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仮想

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 21世紀末、意識をデータとして扱い、それらを通信で転送する技術が世界を変えた。
その技術は日本が率先して実用化まで落とし込み、リリースされたサービス「Core」は市場を席巻した。今や幼稚園児から高齢者まで広い世代にユーザーがおり、現実世界と対となす仮想世界としてまさにもうひとつの世界が生まれた。従来のメタバースやVRと異なり、意識をデータとして抜き出しサーバーへ転送するため、没入感は比べるまでもなく、その感覚は現実世界との誤差はほとんど感じられない。たまに自分がどちらの世界にいるのかわからなくなるほどだ。

 「Core」リリース当初は懐疑的な印象を持つ人々も少なくはなくはなかったが、接続デバイスの販売価格も下がり、数々の有名企業がCore環境にオフィスをかまえるようになることで、着々と人々の意識も変化した。今では世界中のユーザーが最も利用するサービスとなり、「世界から国境が消えた」とまで言われるようになった。

 しかし、人々はもうひとつの世界を手に入れると同時に、闇の部分にまで自由を与える結果となった。技術の発達、サービスの拡大といったパラダイムシフトに法整備が追いつかず、政府与党内でも長らく停滞してきた経済の起爆剤としてCoreにある程度の自由を与え、民間企業主体での事業展開を支持することで経済の発展につなげようとする推進派と、政府主体性でサービスを規制し、法での統治を強く主張する慎重派が日々議論を戦わせ、各派閥における利権も絡み、結果的に法整備は進んでいない。まさに「会議は踊る、されど進まず」を体現している。
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