15 / 51
それぞれの結果
しおりを挟む
「ティアラビットも狩れたし、今日は大収穫ね。
久しぶりに酒場で飲んじゃおうかしら」
エーテルは、いつも以上に上機嫌だった。
請け負っていたフランへの授業も無事終わり、金銭的にも余裕がある上にゴブリンの魔石は5つにウサギの肉。
それだけを日が昇るまでに済ませてしまえば、早めに帰りたくのもまた然り。
まだ草むしりをしている時間だろうと、エーテルは街の入り口を過ぎてなお歩く。
「やぁやぁ少年!
精が出てるねぇ……って感じでもないかな。
多分、剣の練習でもしてるだろうし」
エーテルが壁を見てみると、意外にも草の多くが根ごと地面に落ちている。
流石に背の届かない場所はそのままのようだが、割と真剣に仕事をしているものだと安心したエーテルであった。
……が、事はその瞬間起きたのだ。
『ズン……』という低く大きな衝撃音。
そして立ち上る土煙。
エーテルの頭には一つの答えがあった。
ソーマへの説明は多少端折っていたが、魔石に含まれるマナは強大で外に漏れれば当然外への影響はある。
それが、今回のような衝撃波だ。
「だ、大丈夫だとは思うけど……」
エーテルは急いでソーマの元へいく。
衝撃波が発生するといっても、魔法とは違ってちょっとばかり強風が吹き荒れる程度。
しかし腕の中で爆発したなら、皮膚が剥がれるくらいの衝撃はあるはずだ。
そう思うと、急がずにはいられない。
まだ5歳の少年が魔石の暴発など経験したら、無事でいられないどころか、今後の生活に影響を与えてしまう。
遠くに人影らしきものが見え、砂煙に隠れて見えないが伏せているようだ。
怪我をしてうずくまっているのか、それとも気絶でもしたのか……
「だっ……大丈夫?!」
息を切らしながらエーテルは近付いた。
「ケホッ……」
ソーマは咳き込んでいた。
巻き上がった土埃を吸い込んで、咳き込んだと同時に辛過ぎて涙まで出てきたのだ。
「あ……ケホッ……ど、どうしたの……? こんなに早く、ケホッ……」
「どうしたのじゃないわよ……」
ソーマは無事だった。
それも全くといっていいほど怪我は無い。
魔石というのは、意外と頑丈で軽く叩きつけた程度では割れたりはしない。
しかも割れれば大人でも怪我をする衝撃。
加えて、そこには倒したばかりのゴブリンが一体となれば、疑問も生じよう。
すぐに衛兵もやってきて、エーテルは実験中だったと説明。
どうしても魔石が割れた時の衝撃を見てみたいと頼まれて、たまたまゴブリンがいたから衝撃で怯ませてナイフで倒したのだと、10分以上長々と説明をする羽目になった。
「そうでしたか。
いや、それでしたらまぁ構いませんが。
できれば街の近くで実験は控えてくださいね」
「えぇ、今回はゴブリンの脅威もあって慌てちゃったのよ。
本当にごめんなさいね」
さて、状況から察するにこの説明は大きくは間違っていないはずではある。
ソーマが一体どうやってそれをしたのか……というのが甚だ疑問なのだが。
「よし、今から飲みにいくわよ。
肉も取ってきたんだから久しぶりに付き合いなさい」
「ま、まぁいいですけど、ケホッ……」
絶対に質問攻めに合うだろうと、ソーマは覚悟していた。
さて、どう説明するべきか……ゴブリンよりもずっとずっと問題であった……
久しぶりに酒場で飲んじゃおうかしら」
エーテルは、いつも以上に上機嫌だった。
請け負っていたフランへの授業も無事終わり、金銭的にも余裕がある上にゴブリンの魔石は5つにウサギの肉。
それだけを日が昇るまでに済ませてしまえば、早めに帰りたくのもまた然り。
まだ草むしりをしている時間だろうと、エーテルは街の入り口を過ぎてなお歩く。
「やぁやぁ少年!
精が出てるねぇ……って感じでもないかな。
多分、剣の練習でもしてるだろうし」
エーテルが壁を見てみると、意外にも草の多くが根ごと地面に落ちている。
流石に背の届かない場所はそのままのようだが、割と真剣に仕事をしているものだと安心したエーテルであった。
……が、事はその瞬間起きたのだ。
『ズン……』という低く大きな衝撃音。
そして立ち上る土煙。
エーテルの頭には一つの答えがあった。
ソーマへの説明は多少端折っていたが、魔石に含まれるマナは強大で外に漏れれば当然外への影響はある。
それが、今回のような衝撃波だ。
「だ、大丈夫だとは思うけど……」
エーテルは急いでソーマの元へいく。
衝撃波が発生するといっても、魔法とは違ってちょっとばかり強風が吹き荒れる程度。
しかし腕の中で爆発したなら、皮膚が剥がれるくらいの衝撃はあるはずだ。
そう思うと、急がずにはいられない。
まだ5歳の少年が魔石の暴発など経験したら、無事でいられないどころか、今後の生活に影響を与えてしまう。
遠くに人影らしきものが見え、砂煙に隠れて見えないが伏せているようだ。
怪我をしてうずくまっているのか、それとも気絶でもしたのか……
「だっ……大丈夫?!」
息を切らしながらエーテルは近付いた。
「ケホッ……」
ソーマは咳き込んでいた。
巻き上がった土埃を吸い込んで、咳き込んだと同時に辛過ぎて涙まで出てきたのだ。
「あ……ケホッ……ど、どうしたの……? こんなに早く、ケホッ……」
「どうしたのじゃないわよ……」
ソーマは無事だった。
それも全くといっていいほど怪我は無い。
魔石というのは、意外と頑丈で軽く叩きつけた程度では割れたりはしない。
しかも割れれば大人でも怪我をする衝撃。
加えて、そこには倒したばかりのゴブリンが一体となれば、疑問も生じよう。
すぐに衛兵もやってきて、エーテルは実験中だったと説明。
どうしても魔石が割れた時の衝撃を見てみたいと頼まれて、たまたまゴブリンがいたから衝撃で怯ませてナイフで倒したのだと、10分以上長々と説明をする羽目になった。
「そうでしたか。
いや、それでしたらまぁ構いませんが。
できれば街の近くで実験は控えてくださいね」
「えぇ、今回はゴブリンの脅威もあって慌てちゃったのよ。
本当にごめんなさいね」
さて、状況から察するにこの説明は大きくは間違っていないはずではある。
ソーマが一体どうやってそれをしたのか……というのが甚だ疑問なのだが。
「よし、今から飲みにいくわよ。
肉も取ってきたんだから久しぶりに付き合いなさい」
「ま、まぁいいですけど、ケホッ……」
絶対に質問攻めに合うだろうと、ソーマは覚悟していた。
さて、どう説明するべきか……ゴブリンよりもずっとずっと問題であった……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる