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信じてます
しおりを挟む弦人が車に戻ると、市原はすぐにドアを開けた。
「お疲れ様です。終わりましたか」
「うん、ハナちゃんは?」
「寝ております。大イビキをかいて」
「よかった。安心したんだね」
弦人はそう言って、後部座席に座り、隣で分厚い毛布に包まされて寝ているハナを見つめた。
「社長、シャツが破れているようですが……」
「あ、ちょっと投げ飛ばしたら何かビリっていっちゃったみたい」
「もう、着替え無いですよ」
市原がため息をついた。
「社長が帰ってきたら起こすように言われてるので」
そう言って市原がハナを起こそうとするのを、弦人は慌てて止めた。
「いいよお、せっかく熟睡してるのに。寝せてあげて」
「絶対起こしてね、と言われていますので」
そう言って、市原はハナの頬を軽く叩いた。
ハナは、うーん、と小さく伸びると、ゆっくりと目を開いた。
「あ、弦人さん。おかえりなさい」
「ただいま、ハナちゃん」
弦人はへニャリと笑った。
寝起きでぼーっとしていたハナは、弦人の様子を見ると、ガバっと起き上がった。
「げ、弦人さん!服そんなに破れて……そんなに壮絶な戦いをしてきたんですか!?怪我はないですか!?」
「いや、その。ちょっと大きく動いたらビリっていっただけだよ」
ハナの勢いに、弦人は慌てて言った。
「よかった」
ハナはホッとしたように言った。
「弦人さん、ありがとう、助けてくれて。あと、我儘聞いてくれてありがとう。それを言いたかった」
「もう大丈夫。全部終わったよ。帰ろう」
弦人はそう言って、ハナを抱き寄せた。
「こんな怖い世界だけど、もう怖い目には合わせないから」
ハナは弦人の入れ墨にそっと触れて頭を寄せた。
「大丈夫。だって怖い目にあっても弦人さんが助けてくれる。信じてます」
ハナの言葉に、弦人は目を丸くして、思わず噛みつくようなキスをした。
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