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ルルモア大学進学~二年生編
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アルベルトの悪夢はその日から始まりました。
何故か自分の受ける講義に二人がついてきて、右隣と左隣に座るのです。
(圧がすごいんだよな……)
講義に集中したいのですが、邪魔で仕方ありません。
直接話しかけてきたりするようなことはないのですが、少しでもどちらかと視線を合わそうものなら、あっという間にイーブン要求に突入してしまうので、無闇に首も動かせないのです。
このイーブン要求とは、例えばどちらかと目が合った場合、残る一方とも目を合わせねばならない、など二人の公平性を求めるもので、これが非常に面倒臭いのです。
どうなるかというと……。
「はーい、殿下、講義中メイ様と目が合いましたわね。アタクシとも見つめ合ってくださいませ」
「確かに合いましたけれど、合ったうちに入らないほどですわ」
「それでも合ってはいるでしょう?」
それで、いざアルベルトがエイプリルと目を合わせると……。
「殿下、今日も素敵な瞳です。はーい、これでイーブンですわ」
「あら? それは間違っていませんこと?」
「な、何がですの?」
「エイプリル様、あなた、今さりげなく殿下にボディタッチしましたわよね?」
エイプリルが視線を逸らしてチッと舌打ちします。確かに、死角からアルベルトの太ももに指をサワサワと這わせていたのです。アルベルトは寒気を感じて声も出せなかったのですが、メイはしっかりとその様子から異変を感じ、魔力感知を使ってエイプリルの行動を監視していたのです。
「よく見てやがりますわね、メイ様……!」
「アンフェアなプレイはいけませんわ。それに、もう一つ」
「な、まだあるというのですの⁉」
「見つめ合う時間です。私は一秒も見つめ合っていなかったのに、あなたは三秒以上見つめ合っていました。これはイーブンとは言えないでしょう?」
エイプリルがニヤリと笑って、手の甲を頬に当てメイを見下ろし笑います。
「おほほほ、言い掛かりですわね。淑女の行うことではありませんわ」
「あら、それは間違っていませんこと?」
メイが勝ち誇ったように言うと、突如として空中にモニターが現れました。講義室は騒然となります。
「これは、再現映像魔法か」
アルベルトの呟き通り、それはメイが魔法で展開した再現映像でした。そこには、エイプリルが三秒以上アルベルトと見つめ合っているところと、太ももに指を這わせているところがしっかりと映されていました。
「嘘と破廉恥。一体、どちらが淑女らしくないのですかしらね?」
「ぐぬぬぬう、細かい女は、嫌われますわよっ!」
「論点がズレています。失礼ながら、どうしてあなたのような方がこの国最高の美と讃えられているのか甚だ疑問です。とても醜く感じるのですけれど」
「よっしゃ、メイ様、とりあえず表に出ろ」
「望むところですわ」
そして二人は講義室を出ていくのです。
「おーい、次の講義はまたここでやるからな。時間までには戻って来いよー」
アルベルトは毎回次の講義の場所を二人に教え、遅刻しないよう声を掛けていました。
悪夢だ窮屈だと思いながらも、何故か二人のことを放っておけないのでした。
何故か自分の受ける講義に二人がついてきて、右隣と左隣に座るのです。
(圧がすごいんだよな……)
講義に集中したいのですが、邪魔で仕方ありません。
直接話しかけてきたりするようなことはないのですが、少しでもどちらかと視線を合わそうものなら、あっという間にイーブン要求に突入してしまうので、無闇に首も動かせないのです。
このイーブン要求とは、例えばどちらかと目が合った場合、残る一方とも目を合わせねばならない、など二人の公平性を求めるもので、これが非常に面倒臭いのです。
どうなるかというと……。
「はーい、殿下、講義中メイ様と目が合いましたわね。アタクシとも見つめ合ってくださいませ」
「確かに合いましたけれど、合ったうちに入らないほどですわ」
「それでも合ってはいるでしょう?」
それで、いざアルベルトがエイプリルと目を合わせると……。
「殿下、今日も素敵な瞳です。はーい、これでイーブンですわ」
「あら? それは間違っていませんこと?」
「な、何がですの?」
「エイプリル様、あなた、今さりげなく殿下にボディタッチしましたわよね?」
エイプリルが視線を逸らしてチッと舌打ちします。確かに、死角からアルベルトの太ももに指をサワサワと這わせていたのです。アルベルトは寒気を感じて声も出せなかったのですが、メイはしっかりとその様子から異変を感じ、魔力感知を使ってエイプリルの行動を監視していたのです。
「よく見てやがりますわね、メイ様……!」
「アンフェアなプレイはいけませんわ。それに、もう一つ」
「な、まだあるというのですの⁉」
「見つめ合う時間です。私は一秒も見つめ合っていなかったのに、あなたは三秒以上見つめ合っていました。これはイーブンとは言えないでしょう?」
エイプリルがニヤリと笑って、手の甲を頬に当てメイを見下ろし笑います。
「おほほほ、言い掛かりですわね。淑女の行うことではありませんわ」
「あら、それは間違っていませんこと?」
メイが勝ち誇ったように言うと、突如として空中にモニターが現れました。講義室は騒然となります。
「これは、再現映像魔法か」
アルベルトの呟き通り、それはメイが魔法で展開した再現映像でした。そこには、エイプリルが三秒以上アルベルトと見つめ合っているところと、太ももに指を這わせているところがしっかりと映されていました。
「嘘と破廉恥。一体、どちらが淑女らしくないのですかしらね?」
「ぐぬぬぬう、細かい女は、嫌われますわよっ!」
「論点がズレています。失礼ながら、どうしてあなたのような方がこの国最高の美と讃えられているのか甚だ疑問です。とても醜く感じるのですけれど」
「よっしゃ、メイ様、とりあえず表に出ろ」
「望むところですわ」
そして二人は講義室を出ていくのです。
「おーい、次の講義はまたここでやるからな。時間までには戻って来いよー」
アルベルトは毎回次の講義の場所を二人に教え、遅刻しないよう声を掛けていました。
悪夢だ窮屈だと思いながらも、何故か二人のことを放っておけないのでした。
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