王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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【一章】『魔法学園ジュエル』

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「あなた、今年から魔法学園に行きなさい。
 手続きならとうに済ませておいたから」
 話はいつも急であった。
 あれから数ヶ月、より詳しくマナの操作を試してみたのだが、どれも常識の範囲を超えているそうだ。
 そしてソーマはというと、そんな常識があまりわかっていない。

 マナを操作する能力は、前世でやっていたサイコキネシスの名残みたいなものだったし、知識もゲームと小説、そしてエーテル先生から学んだもののみである。

 イメージによってマナを操作して、魔法と同じような効果が出ないかとも試したが、それはまた別の力。

「でも、僕には魔法を使えませんけど」
「知ってるわよ。
 だけど、あなたは魔法に対する常識を学ぶ必要があるわ。
 それもあなた自身のために、よ」

 極力、力を使わずに生活をして暮らすように。
 他の人がどうやって魔法を学ぶのかを知り、何ができて何ができないのかを知るようにとエーテルは言う。
 そうでなければ、いずれ大勢の前でやらかして、身を破滅に導くだろうと。
 そんなことを真面目な表情で言っていた。

 入学金はどうしたのかと聞けば、誰かが作ったポーションと杖を幾つか売ったら、簡単に準備ができたそうだ。
 それもお釣りがくるくらいの金額になって、冷や汗が出るくらいだったとも言っていた。

 そうしてソーマは一人、王都まで乗合馬車で移動していたのだ。
「いくらなんでも昨日の今日で移動とか、急すぎるよ全く……」
 エーテルこそ常識を学ぶべきだ。
 5歳の少年一人を、すぐに馬車で送り出すとか普通考えられるか?
 常識的に考えて、僕はここで泣き叫んで暴れれば良いのか?

 などと考えながらも、ソーマは荷物の中に入れておいた杖を取り出して触っていた。
 本当に形だけで、ソーマには何も効果ももたらさない杖ではあるが、わざわざエーテルが用意をしてくれていた大事なものでもある。

「おや、杖を持っているということは、君はジュエルの入学生なのかい?」
 同じ馬車に乗っていた一人のおじさんが、声をかけてくる。
「あ、はい。
 成り行きでそうなっちゃったみたいです」
 余計なことは言わずに『そうです』とだけ言っておけば良いのだろうが、これはエーテルに対するちょっとした嫌味でもあったのだ。

「そうかそうか、いや私の孫も今年からそこの生徒になるんだよ。
 10歳だから、君とは歳は離れているだろうが、仲良くしてやってほしい」
 おじさんが教えてくれたのはガレットという名前とクリッとした目の愛らしさ。そして天真爛漫な性格。

 孫フィルターがかかっているということで、ソーマの中でガレットは無邪気、いや猪突猛進な性格ということにしておいた。
 まぁそんな話をしている間に日も暮れて、馬車は一際大きな街の中へと入っていった。
「私も子供たちに頼まれて今年から王都で暮らすことになってね。
 今度うちにも遊びに来てくれることを願っているよ」
「色々とお話しありがとうございました。
 おかげでこの街でもやっていけそうな気がします」
「君は本当に大人びてるねぇ。
 それとも、その歳で学園に入るのだから当然だったか、ふふふ……」
 
 馬車も離れ、乗っていた人々も散開していく。
 ソーマもまた、エーテルに紹介された者の元へ訪ねることにしたのだ。

 王都には、今までいた街とは比べ物にならないくらいの店が立ち並ぶ。
 日も暮れたというのに、街は明るく歩く者も多い。
 そして地図を頼りに歩くと、見慣れたギルドの看板。
 その建物の大きさも倍はある。

「ここが……ケノンさんの家?」
 たどり着いた場所は、住民街の端、一軒のボロく小さな……小屋であった。
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