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第八章
呪いの容疑者を調査せよ!3
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「……絶対木こりのデルの野郎が原因だ!」
「ガバッド……」
「俺は聞いたんだよ。あの野郎が俺は人を支配する方法を見つけたんだって言ってるのをよ!」
サンジェルの警備隊の仲間であるガバッドが怒りをあらわにしながら犯人の予想を口にした。
「いやいや、冒険者ギルドのホルドだろ。あいつ借金抱えてるが、返す当てだか返さなくてもいい当てだかがあるってまた借金増やしてただろ。少し前にゃなんだっけ……魔石横領なんて噂もあったろ?」
「ろくでなしのカイーダだって怪しいぞ。両親が亡くなってから様子がおかしかったが、失踪者のことをあざけて笑っていたしな」
「肉屋のコーディーも……」
何人かみんなが思う犯人の名前が挙がる。
けれどもどいつもこいつも小物も小物。
こんな町一つ呪いに落とせそうな人はいない。
三代やってる肉屋が呪術師なんて話ありえない。
呪いの技術は今は廃れてしまっていて、ほとんどの人が知らないものである。
技術的には他に漏洩することを恐れての一子相伝で技術が伝えられるらしく、そのことも廃れた理由である。
名前が口に出された人の多くが、その町に古くから住んでいる人だ。
怪しいよそ者もいない。
呪いなんてとても関係なさそうだ。
「おいっ! みんなしてどうした! 憶測だけで人を犯人に仕立て上げても解決なんかしないぞ!」
人間性に問題があり、ここにいないからと怪しいとされる。
それでは正しい判断とは言えない。
サンジェルがみんなをたしなめる。
全員何も分からずどうしようもない状況に苛立っていて、当たるところが欲しかったのだ。
「しかしこの子はどうして小さくならないのだ?」
サンジェルがコユキを見上げた。
元の大きさからするとまだ小さい子供だが、今の大きさからするとコユキは巨人に見える。
リュードたちと同時に町に入り、同じ時間を過ごしたはずなのになぜ何ともないのかサンジェルには疑問だった。
「どうやら神聖力がある者には呪いは効きにくいようです」
「ほう? じゃあこの子は聖職者なのかい?」
「そうです。聖者のタマゴです」
「そりゃすごいな! 聖者なんて早々お目にかかれるもんじゃないぞ」
「むん!」
コユキが誇らしげに胸を張る。
今後魔力を得られる可能性がないとは言えないけど、現在神聖力しか扱えずその神聖力も強大である。
ただし特定宗教に属しているわけじゃないのでどこの聖者と言っていいか不明だ。
ニャロに教えを受けたしケーフィス絡みで生まれたのだから、望めばケーフィス教から聖者として認定されることだろう。
だから聖者のタマゴである。
「もう今更な話だけどシューナリュードさん……このことにご協力いただけませんか?」
「もちろんです。こうなったらなんとかするしかありませんもんね」
「ありがとう。先ほど挙がった名前だが実はそう外れたものでもないんだ」
「そうなんですか?」
「先ほど名前が挙がった連中は未だに失踪や入れ替わりをしていない連中なのだ」
ただ押し付けのように犯人だと批判していたのでもない。
この場にいない人は多い。
当然いなくても入れ替わっている人はいる。
町の人全員の調査なんて到底不可能なので全容は分かっていないが、先ほど名前の出た人は明らかに入れ替わっていないのだ。
「もしかしたらこれから小人化して入れ替わるかもしれないしそいつらを監視したり調べたいんだ。それには大きな問題があってな……」
「問題?」
「監視はいいんだが家なんかを調査したいんだけど、俺たちじゃドアノブにすら手が届かない」
「なるほど」
外から監視するだけでは限界がある。
何かやるなら家の中でやるのだろうけど、家の中に入ることすら出来ない。
家の中にさえ入れれば小さいので隠れて監視することもできるのだけどそれが難しい
都合よく壁に穴でも空いてれば入るけど、普通の家に穴は空いていない。
色々試してみたものの人が小さくなっただけで、身の回りにある物のサイズは変わらない。
道具の入手すらままならないのだ。
どこで見られているかも分からないから変な痕跡も残せない。
手詰まり感があったところに現れたのが子供であるが通常サイズのコユキだ。
ドアノブにも手が届くし、小人では手が届かないものも取れる。
「コユキが救世主ってことだな」
「任せてパパ」
「パパぁ? お前さん、若そうなのにこんな年頃の娘が……まあ今話すことじゃないか」
リュードもコユキに関する説明をいちいちするのは面倒。
どう脳内で処理しようと自由なので否定も肯定もしないでおく。
「今の時間なら名前を挙げた連中も仕事をしているはずだ。すぐにでも行動に移したい。大丈夫か?」
「いけるか、コユキ?」
「だいじょぶ!」
「だそうだ」
「よし、じゃあ行こう!」
サンジェルが警備隊のメンバーの中から腕利きを数人選ぶ。
「こいつらも連れて行ってほしい。小さいが腕はいい」
「これに入ってください」
「カバン?」
「抱えて移動するのも大変だからカバンに入って運んでもらってたんです」
「頭いいな」
「ただ気をつけてください。乗り心地は良くないので」
カバンの中ってやつは予想よりも揺れる。
ちょっとした移動だけだったのにかなり大変だった。
この世界に来て、馬車以外で乗り物酔いを警戒することになるとは思いもしない。
「それなんだけどさ、中に布でも入れたらどうかな?」
「ね……流石にそのままじゃ辛いかな」
ラストがアイデアを出す。
揺れるのは仕方ないが、多少衝撃対策しないと長距離を移動した時にカバンの中が地獄絵図になる。
布でも入れておけば少しマシになるのではと思った。
「そうしてみるか」
適当に家にあった布を詰めてみんなでカバンに乗り込む。
「ガバッド……」
「俺は聞いたんだよ。あの野郎が俺は人を支配する方法を見つけたんだって言ってるのをよ!」
サンジェルの警備隊の仲間であるガバッドが怒りをあらわにしながら犯人の予想を口にした。
「いやいや、冒険者ギルドのホルドだろ。あいつ借金抱えてるが、返す当てだか返さなくてもいい当てだかがあるってまた借金増やしてただろ。少し前にゃなんだっけ……魔石横領なんて噂もあったろ?」
「ろくでなしのカイーダだって怪しいぞ。両親が亡くなってから様子がおかしかったが、失踪者のことをあざけて笑っていたしな」
「肉屋のコーディーも……」
何人かみんなが思う犯人の名前が挙がる。
けれどもどいつもこいつも小物も小物。
こんな町一つ呪いに落とせそうな人はいない。
三代やってる肉屋が呪術師なんて話ありえない。
呪いの技術は今は廃れてしまっていて、ほとんどの人が知らないものである。
技術的には他に漏洩することを恐れての一子相伝で技術が伝えられるらしく、そのことも廃れた理由である。
名前が口に出された人の多くが、その町に古くから住んでいる人だ。
怪しいよそ者もいない。
呪いなんてとても関係なさそうだ。
「おいっ! みんなしてどうした! 憶測だけで人を犯人に仕立て上げても解決なんかしないぞ!」
人間性に問題があり、ここにいないからと怪しいとされる。
それでは正しい判断とは言えない。
サンジェルがみんなをたしなめる。
全員何も分からずどうしようもない状況に苛立っていて、当たるところが欲しかったのだ。
「しかしこの子はどうして小さくならないのだ?」
サンジェルがコユキを見上げた。
元の大きさからするとまだ小さい子供だが、今の大きさからするとコユキは巨人に見える。
リュードたちと同時に町に入り、同じ時間を過ごしたはずなのになぜ何ともないのかサンジェルには疑問だった。
「どうやら神聖力がある者には呪いは効きにくいようです」
「ほう? じゃあこの子は聖職者なのかい?」
「そうです。聖者のタマゴです」
「そりゃすごいな! 聖者なんて早々お目にかかれるもんじゃないぞ」
「むん!」
コユキが誇らしげに胸を張る。
今後魔力を得られる可能性がないとは言えないけど、現在神聖力しか扱えずその神聖力も強大である。
ただし特定宗教に属しているわけじゃないのでどこの聖者と言っていいか不明だ。
ニャロに教えを受けたしケーフィス絡みで生まれたのだから、望めばケーフィス教から聖者として認定されることだろう。
だから聖者のタマゴである。
「もう今更な話だけどシューナリュードさん……このことにご協力いただけませんか?」
「もちろんです。こうなったらなんとかするしかありませんもんね」
「ありがとう。先ほど挙がった名前だが実はそう外れたものでもないんだ」
「そうなんですか?」
「先ほど名前が挙がった連中は未だに失踪や入れ替わりをしていない連中なのだ」
ただ押し付けのように犯人だと批判していたのでもない。
この場にいない人は多い。
当然いなくても入れ替わっている人はいる。
町の人全員の調査なんて到底不可能なので全容は分かっていないが、先ほど名前の出た人は明らかに入れ替わっていないのだ。
「もしかしたらこれから小人化して入れ替わるかもしれないしそいつらを監視したり調べたいんだ。それには大きな問題があってな……」
「問題?」
「監視はいいんだが家なんかを調査したいんだけど、俺たちじゃドアノブにすら手が届かない」
「なるほど」
外から監視するだけでは限界がある。
何かやるなら家の中でやるのだろうけど、家の中に入ることすら出来ない。
家の中にさえ入れれば小さいので隠れて監視することもできるのだけどそれが難しい
都合よく壁に穴でも空いてれば入るけど、普通の家に穴は空いていない。
色々試してみたものの人が小さくなっただけで、身の回りにある物のサイズは変わらない。
道具の入手すらままならないのだ。
どこで見られているかも分からないから変な痕跡も残せない。
手詰まり感があったところに現れたのが子供であるが通常サイズのコユキだ。
ドアノブにも手が届くし、小人では手が届かないものも取れる。
「コユキが救世主ってことだな」
「任せてパパ」
「パパぁ? お前さん、若そうなのにこんな年頃の娘が……まあ今話すことじゃないか」
リュードもコユキに関する説明をいちいちするのは面倒。
どう脳内で処理しようと自由なので否定も肯定もしないでおく。
「今の時間なら名前を挙げた連中も仕事をしているはずだ。すぐにでも行動に移したい。大丈夫か?」
「いけるか、コユキ?」
「だいじょぶ!」
「だそうだ」
「よし、じゃあ行こう!」
サンジェルが警備隊のメンバーの中から腕利きを数人選ぶ。
「こいつらも連れて行ってほしい。小さいが腕はいい」
「これに入ってください」
「カバン?」
「抱えて移動するのも大変だからカバンに入って運んでもらってたんです」
「頭いいな」
「ただ気をつけてください。乗り心地は良くないので」
カバンの中ってやつは予想よりも揺れる。
ちょっとした移動だけだったのにかなり大変だった。
この世界に来て、馬車以外で乗り物酔いを警戒することになるとは思いもしない。
「それなんだけどさ、中に布でも入れたらどうかな?」
「ね……流石にそのままじゃ辛いかな」
ラストがアイデアを出す。
揺れるのは仕方ないが、多少衝撃対策しないと長距離を移動した時にカバンの中が地獄絵図になる。
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