王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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マナの操作

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「じゃあ何?
 爆発を引き起こして、その力を地面に向けて放ったってこと?」
 魔石が爆発することを、マナの暴発ファンブルと呼び、魔法使いはおろか、冒険者であれば誰でも知っている事故の一つとされている。

 そのくらいマナの詰まったものが魔石であり、扱い方を間違えれば今回のような爆発も起きたりするものだ。
 だが、故意に爆発を起こすなど聞いたこともない。

「いや、魔石を割るつもりは無かったんです。
 振り返ったらゴブリンがいて、驚いて尻餅をついちゃって」
 その時に手に持っていた魔石が石に当たっちゃったのだと言うソーマ。
 全体重が魔石にかかり、手には小さな傷を負っていた。

 そしてソーマは続ける。
「だから、なんか……ヤバいって思って。
 あとは、すっ転んでくれたゴブリンを倒さなきゃって感じでしたね」
 あはは、と剽軽に語るソーマには、嘘を言っている様子は感じられなかった。

 爆発を地面に向けて、などという技術は聞いたこともない。
 精霊を通さない純粋なファンブルは、威力は乏しくても、それはただの暴発なのだ。
 エーテルは二杯目のエールを注文し、肉を口に放り込む。

「その説明だと、魔法は使えないけど、魔法を操ることはできるって話よね?」
「あ、いや。わからないです。
 ……僕もあまり試したことはないですし」
「そう。じゃあちょっと買い物に行こうか」

 エーテルは最後の一切れを口に放り込み、二杯目をグイッと飲み干す。
 それに釣られてソーマもまた急いで食事を済ませた。

「杖の作り方は説明したわよね。
 ちゃんと覚えてる?」
 歩きながら、エーテルは久しぶりの授業のように語る。
「はい、魔石がファンブルを起こさない方法は二つ。
 一つ目は……」

 高温に溶かした鉱石の中に放り込むことで、魔石は暴発せずにその姿を変える。
 一定の温度を超え、なおかつ周囲に別の物質があるときに、マナごと溶け込む性質がわかっている。

 もう一つは、マナを全て外へ出してしまうこと。
 魔石そのままの場合、例えば液体に漬け込んで長時間放置することで、回復効果のあるポーションが完成する。
 これもファンブルを回避しながら魔石のマナを外部に取り出す一つの方法だ。

「そっか。
 魔石だけだとマナもほとんど操作できなかったけど、別のものと組み合わせればいいのか……」
「あのねぇ、そんなこと誰もできないのよ。
 私以外の前でそんなこと言ったら馬鹿にされるか、兵器として使うために連れていかれるわよ」

 エーテルはしれっと怖いことを言う。
 だが実際に場所を移したのもその為であり、周りに聞かれることを恐れていたのだ。
 ちなみにエーテルにも師匠がおり、その人はそういった危ない研究にも手を出しているのだと言っていた。

 そして、翌日には教師の依頼もあったのだが、それをエーテルは受けなかった。
 先約が入ったと言うが、その先約はもちろんソーマのことである。
 さすがのエーテルも、事実を知って別の生徒の前でそれを見せるわけにはいかないと思ったのであった……

【序章 転生】
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