるだろう」
その行動とは亡くなった異端審問官の遺体を圭の亜空間の収納袋に入れて持ち帰ることであった。
生きたものは人であれ魔物であれ収納袋には入れられない。
しかし死んでいれば人でも魔物でも袋の中に入れることができた。
ジャンは異端審問官の所有物を持ち帰って遺品としようとしたのだが、圭は袋の中に遺体を入れて持ち帰ることにした。
死んでいると割り切ることは簡単でも遺体を直接袋に入れて持ち帰ることには抵抗があるだろう。
それなのに圭は進んで遺体を袋に入れてくれた。
ここまでで腕一本だったり下半身だけだったりと綺麗でない遺体も見つかったのだけど、圭はそうしたものも袋に収納した。
ジャンは圭の男気に痛く感動していた。
圭としては他の異端審問官の遺体を見つけるたびにジャンが泣きそうな顔をしているのがいたたまれなくてのことであったが結果的にジャンの信頼を得ることができた。
「他にはないな」
周辺をぐるぐると回って遺体を回収した。
無事なものなどほとんどなくて身体の一部だけで個人の特定すら難しい遺体ばかりだった。
けれど持ち帰れば調べる方法はあるし、死んだのだと分かるだけでも行方不明よりはマシかもしれない。
もっと集中すれば細かいところも見つけられるけれどわざわざ指一本とか肉片までルシファーは探すつもりはない。
「いったい何人巻き込まれたのかすら分からないな……」
ダンテのように服もなければ身体の一部が誰のものなのか見ただけでは判別できない。
見つかった身体の部位もすぐないので誰どころか何人分のものなのかも分からずにジャンは落ち込んだような顔をしている。
しかし流入現象でこちらに来る時に耐えられなかった人は体がズタズタにされてしまった。
一生かけて探し回ったところで完全に遺体を集め切ることは不可能である。
「じゃあ帰ろうか」
遺体探しでもだいぶ時間が取られてしまった。
そろそろ帰るために動かねばならない。
「……そういえばここからはどうやって抜け出す? 帰れるのか?」
「ああ、それについては……」
圭はジャンに門と呼ばれる現世につながるものがあると説明する。
まだ分からないことは多くあるが帰る希望はあるのだ。
「なるほど……その門のところに行くのに第二階層というところを目指すのですね」
「そうです」
「……ムラサメのことは私が守ろう」
「ありがとうございます」
「ふん、お前は大人しくしておけ」
「貴様こそここに住んだほうがいいのではないか?」
「ケンカしないでもらえると助かるなぁ」
かなり前途多難な感じがする。
これからのことを思うと圭はため息しか出ない。
ともかく圭はルシファーの契約者ダンテと異端審問官のジャンとともに魔界からの脱出を目指すこととなったのである。
「たまたまちょうどいい魔道具があっただけですよ」
「それでもだ。いや、普通なら拒否してもおかしくない。貴公の心意気には感謝しかない」
ジャンはダンテと距離を取る一方で圭に対する態度はかなり柔らかい。
悪魔との契約者でなければ元々丁寧な態度を取っている人であるし、今は圭のとある行動によりジャンの好感度はより高くなっていた。
「たとえ遺体であっても……いや、遺体だからこそ持ち運ぶことに抵抗があるだろう」
その行動とは亡くなった異端審問官の遺体を圭の亜空間の収納袋に入れて持ち帰ることであった。
生きたものは人であれ魔物であれ収納袋には入れられない。
しかし死んでいれば人でも魔物でも袋の中に入れることができた。
ジャンは異端審問官の所有物を持ち帰って遺品としようとしたのだが、圭は袋の中に遺体を入れて持ち帰ることにした。
死んでいると割り切ることは簡単でも遺体を直接袋に入れて持ち帰ることには抵抗があるだろう。
それなのに圭は進んで遺体を袋に入れてくれた。
ここまでで腕一本だったり下半身だけだったりと綺麗でない遺体も見つかったのだけど、圭はそうしたものも袋に収納した。
ジャンは圭の男気に痛く感動していた。
圭としては他の異端審問官の遺体を見つけるたびにジャンが泣きそうな顔をしているのがいたたまれなくてのことであったが結果的にジャンの信頼を得ることができた。
「他にはないな」
周辺をぐるぐると回って遺体を回収した。
無事なものなどほとんどなくて身体の一部だけで個人の特定すら難しい遺体ばかりだった。
けれど持ち帰れば調べる方法はあるし、死んだのだと分かるだけでも行方不明よりはマシかもしれない。
もっと集中すれば細かいところも見つけられるけれどわざわざ指一本とか肉片までルシファーは探すつもりはない。
「いったい何人巻き込まれたのかすら分からないな……」
ダンテのように服もなければ身体の一部が誰のものなのか見ただけでは判別できない。
見つかった身体の部位もすぐないので誰どころか何人分のものなのかも分からずにジャンは落ち込んだような顔をしている。
しかし流入現象でこちらに来る時に耐えられなかった人は体がズタズタにされてしまった。
一生かけて探し回ったところで完全に遺体を集め切ることは不可能である。
「じゃあ帰ろうか」
遺体探しでもだいぶ時間が取られてしまった。
そろそろ帰るために動かねばならない。
「……そういえばここからはどうやって抜け出す? 帰れるのか?」
「ああ、それについては……」
圭はジャンに門と呼ばれる現世につながるものがあると説明する。
まだ分からないことは多くあるが帰る希望はあるのだ。
「なるほど……その門のところに行くのに第二階層というところを目指すのですね」
「そうです」
「……ムラサメのことは私が守ろう」
「ありがとうございます」
「ふん、お前は大人しくしておけ」
「貴様こそここに住んだほうがいいのではないか?」
「ケンカしないでもらえると助かるなぁ」
かなり前途多難な感じがする。
これからのことを思うと圭はため息しか出ない。
ともかく圭はルシファーの契約者ダンテと異端審問官のジャンとともに魔界からの脱出を目指すこととなったのである。
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