【完結済】龍人に救われた女子高生が、前提条件の違う異世界で暮らしていくには

天知 カナイ

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105 条件

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「条件?」
マヒロは椅子から立ち上がった姿勢のまま、ハルタカの顔を見つめた。ハルタカは自分も椅子から立ち上がり、机を回ってマヒロの傍までやってきた。マヒロの肩に手を置いて正面から向き合うように身体の向きを変えられる。
マヒロの顔の前に顔が来るようにハルタカが少しかがんだ。そして熱のこもった目でマヒロを見つめながら言った。

「龍鱗が出ずとも、マヒロと繋がりたい。身も心もお前と共にあると感じたい。‥無理にとは言えないが‥繋がってからなら、まだ私は‥お前を送り出すことが、できるかもしれない」

つながる‥‥。
身も心も?

マヒロは、身体の内からカーッと熱が広がるのを感じた。顔も熱くなってきて、多分今自分の耳の先まで赤いだろうことがわかる。
性交したい、と言われている。
いや、覚悟はしていた、していたのだが、龍鱗を取り上げられたからそういうことはかなり先になるかな、となんとなく思っていただけにこの不意打ちは‥‥いたたまれない。恥ずかしい。
ここでうんと言えば、何だかマヒロから誘っている感じにならないだろうか?そもそも、こんなことはこんな明るいところで意思確認して行うものなのだろうか?なんか‥こう、流れで!流れと雰囲気で持っていかれるものではないのか?

それで、子どもできちゃったらどうする?‥‥あ、この世界確かそれではできない仕様だった‥。そう言えば生理もずっと来てないから、ここではもうそういう機能が必要ないんだろうな。何だっけ、どこかで何か手続きして、何かもらってから子どもができるんだったっけ‥?。だとしたら子どもが欲しい時はどっかに行かなきゃなのか。‥‥龍人タツトって長生きみたいだけどどのタイミングで子どもを持ちたいとか思うのかな。あれ、そもそもハルタカって子ども欲しいんだろうか?
いや自分もまだまだ子どもみたいなもんだから今すぐにどうこうしたいは思ってないけど、でも
「マヒロ」

ハルタカに呼びかけられてびくっと身体が震えた。思わずどんどん違うことに考えが広がって黙り込んでしまっていた。マヒロの方に両手を置いて見つめたまま、不安げなハルタカの美しい顔がマヒロの目を覗き込んでいた。
「やはり‥まだ、怖いか‥?」
ハルタカはそう言って右手でそっとマヒロの頬を撫でた。そこからまた熱が上がるのを感じる。‥ヨシ、私も女だ、ここは一発パシッと決めなければ!
ンンッ、と意味もなく咳払いをして、ドキドキする胸を押さえながらマヒロは一度唾を飲み込んで言った。

「うん、わかった。そう、する」

マヒロの返事を聞いたハルタカは、思わずマヒロから少し身体を離して目を大きく見開いた。見る見るうちに、今まで見たことのないような笑顔になる。そして幾分乱暴にぎゅっと抱きしめられた。
「ああ、マヒロ、マヒロ!‥ありがとう、嬉しい‥愛している、マヒロ、嬉しい」
そう言ってマヒロの頭のてっぺんにぐりぐりと顔をすりつける。ハルタカの大きな身体に抱き込まれて、マヒロはまた自分の身体が熱くなるのを感じた。恥ずかしい、けどここまでハルタカが喜んでくれているのは、嬉しい。
‥‥あれ、これって、まさか‥今から‥?それとも後日、日を改めて?‥‥やだそういうの確認したくないんだけどどうすればいい?
いやもうこれは、これ以上自分からは発信せずハルタカに任せるしかない!だって恥ずかしい!‥そう思って、マヒロはそっとハルタカのがっしりした胴に腕を回してしがみついた。
すると、ハルタカは一瞬頭をすり寄せるのをやめて止まった。ん?と思っているといきなりがばっと横抱きにされてマヒロは驚いた。
「行こう」
ハルタカは短くそう言って寝台のある部屋に向かって歩き出す。‥‥寝台のある部屋に向かってる?待って待ってまさかのやっぱりたった今?!

「えっ、あの、ハルタカ」
「マヒロが怖くないように努める、私も初めてではあるが知識はある」
‥‥ハルタカ、三百年以上生きてるけど未経験だったんだ‥いやいや違うそういう事ではなくて。
「いや、あの、今から?」
「‥‥ダメなのか?」
赤く上気していた顔が急にしゅんとなる。ずるい、その顔はずるい。
「いやその、えっと、せめてお風呂に入りたいです!」
「よしわかった。私がマヒロを洗ってやろう」
「それは絶対に嫌!」
強いマヒロの拒絶にハルタカは衝撃を受け唇を震わせていたが、マヒロはそれを無視して身体をよじりハルタカの腕から抜け出した。



きれいに洗った、つもりの身体で部屋に入る。ハルタカはゆったりとした寝間着に着替えて寝台に座って待っていた。
なんか、いかにもな格好だけど、それでもカッコイイの腹立つな‥
マヒロはそう思いながらも、ゆっくりと近づいていった。
しかし最後の勇気が出ずに、ハルタカのいる寝台から二、三歩離れたところで立ち止まった。そこから先に進めない。
立ち尽くすマヒロを見て、ハルタカはふっと小さく笑うと立ち上がり、腕を差し出しマヒロのそれを掴むとぐいっと引き寄せた。ハルタカの大きな身体の中にマヒロがすっぽりと包まれる。
「マヒロ、まだ怖いのか?」
マヒロはそう訊かれて小さくかぶりを振った。
「ううん、あの、なんか恥ずかしいだけ‥」
そう何とか呟いたマヒロの身体をハルタカは一度軽く抱きしめると、唇に触れるだけの口づけをした。
そしてマヒロの顔を正面から見つめる。
「愛している、マヒロ。嫌なことも怖いこともしない。だから」
そう言ってハルタカは、今度はマヒロの首筋に口づけた。
「私に、身を任せてくれ」


柔らかな、優しい睦み合いだった。
激しいことも、痛いこともなく、緩やかな心地よさがずっと続くような。
多幸感で身体が満たされ、涙が出てしまうような。
そんな、愛情の交歓が二人の身体を満たしていく。
そういう睦み合いだった。
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