遊星君、力技で何でも解決(仮名)

ろた

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曲がらねぇだと?それでも俺は捻じ曲げる

【1】

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目を覚ますと目の前には長い布を体に巻き付けた羽の生えたおっさんがいた。
(変態だな)
「変態って酷いなぁ~
これでも神様なんだよ?」
(髪様だぁ?
生え際後退しかけのおっさんの癖に髪様名乗る資格あるのかよ?)
「本当に酷い!
それにその髪じゃないよ!
ゴッドだよ!」
(はいはい、分かったよ
それより話を進めろよ)
「君のせいで進まないのに…
おほん、亜久野あくの遊星ゆうせい君、君は死にました」
(知ってるよ
確か突っ込んで来たトラックに子供が、轢かれそうになったのを助けて、代わりに轢かれたんだよな)
「うん、実はね
僕がうっかり君の書類にコーヒーを零しちゃってさ
それで死んじゃったのさ」
(つまり、てめぇのせいだと?)
「うん、そうだよ」
(…何してくれてんだよ!)
「はははっ、ゴメンね
お詫びに異世界に転生させてあげるからさ
勿論、特典も付けるよ!
向こうは剣と魔法のファンタジー世界だからね
特典付けないと、すぐに死んじゃうからさ
とりあえず、君をベースに簡単に死なない頑丈な体を用意するよ
後は膨大な魔力もね」
おっさんがそう言うと、ふわふわしていた俺の感覚がハッキリしてきた。
「間違いがないか確認してみて?」
そう言っておっさんは俺に手鏡を差し出してくる。
俺は差し出して来た腕を掴み、捻っておっさんの背中を足蹴にした。
「ぬおおおおっ!!
遊星君!
イキナリ何すんの!?」
「うるせぇ!
人を勝手に殺しといて何すんのもねぇだろうが!?」
「アアアアッ!!
それ以上腕は曲がらないよ!!」
「それを捻じ曲げるのが俺だ」
「ぎゃあああっ!!」
おっさんの腕を捻じ曲げたまま鏡を覗き込むと、生前と変わらないままの俺の顔があった。
黒髪黒目の目付きの悪そうな顔だ。
体は細身で筋肉質、生前は喧嘩の毎日だった。
最近じゃなりを潜めて大人しくしていたが、体はしっかりと鍛えていた。
「ゆ、遊星君?
そろそろ放してくれないかな?」
「おーけー、とりあえずこの邪魔な羽根毟ってからな」
「オーノー…」
おっさんの羽根はしっかりと毟ってやりました。

「それじゃあ、もう送るよ」
おっさんは涙目で腕と毟られた羽を撫でながらそう言った。
(おっさんの涙目とか誰も喜ばねぇよ)
「君は最後まで変わらないねぇ
それじゃあ、僕も神様らしく、君の新たな人生に幸多からん事を…」
おっさんが手を振ると、俺の足元に大きな穴が現れた。
俺は落ちて行く中、おっさんを指差し叫んだ。
「こんのクソオヤジ!!
次会った時は、羽根全部毟り取ってやるからな!!」
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