【思案中】物見の塔の小少女パテマ 〜魔道具師パティのギルド生活〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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「簡単におさらいするよ」
「はいっ」
 マナについて学び、魔物の核について教わった。
 そして核から取り出された血を『マテリア』や『マテリア水』と呼ぶのだとパティは言う。
 一般的に認知はされておらず、巷に出回っているポーションにもこれが使われているのだが、知っているのは一部の魔道具師のみらしい。
 なぜかと言うと、マテリアの採取自体が難しいことや、合成を間違えれば普通に毒薬となることから、あえてマテリアの存在は隠しているのだそうだ。
「ぼ、僕なんかに教えちゃっても大丈夫なんですか?」
「心配しなくても、マナを感じ取れる奴なら誰だってポーションと毒薬の見分けくらいつく。
 あとはその感覚に慣れる必要はあるけどな」
 マナを感じるというだけで、それほど信頼されるべきことなのだろうか?
 この時はまだ、マナのことなど単に目に見えないエネルギーでしかないと考えていたシンだが、パティから教わるたびに少しづつ不安と疑問が湧いて出てくるのだった。

「マテリアは貴重だが、入手が難しいわけではない。
 単に採取の仕方を知らない者が多く、それ故に出回っていないだけだ。
 私たち魔道具師もおいそれと教えていいものじゃないからな。
 基本的には自分で採取するしか方法は無いわけだ」
 さらっととんでもないことを言うパティ。
 今の発言を素直に受け止めるのならば、このマテリアはパティが自身で採ってきたものだろう。
 しかも取り出す際に開け放たれた棚に目をやれば、そのマテリアの入った小瓶がズラリといくつも並んでいるではないか。

 少しずつパティの実力が気になりだすシン。
 小刀でもスライムくらいなら倒せるだろう。
 しかしその小柄な身体でどれほどの魔物と戦ってきたのだろうか?
 スライムだけでなく、もっと大きく凶暴な魔物だって容易に仕留められるのではないか?
 自身の身長より長く大きな大剣を振り回し、巨大なドラゴンの頭を首から切り離すパティ。
 そんな変な想像をして黙ってしまうシンに対し、パティは自慢げにマテリアについて語り続けていた。

「とまあ、武器にマナを付与するのが一般的ではあるが、マテリアを用いれば怪我の回復に役立つポーションが出来上がる。
 その回復効果たるや、すり潰した薬草の比ではない。
 ここに並べただけでも毒や痺れに効くもの、感覚を研ぎ澄ませ身体能力を強化するもの。
 はたまた、魔物に投げつけて内部爆発を引き起こすものなどがある」
 シンの前には十数本の小瓶が並び、シンにはそれぞれに違うマナを感じることができていた。
 一度に覚えることなどは全く期待していなかったパティだが、真剣に小瓶を見つめるシンを見てたまらなく嬉しい感情が込み上げてくる。
 これほどに素直でマナを学んでくれる者など、これまでにいただろうか?
 いつも変わり者扱いをして、怯えるか逃げるか不満を漏らすか……
 そんなことをパティが思っているなどとはつゆも知らず、ひたすらに知識を得ようとするシンの姿がそこにはあったのだった。
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