王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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【序章】転生

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「ん……ここは?」
 相馬は目を覚ます。

 植木鉢が頭上に落ちてきて、ものの見事に頭部を直撃したのだ。

 特に痛みはないし、頭を触れても包帯が巻かれている様子もない。

 白い部屋に白い天井。
 白すぎて、そこに本当に壁や天井があるのかも不安になるほどに、とにかく白い。

 特に点滴の管などが刺さっている様子もないし、打ちどころが良くて処置の必要も無いくらいだったのだろう。

「いやいや、君は死んだんだよ。
 お望みの力を得て転生したっていうのに、なんと呆気ない幕とじだろうね」

 白い空間で白い光から声が聞こえてきたのだ。
 しかし何のことを言っているのか、相馬には全く理解が出来なかった。

 転生だなんて、ラノベでしか聞いたことのない話だ。
 それを自らが既に一度体験していたようなことを言う。

 きっと夢なのだろうし、現実の自分は昏睡状態なのかもしれないとも思っていた。

「やっぱり転生なんてくだらないだろう?
 それでも君はまだ転生を望むのかい?」

 こんな空間で、こんなセリフを言うのは神なのだろうか?
 ともかく、また違った生き方ができるのなら迷わず『はい』だった。
 小さい頃から気味悪がられ、人気になってもテレビの影響で休まる暇もない。

 次の人生があるなら、記憶を受け継いでもらった方がいいだろう。
 今回が二度目だと言われても、全くそんな気にはなれないのだ。

「ふぅん……記憶をねぇ。
 でも生まれたすぐから記憶があるのは大変じゃないかい?」
「だったら5歳くらいで記憶を取り戻すくらいがいい。
 まぁそれまでに死んじゃったり、すでに悲惨な人生を送ってたら意味ないとは思うけどね」
「あははは。そんなことをするわけないじゃないか。
 君には期待しているんだよ。
 じゃあ、また人生の終焉で会おうじゃないかい」

 こうして相馬は新たな世界に転生した。
 しかし、転生した先が今と同じ地球だとは言っていなかった。
 そう。魔法のある世界でただ一人、魔法が使えないヒューマンが誕生した瞬間であったのだ。
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