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2話
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「大体、魔法も使えぬ貴様が王太妃になるなど有り得ぬ事だ!それに比べてカトリーヌは光魔法が使える。」
無言でいるシャーロットを見て何も言い返せないでいるとでも思ったのか、パトリックは嘲笑う。
光魔法は傷や病を治す力があり、使える人が少なく、この国でも貴重な存在だ。
光魔法が使える人はEクラスにいないと思うのですがね。
恐らく、それを上回る残念な頭の持ち主か、光魔法でかすり傷を治す程の能力しか持ち合わせてないかのどちらかなでしょう。
それに、私は体内に魔力が無いだけで魔力が無い訳では無い。
「おい!さっきから黙ってないで何か言ったらどうなんだ!」
私にはこんな茶番付き合っている暇はない。
この国で1番の嫁ぎ先に婚約破棄をされたのです。到底他に嫁ぎ先が見つかるとは思えません。父親には政治の駒としか見られていない私はきっと娼館にでも捨てられることでしょう。そうなる前に逃げなければなりません。
そうとなれば一刻も早くここから立ち去らねば。
「では、先程の婚約破棄の件は承りました。この事を報告しなければなりませんので失礼しますわ。」
そう言ってお手本のようなカーテシーをし、会場を後にしようとしたが、
「待ってください!」
ここで初めてカトリーヌが声を発す。
「まだ、いじめの件、謝ってもらってません!謝ってください!」
必死になにかに耐えるよう、両手でスカートを握りしめ、涙を堪えながらシャーロットを呼び止める。
「そういえばまだ聞いていないな。カトリーヌをいじめた罪は重いぞ。ここで土下座でもすれば許してやろう。」
何を言ってらっしゃるのでしょうこのバカ王子は。
シャーロットが言葉を発する前に遮られる。
「シャルが謝る必要はありませんよ。」
彼はいつの間にかシャーロットの後ろに立っていた。
「僕が公務で抜けている間にやってくれましたねパトリック」
そう言って、祭壇の上にいるパトリック達を睨みつける。その声はどこまでも冷たく、心の芯まで凍ってしまいそうだ。
「何故だエドウィン!そいつは然るべき罰を受けるべきだろう!」
エドウィンと言われた金髪碧眼な青年はこの国の第2王子でパトリックの双子の弟である。
「しても無いことを罰すると?」
「こちらには証拠があるんだぞ!」
エドウィンは自信満々なパトリックに対して軽蔑の眼差しを向ける。
「その証拠とやらを見せていただけませんか?」
「いいだろう。」
パトリックから渡された紙の束をしばらく見つめ、
ボッ!
燃やされた紙の束はただの塵と化す。
「こんなもの証拠にはなりませんね。」
「貴様何をする!」
「そもそも、犯行時刻である昼休みは貴方が放ったらかしにしていた生徒会の仕事を手伝っていたので無理ですね。放課後も王城にいるので不可能です。それに、目撃者は皆同じ。偽造するならもっとまともなことを書いてくださいよ。」
「いいえ!確かに私は彼女にいじめられました!信じて下さい!」
涙を流し必死に訴えるカトリーヌ。
「はっ、淑女たるものそんな大声を出すものではありません。それにそれでは、自分の身も守れぬ弱者と公言しているようなものですよ。」
エドウィンの言っている強さとは物理的なものではなく精神的な強さのことだ。
「カトリーヌはそいつと違ってか弱いんだ!」
「シャルの強さは努力の賜物ですよ。それを侮辱するものは誰であろうと許しません。」
本人であるシャーロットとカトリーヌを置いて王子達の言い争いが始まる。
そろそろ帰ってもよろしいでしょうか?
ーーーー
すみません区切るタイミングが分からなかったので一旦ここで切りますm(_ _)m
無言でいるシャーロットを見て何も言い返せないでいるとでも思ったのか、パトリックは嘲笑う。
光魔法は傷や病を治す力があり、使える人が少なく、この国でも貴重な存在だ。
光魔法が使える人はEクラスにいないと思うのですがね。
恐らく、それを上回る残念な頭の持ち主か、光魔法でかすり傷を治す程の能力しか持ち合わせてないかのどちらかなでしょう。
それに、私は体内に魔力が無いだけで魔力が無い訳では無い。
「おい!さっきから黙ってないで何か言ったらどうなんだ!」
私にはこんな茶番付き合っている暇はない。
この国で1番の嫁ぎ先に婚約破棄をされたのです。到底他に嫁ぎ先が見つかるとは思えません。父親には政治の駒としか見られていない私はきっと娼館にでも捨てられることでしょう。そうなる前に逃げなければなりません。
そうとなれば一刻も早くここから立ち去らねば。
「では、先程の婚約破棄の件は承りました。この事を報告しなければなりませんので失礼しますわ。」
そう言ってお手本のようなカーテシーをし、会場を後にしようとしたが、
「待ってください!」
ここで初めてカトリーヌが声を発す。
「まだ、いじめの件、謝ってもらってません!謝ってください!」
必死になにかに耐えるよう、両手でスカートを握りしめ、涙を堪えながらシャーロットを呼び止める。
「そういえばまだ聞いていないな。カトリーヌをいじめた罪は重いぞ。ここで土下座でもすれば許してやろう。」
何を言ってらっしゃるのでしょうこのバカ王子は。
シャーロットが言葉を発する前に遮られる。
「シャルが謝る必要はありませんよ。」
彼はいつの間にかシャーロットの後ろに立っていた。
「僕が公務で抜けている間にやってくれましたねパトリック」
そう言って、祭壇の上にいるパトリック達を睨みつける。その声はどこまでも冷たく、心の芯まで凍ってしまいそうだ。
「何故だエドウィン!そいつは然るべき罰を受けるべきだろう!」
エドウィンと言われた金髪碧眼な青年はこの国の第2王子でパトリックの双子の弟である。
「しても無いことを罰すると?」
「こちらには証拠があるんだぞ!」
エドウィンは自信満々なパトリックに対して軽蔑の眼差しを向ける。
「その証拠とやらを見せていただけませんか?」
「いいだろう。」
パトリックから渡された紙の束をしばらく見つめ、
ボッ!
燃やされた紙の束はただの塵と化す。
「こんなもの証拠にはなりませんね。」
「貴様何をする!」
「そもそも、犯行時刻である昼休みは貴方が放ったらかしにしていた生徒会の仕事を手伝っていたので無理ですね。放課後も王城にいるので不可能です。それに、目撃者は皆同じ。偽造するならもっとまともなことを書いてくださいよ。」
「いいえ!確かに私は彼女にいじめられました!信じて下さい!」
涙を流し必死に訴えるカトリーヌ。
「はっ、淑女たるものそんな大声を出すものではありません。それにそれでは、自分の身も守れぬ弱者と公言しているようなものですよ。」
エドウィンの言っている強さとは物理的なものではなく精神的な強さのことだ。
「カトリーヌはそいつと違ってか弱いんだ!」
「シャルの強さは努力の賜物ですよ。それを侮辱するものは誰であろうと許しません。」
本人であるシャーロットとカトリーヌを置いて王子達の言い争いが始まる。
そろそろ帰ってもよろしいでしょうか?
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すみません区切るタイミングが分からなかったので一旦ここで切りますm(_ _)m
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