23 / 51
エメラルド
しおりを挟む
1クラスの人数は大体20人前後だ。
学園に通わなくても魔法は使うことができるし、入学金から仕送りや着るものまで考えると結構な額がかかってしまう。
魔法を習得するのに年齢は関係なく、人によってその習得の早さも異なってくる。
ゆえに誰でもいつでも入学が可能となっている。
さすがに上は15歳くらいまでらしいのだが……
「えー、君たちには早速だが簡単なテストを受けてもらう。
なぁに、これから授業をするにあたって、今現状どこまでできるのかを知りたいだけだ。緊張する必要は無いからな」
緑のクラスエメラルド。
1年の教師はクラス分けの時にいた若い男であった。
名前をペストリーといい、黒髪で爽やかな印象で、女子たちは『カッコいい先生でよかった』などと言っている。
エメラルドは魔法の理論について学び研究するクラスで、ケノンの話によればエーテルもここを卒業したとのことだった。
そしてフランもまた、王宮魔法使いとなるために理論を学ぶべきだと言われたらしい。
主な役割は前線に出て戦うことではなく、全ての者が戦力となる術を見出して広めること。
どれだけ1人が優れていようとも、万の軍勢には敵いっこないということだろう。
「最初は校庭に出て体力測定だって。
私、身体を動かすのはあまり得意じゃないよぉ」
フランはソーマの肩を掴みながら後ろを歩く。
テストの内容は至ってシンプルで、10分間走り続けるだけであった。
「じゃあ行くぞー」
ペストリー先生の掛け声で、一斉に走り出す生徒たち。
他のクラスも合同で、先に走り始めていたルビー組が特に張り切っているのが感じられる。
「よっしゃあ、俺は6周だぜ」
「みんな早すぎるよぉ……」
1周目を走り終えた時に、そんな言葉があちらこちらから聞こえてくる。
エメラルドにも体力に自信のある男子がいて、2週目はペースが上がっていた。
ソーマはというと、特に目立つ必要もないので適当な順位でのんびりと走っていたのだ。
「あと5分だー」
さすがに全体のペースがどんどん落ちていく。
小学生のマラソンなら、とっくにゴールだが、持久力もみているので終わるのは10分経ってからなのだ。
「そ、ソーマくん……はぁ……は、早すぎるよ……」
「いや……あまり適当すぎても怒られるかなって……」
フランはソーマに体力があることは知っていた。
大人びた性格で、日々走り込みや短剣の素振りをしていたのも見ていたからだ。
それにしても既に2周の差がついていた。しかもバテて歩き出す子が多い中、マイペースで黙々と5周目を走り終えてしまうのだから驚きが隠せない。
ソーマもやってしまったと思っている。
今のペースでは、あと2周は走れそうだったのだ。
辛い表情をしながら歩き出すべきか、それともつまづいたふりをして転んでみるか。
などと考えている内に、時間である10分は過ぎてしまった。
「すごいなソーマくんは。
まだ5歳だろう? 他の子と比べてもかなり優秀だよ」
ペストリー先生が手放しに誉めるものだから、別のクラスの生徒までざわついているのを感じてしまう。
そして次は魔力測定だった。
いつぞやに見たような水晶に触れさせられて、ソーマは再び注目を浴びる。
「やっぱり5歳だな。
魔法の練習なんてしたこと無いんだろうぜ」
あまりにも平凡な5歳らしい結果だった。
だからこそ、気に入らないと思った生徒もいたのだろう。
ちょっとばかり体力があるだけで、クラスの女子からチヤホヤされてしまっていたのだ。
そしてその中には、これまた注目を浴びたフランも含まれていたのだから。
学園に通わなくても魔法は使うことができるし、入学金から仕送りや着るものまで考えると結構な額がかかってしまう。
魔法を習得するのに年齢は関係なく、人によってその習得の早さも異なってくる。
ゆえに誰でもいつでも入学が可能となっている。
さすがに上は15歳くらいまでらしいのだが……
「えー、君たちには早速だが簡単なテストを受けてもらう。
なぁに、これから授業をするにあたって、今現状どこまでできるのかを知りたいだけだ。緊張する必要は無いからな」
緑のクラスエメラルド。
1年の教師はクラス分けの時にいた若い男であった。
名前をペストリーといい、黒髪で爽やかな印象で、女子たちは『カッコいい先生でよかった』などと言っている。
エメラルドは魔法の理論について学び研究するクラスで、ケノンの話によればエーテルもここを卒業したとのことだった。
そしてフランもまた、王宮魔法使いとなるために理論を学ぶべきだと言われたらしい。
主な役割は前線に出て戦うことではなく、全ての者が戦力となる術を見出して広めること。
どれだけ1人が優れていようとも、万の軍勢には敵いっこないということだろう。
「最初は校庭に出て体力測定だって。
私、身体を動かすのはあまり得意じゃないよぉ」
フランはソーマの肩を掴みながら後ろを歩く。
テストの内容は至ってシンプルで、10分間走り続けるだけであった。
「じゃあ行くぞー」
ペストリー先生の掛け声で、一斉に走り出す生徒たち。
他のクラスも合同で、先に走り始めていたルビー組が特に張り切っているのが感じられる。
「よっしゃあ、俺は6周だぜ」
「みんな早すぎるよぉ……」
1周目を走り終えた時に、そんな言葉があちらこちらから聞こえてくる。
エメラルドにも体力に自信のある男子がいて、2週目はペースが上がっていた。
ソーマはというと、特に目立つ必要もないので適当な順位でのんびりと走っていたのだ。
「あと5分だー」
さすがに全体のペースがどんどん落ちていく。
小学生のマラソンなら、とっくにゴールだが、持久力もみているので終わるのは10分経ってからなのだ。
「そ、ソーマくん……はぁ……は、早すぎるよ……」
「いや……あまり適当すぎても怒られるかなって……」
フランはソーマに体力があることは知っていた。
大人びた性格で、日々走り込みや短剣の素振りをしていたのも見ていたからだ。
それにしても既に2周の差がついていた。しかもバテて歩き出す子が多い中、マイペースで黙々と5周目を走り終えてしまうのだから驚きが隠せない。
ソーマもやってしまったと思っている。
今のペースでは、あと2周は走れそうだったのだ。
辛い表情をしながら歩き出すべきか、それともつまづいたふりをして転んでみるか。
などと考えている内に、時間である10分は過ぎてしまった。
「すごいなソーマくんは。
まだ5歳だろう? 他の子と比べてもかなり優秀だよ」
ペストリー先生が手放しに誉めるものだから、別のクラスの生徒までざわついているのを感じてしまう。
そして次は魔力測定だった。
いつぞやに見たような水晶に触れさせられて、ソーマは再び注目を浴びる。
「やっぱり5歳だな。
魔法の練習なんてしたこと無いんだろうぜ」
あまりにも平凡な5歳らしい結果だった。
だからこそ、気に入らないと思った生徒もいたのだろう。
ちょっとばかり体力があるだけで、クラスの女子からチヤホヤされてしまっていたのだ。
そしてその中には、これまた注目を浴びたフランも含まれていたのだから。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる