お花畑な人達には付き合いきれません!

ハク

文字の大きさ
2 / 6

2話

しおりを挟む
「大体、魔法も使えぬ貴様が王太妃になるなど有り得ぬ事だ!それに比べてカトリーヌは光魔法が使える。」

無言でいるシャーロットを見て何も言い返せないでいるとでも思ったのか、パトリックは嘲笑う。

光魔法は傷や病を治す力があり、使える人が少なく、この国でも貴重な存在だ。

光魔法が使える人はEクラスにいないと思うのですがね。
恐らく、それを上回る残念な頭の持ち主か、光魔法でかすり傷を治す程の能力しか持ち合わせてないかのどちらかなでしょう。

それに、私はだけで魔力が無い訳では無い。

「おい!さっきから黙ってないで何か言ったらどうなんだ!」

私にはこんな茶番付き合っている暇はない。
この国で1番の嫁ぎ先に婚約破棄をされたのです。到底他に嫁ぎ先が見つかるとは思えません。父親には政治の駒としか見られていない私はきっと娼館にでも捨てられることでしょう。そうなる前に逃げなければなりません。
そうとなれば一刻も早くここから立ち去らねば。

「では、先程の婚約破棄の件は承りました。この事を報告しなければなりませんので失礼しますわ。」

そう言ってお手本のようなカーテシーをし、会場を後にしようとしたが、

「待ってください!」

ここで初めてカトリーヌが声を発す。

「まだ、いじめの件、謝ってもらってません!謝ってください!」

必死になにかに耐えるよう、両手でスカートを握りしめ、涙を堪えながらシャーロットを呼び止める。

「そういえばまだ聞いていないな。カトリーヌをいじめた罪は重いぞ。ここで土下座でもすれば許してやろう。」

何を言ってらっしゃるのでしょうこのバカ王子は。

シャーロットが言葉を発する前に遮られる。

「シャルが謝る必要はありませんよ。」

彼はいつの間にかシャーロットの後ろに立っていた。

「僕が公務で抜けている間にやってくれましたねパトリック」

そう言って、祭壇の上にいるパトリック達を睨みつける。その声はどこまでも冷たく、心の芯まで凍ってしまいそうだ。

「何故だエドウィン!そいつは然るべき罰を受けるべきだろう!」

エドウィンと言われた金髪碧眼な青年はこの国の第2王子でパトリックの双子の弟である。

「しても無いことを罰すると?」

「こちらには証拠があるんだぞ!」

エドウィンは自信満々なパトリックに対して軽蔑の眼差しを向ける。

「その証拠とやらを見せていただけませんか?」

「いいだろう。」

パトリックから渡された紙の束をしばらく見つめ、

ボッ!
燃やされた紙の束はただの塵と化す。

「こんなもの証拠にはなりませんね。」

「貴様何をする!」

「そもそも、犯行時刻である昼休みは貴方が放ったらかしにしていた生徒会の仕事を手伝っていたので無理ですね。放課後も王城にいるので不可能です。それに、目撃者は皆同じ。偽造するならもっとまともなことを書いてくださいよ。」

「いいえ!確かに私は彼女にいじめられました!信じて下さい!」

涙を流し必死に訴えるカトリーヌ。

「はっ、淑女たるものそんな大声を出すものではありません。それにそれでは、自分の身も守れぬ弱者と公言しているようなものですよ。」

エドウィンの言っている強さとは物理的なものではなく精神的な強さのことだ。

「カトリーヌはそいつと違ってか弱いんだ!」

「シャルの強さは努力の賜物ですよ。それを侮辱するものは誰であろうと許しません。」


本人であるシャーロットとカトリーヌを置いて王子達の言い争いが始まる。

そろそろ帰ってもよろしいでしょうか?




ーーーー

すみません区切るタイミングが分からなかったので一旦ここで切りますm(_ _)m
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

嘘からこうして婚約破棄は成された

桜梅花 空木
恋愛
自分だったらこうするなぁと。

婚約破棄を伝えられて居るのは帝国の皇女様ですが…国は大丈夫でしょうか【完結】

恋愛
卒業式の最中、王子が隣国皇帝陛下の娘で有る皇女に婚約破棄を突き付けると言う、前代未聞の所業が行われ阿鼻叫喚の事態に陥り、卒業式どころでは無くなる事から物語は始まる。 果たして王子の国は無事に国を維持できるのか?

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

人生の全てを捨てた王太子妃

八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。 傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。 だけど本当は・・・ 受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。 ※※※幸せな話とは言い難いです※※※ タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。 ※本編六話+番外編六話の全十二話。 ※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...