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第一章
肉体派大主教、肉体派大主教の弟子2
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教会と一口に言ってもさまざまな派閥がある。
マリアベルやハニアスが所属する派閥は肉体派というものになる。
派閥としてはかなり特殊なもので健全な信仰は健全な肉体からという教えに基づき、体を鍛えて健やかな肉体を得ることで信仰を全うするのである。
マリアベルはその筆頭であった。
中々面白い派閥でテシアも肉体派である。
他の肉体派の神官なんかにも会ったことがあるのだけど体を鍛えるという派閥のせいなのか明るく快活な人が多い。
「ちょっとそこまで。ついでに帰りに甘いものでも食べましょう」
そんな肉体派だから無表情なことが多いハニアスは珍しいと思うのである。
しかしここ2、3日でテシアがようやくハニアスが感情を表す時を見つけた。
甘い物を食べる時ハニアスはちょっと目を細めて嬉しそうにするのだ。
テシアの誘いにもハニアスは目を細めていた。
教会を出たテシアにハニアスは無言でついてくる。
皇女だった時は毎日お淑やかにドレスを着て生活していたが今はパンツスタイルで活動している。
ドレスも嫌いではないがパンツスタイルだと動きやすくていい。
「ビノシ商会……お買い物ですか?」
「そんな感じね」
ハニアスが利用したことはない商会だが、最近活発に活動して他の国にも支店を置いたりしている新進気鋭の商会なことは知っていた。
買い物がしたいのなら教会と提携していて割り引いてくれるところもあるのになぜだろうとハニアスは思った。
「……あ、いらっしゃいませ」
入ってきたテシアに若い店員は頬を赤らめて少しぼんやりと見つめてしまった。
この辺りではあまり見かけないような品のある女性に見惚れてしまったのだ。
「ええと、何かお探しでしょうか?」
「支店長はいらっしゃいますか?」
「支店長ですか? ええと……なんのご用事で?」
いきなり女性が訪ねてきたからとすぐに支店長を呼ぶわけにはいかない。
困惑するように若い店員が返すとテシアは笑って懐から黒いコインを取り出した。
指で弾いて投げ渡すと若い店員は慌てたようにそれを受け取る。
「いいから支店長を呼んでください」
「商会の紋章……わ、分かりました!」
若い店員はそのコインの意味を理解していない。
けれど紹介の紋章が入ったコインには何かの意味があるはずで、それを渡したということは支店長に見せろということだと思った。
「あれは?」
「私の秘密の一つ」
テシアはニッコリと笑ってみせる。
ハニアスは少し眉を動かしただけですぐに視線を前に戻した。
表情を変えさせたいのならもうちょっとインパクトが強くなきゃいけないなとテシアは思った。
「あらあら……」
騒がしく何かが倒れるような音がした。
程なくして中年ぐらいのおじさん支店長が慌てたようにテシアの前に走ってきた。
「黒いコインの貴人……ご配慮が無く申し訳ございません! お前! 早くお茶を用意しろ! 1番良いやつだ!」
少し青白くなった顔で若い店員に指示を飛ばし、支店長はテシアを中に招き入れる。
表情こそ変わらないがハニアスの頭にハテナマークが浮かんでいるのが見えるようだった。
「改めまして、ミシタンのビノシ商会支部長をさせていただいておりますジーダムと申します。黒いコインの貴人にお会いできたこと光栄でございます」
ジーダムは来客用のソファーに座ったテシアに深々と頭を下げた。
「こちらお返しいたします」
丁寧に黒いコインを返してジーダムはそのままテシアの横に立ち続ける。
「どうぞお座りなさってください」
「失礼いたします」
気持ちは察するが横に立たれていては落ち着かない。
テシアに促されてジーダムはようやく席についた。
「それで今日はどのようなご用事で?」
テシアの隣にはハニアスが座っているけれどハニアスでなければ困惑が顔に出過ぎていたことだろう。
「旅に出ようと思うので旅費を少しばかりいただければと思いまして」
流石にハニアスの目が大きく見開かれた。
商人にお金をよこせなど命をくれと言っているようなものである。
特に対価を差し出すでもない。
さらには目的も旅費だなんてとんでもない要求である。
「ええ、おいくらでも持っていってください。必要ならば預けているお金も引き出して参りますが」
「そこまで必要ありません。今はゲレンネルに向かおうと思っています」
「ゲレンネル……少々お待ちください」
ジーダムは膝に手をついて立ち上がると自分の仕事用のデスクの横にある棚の引き戸を開けた。
その中から取り出した物をテシアの前のテーブルに広げる。
それは地図であった。
「ゲレンネルは……こちらですね」
ジーダムが地図上のにあるゲレンネルの文字を指差した。
「真っ直ぐに向かわれるのですか?」
「いいえ、途中途中寄り道でもするつもりです」
「ふぅーむ……ならば多少は余裕は必要。他に支部があるのは……こことここ……それにここ。1番近いのはキャーカンですかね。そこまで余裕を持って旅ができるだけの旅費をお支払いいたしましょう」
「話が早くて助かります」
「今すぐご用意いたします。他に必要なものはございますか?」
「あとは旅に必要なものと……頼んでいたものは?」
「連絡は受けております。あと1日か、2日ほどで届くかと思います」
ハニアスはテシアが一体なんの会話をしているのか分からなくなってきた。
ジーダムは無償でお金を払うと言って、テシアに対して親身に相談に乗っている。
黒いコインの貴人というのが何を指すものなのか気になって仕方がなかった。
けれど見た目は無表情である。
マリアベルやハニアスが所属する派閥は肉体派というものになる。
派閥としてはかなり特殊なもので健全な信仰は健全な肉体からという教えに基づき、体を鍛えて健やかな肉体を得ることで信仰を全うするのである。
マリアベルはその筆頭であった。
中々面白い派閥でテシアも肉体派である。
他の肉体派の神官なんかにも会ったことがあるのだけど体を鍛えるという派閥のせいなのか明るく快活な人が多い。
「ちょっとそこまで。ついでに帰りに甘いものでも食べましょう」
そんな肉体派だから無表情なことが多いハニアスは珍しいと思うのである。
しかしここ2、3日でテシアがようやくハニアスが感情を表す時を見つけた。
甘い物を食べる時ハニアスはちょっと目を細めて嬉しそうにするのだ。
テシアの誘いにもハニアスは目を細めていた。
教会を出たテシアにハニアスは無言でついてくる。
皇女だった時は毎日お淑やかにドレスを着て生活していたが今はパンツスタイルで活動している。
ドレスも嫌いではないがパンツスタイルだと動きやすくていい。
「ビノシ商会……お買い物ですか?」
「そんな感じね」
ハニアスが利用したことはない商会だが、最近活発に活動して他の国にも支店を置いたりしている新進気鋭の商会なことは知っていた。
買い物がしたいのなら教会と提携していて割り引いてくれるところもあるのになぜだろうとハニアスは思った。
「……あ、いらっしゃいませ」
入ってきたテシアに若い店員は頬を赤らめて少しぼんやりと見つめてしまった。
この辺りではあまり見かけないような品のある女性に見惚れてしまったのだ。
「ええと、何かお探しでしょうか?」
「支店長はいらっしゃいますか?」
「支店長ですか? ええと……なんのご用事で?」
いきなり女性が訪ねてきたからとすぐに支店長を呼ぶわけにはいかない。
困惑するように若い店員が返すとテシアは笑って懐から黒いコインを取り出した。
指で弾いて投げ渡すと若い店員は慌てたようにそれを受け取る。
「いいから支店長を呼んでください」
「商会の紋章……わ、分かりました!」
若い店員はそのコインの意味を理解していない。
けれど紹介の紋章が入ったコインには何かの意味があるはずで、それを渡したということは支店長に見せろということだと思った。
「あれは?」
「私の秘密の一つ」
テシアはニッコリと笑ってみせる。
ハニアスは少し眉を動かしただけですぐに視線を前に戻した。
表情を変えさせたいのならもうちょっとインパクトが強くなきゃいけないなとテシアは思った。
「あらあら……」
騒がしく何かが倒れるような音がした。
程なくして中年ぐらいのおじさん支店長が慌てたようにテシアの前に走ってきた。
「黒いコインの貴人……ご配慮が無く申し訳ございません! お前! 早くお茶を用意しろ! 1番良いやつだ!」
少し青白くなった顔で若い店員に指示を飛ばし、支店長はテシアを中に招き入れる。
表情こそ変わらないがハニアスの頭にハテナマークが浮かんでいるのが見えるようだった。
「改めまして、ミシタンのビノシ商会支部長をさせていただいておりますジーダムと申します。黒いコインの貴人にお会いできたこと光栄でございます」
ジーダムは来客用のソファーに座ったテシアに深々と頭を下げた。
「こちらお返しいたします」
丁寧に黒いコインを返してジーダムはそのままテシアの横に立ち続ける。
「どうぞお座りなさってください」
「失礼いたします」
気持ちは察するが横に立たれていては落ち着かない。
テシアに促されてジーダムはようやく席についた。
「それで今日はどのようなご用事で?」
テシアの隣にはハニアスが座っているけれどハニアスでなければ困惑が顔に出過ぎていたことだろう。
「旅に出ようと思うので旅費を少しばかりいただければと思いまして」
流石にハニアスの目が大きく見開かれた。
商人にお金をよこせなど命をくれと言っているようなものである。
特に対価を差し出すでもない。
さらには目的も旅費だなんてとんでもない要求である。
「ええ、おいくらでも持っていってください。必要ならば預けているお金も引き出して参りますが」
「そこまで必要ありません。今はゲレンネルに向かおうと思っています」
「ゲレンネル……少々お待ちください」
ジーダムは膝に手をついて立ち上がると自分の仕事用のデスクの横にある棚の引き戸を開けた。
その中から取り出した物をテシアの前のテーブルに広げる。
それは地図であった。
「ゲレンネルは……こちらですね」
ジーダムが地図上のにあるゲレンネルの文字を指差した。
「真っ直ぐに向かわれるのですか?」
「いいえ、途中途中寄り道でもするつもりです」
「ふぅーむ……ならば多少は余裕は必要。他に支部があるのは……こことここ……それにここ。1番近いのはキャーカンですかね。そこまで余裕を持って旅ができるだけの旅費をお支払いいたしましょう」
「話が早くて助かります」
「今すぐご用意いたします。他に必要なものはございますか?」
「あとは旅に必要なものと……頼んでいたものは?」
「連絡は受けております。あと1日か、2日ほどで届くかと思います」
ハニアスはテシアが一体なんの会話をしているのか分からなくなってきた。
ジーダムは無償でお金を払うと言って、テシアに対して親身に相談に乗っている。
黒いコインの貴人というのが何を指すものなのか気になって仕方がなかった。
けれど見た目は無表情である。
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